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幻影(旧タイトル:七変の幻影)  作者: 新染 因循
文学フリマ短編小説賞応募作品
3/7

旅路

<1>


遠くにいきてぇよぉ

一発キメてもよぉ

みえてんのは、なぁ

おらぁドブに華をみれねぇよぉ


借金も想像も電波も

およばねぇところに

いきてぇよぉ

めちゃくちゃいきてぇよぉ


そんでなぁ

一杯の晩酌をしてもらうのさ

月が傾いちまうくらいの

美人によぉ



<2>


月にいきてぇんだよぉ


息ができねぇとか

華がないんだとか

雲もうかんでねぇとか

音もないんだとか

どうでもいいんだって!


おれも男だからさぁ、穴が

あったら突っ込みてぇよぉ

って思うみてぇにさぁ

月にいきてぇんだよぉ

だって綺麗だろうがよぉ

仕方がねぇだろうがよぉ


ほら、昔の誰だっけ

文豪もさぁ、月が云々って

言ってんじゃんかよ


美人を抱く夢見るみてぇにさぁ

月まで昇って逝きてぇんだよぉ


熱燗揺れる徳利引っ提げてさぁ

地球を肴にして乾杯してぇんだ



<3>


アダージョ調にあるいていこうか

崖へむかってあるいていこうか


あるかさてる なんていわない

この一歩だっておれの選択、

繰り返し続けた最良の果てさ


穴を掘ることに意味はあるかい

犬じゃねぇし、そこに財宝が

まってるわけでもねぇんだし


まったく今さらファンタジーなんて

いっそさぁ、食ってくれよ悪いドラゴン

後ろからひっしに逃げるおれをぱくりって


そんでもって斬られてくれよ

勇者サマとかいう主人公にさ

人を食ったとかなんだかの咎で


きこえるぜ、おいたてる音がよ

ああ今さら足取りが重いなんて

まったく笑えるよなぁ死神


この期におよんで後悔してっけど

もうついてたみたいだ終の場に

これも、ま、おれの選択だからよ、な


まったく律儀なやつだな

最期まで顔を見せないなんて

たしかにダチじゃねぇけどよぉ


あ、そういえば聞いてくれよ

これからの果てなき旅路の

黒ずくめの ともがら ぁ


さっきガキがおれをみてた

まったく軽蔑しちまった目で

それこそゴミをみるような目で


それでいいんだ、それでいい

それさえ判ってんだったら

やっぱりいいかもしれねぇ


せいぜい悔しがっていろよ

あの子におれは繋げたぜ?

お前にだって、奪えないモンはある


あっ、ちくしょう、

背中を押したな死神め

落ちてくのがこんなに遅いなんて


お。おまえさんよぉ

女だったのかよぉ

だったらさぁ、早くいえよな


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