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これってデート、かな?

 結局、私とルゥはそのまましばらく町で買い物を楽しんだ。

 よく考えたら、これってデート!?

 はうぅ。もしかしたら前世と今世含めて初めてじゃないのかな。うわああああああ。照れるううううう。


「どうしたんですか、シア?具合が悪いのですか?」

「や、大丈夫だよっ」

「でもいつもと様子が違いますよ、脈も速いですし、顔も赤いです。もしかして何か悪い病気にでも罹ったのですか!?雛は成体と違って弱いですから、心配です。シア、シア、大丈夫ですか?死なないでください!」


 脈が速い事を指摘されて更に顔を赤くする私の様子に何か勘違いしたのか、ルゥが私をぎゅーっと抱きしめてきた。

 だーかーらー、ここは往来なんだってば!


「ほんと、大丈夫だから!ただちょっと……」

「ちょっと何ですか!?」

「ちょっと照れただけ……」

「シアー!」


 うん。逆効果だった。反省。


「あ、ねえ。あれルゥの目にそっくり」


 別のお土産物屋さんで見つけたのは、ハニーカラーのクリソベルキャッツアイのペンダントだった。綺麗なはちみつ色で、見ればみるほど、そっくり。


「シア。こっちはシアの目にそっくりです」


 ルゥが指さすのは、アクアマリンのペンダント。

 うー。お互いに相手の瞳の色の宝石を見つけるとかさ。

 これじゃ、どこかのバカップルみたいじゃない。


 それにしてもこの世界ではキャッツアイってそんなに人気ないのかしらね?まあ疵と言えば疵なんだけども、こんなに綺麗なのにね。こんなお土産物屋さんで売られてるって事は、そんなに貴重な物とはされてないって事なんだろうなぁ。


 でもまあ、今の私でも買える値段だからラッキーだわ。ただ、これから先も何か欲しい物があるたびに、神官さんに両替してもらうって訳にもいかないわよねぇ。そしたら冒険者にでもなろうかなぁ。よっぽど強い魔物じゃなければ倒せるだろうし。


 そんな事をつらつらと考えながら、私はキャッツアイのペンダントとアクアマリンのペンダントを買った。その様子をルゥがじーっと見ている。


「シア。それは神官クラウスからもらった物ですか?それでこの石と交換できるのですか?」


 ああ、ドラゴンって基本的に物々交換とか余ったのはあげるね、って生活だから、お金を見た事がないのか。

 と、いうよりも。

 もしルゥがこのまま人間の姿で町にくる事が増えるんだとしたら。っていうか、ほぼ確実にそうなるよね。私にくっついてきそうだから。

 そしたら、もっと人間の常識というか、そういうのを身に着けないと、とんでもないトラブルに見舞われるんじゃないだろうか。その結果、ドラゴンと人間の対立なんて事が起きたら―――


 人間なんてどうでもいいけど、ドラゴンが傷つくのは嫌!


 という事で、さっさとお土産を買って、ルゥと一緒に神殿に戻った。

 黒さんはまだ人化できていなかったらしく、とーっても悔しそうだった。予定では、人の姿で私たちの前に現れてドヤ顔をしたかったらしい。……知らんがな。


 でも、黒さんも人化するなら、人間の常識教室は一緒に受けたほうがいいよねぇ。

 あれ。でも私もここの世界の常識なんて知らないんじゃない?

 しまったぁぁぁぁ。ウカツだった!

 じゃあ私もこの世界の常識教えてもらわないとダメじゃん。


 そこで白羽の矢が立ったのが、神官のクラウスさんです。

 いや~。黒さんがここの神殿と仲良しで良かった~。


 で、まあ。今さらながら、私もこの世界の一般常識を教えてもらいました。まあ、基本は前の世界と同じ感じかなぁ。神話だけちょこっと違ったけど。


 この世界で神様とされているのがドラゴンで、その理由はかつて魔族の脅威から人間を守ったのがドラゴンだったから、らしい。

 魔族の定義は前の世界と一緒だ。突然現れて、人を喰う生き物。それが魔族だ。そして魔族と共に魔獣が現れ、人や家畜を襲う。つまり、魔族と人間は捕食者と餌の関係になる。幸いなのは、魔族の人数はそれほど多くもなくて、人間が全滅させられるほどの数はいなかったという一点につきる。

 それを覆したのが、前の世界の勇者であり、この世界のドラゴンだ。


 でも黒さんに聞いたら、ちょっと話が違ってた。


「んー。そういえば羽化した人間と遊ぶのが楽しみっていう奴がいたなぁ。ちょっと乱暴に遊んでも壊れないから楽しいって言ってたけどなー」

「……人間って羽が生えるの?」


 ちらっと神官さんを見ると、首を横に振る。デスヨネー。

 って事は、それ、人間じゃなくて魔族だったんじゃないの?


「そーいえば、ドラゴンの中でも一番大きなブレスを吐ける奴だったよー」


 つまり、強力な最終兵器ビームを吐けるドラゴンがいて。そのドラゴンは羽の生えた人間だと思ってる魔族と、ただ遊んでただけ、って事?


 あ、こんなところで神様の真実を知った神官クラウスさんが、orzな姿になっちゃってる。


「え?それじゃ何でドラゴンが魔族を亡ぼしたって話になるの?」

「んー?ああ、そういえば、何か鱗を傷つけられたとか言って怒ってたかもー。それで本気出しちゃったのかもねー。あははー」


 あははーなんて軽く笑ってるけど、内容は重いから。

 だってそれ、最終兵器を最大出力で放出したって事よね!?

 もしかしてそれで魔族を駆逐しちゃったの?

 さすが最終兵器ドラゴン、やる事がハンパないな。


「そういえばアイツ最近見ないなー。元気なのかなー」

「どれくらい会ってないの?」

「えーっと。千年くらい?」

「ちょっとじゃなーい!」


 ドラゴンたちの時間間隔を人間のと一緒にしちゃダメだわ。っていうか。黒さんって一体どれくらい生きてるんだろ。ルゥはまだ500年くらいみたいなんだけど。


 でもそれを聞いたら、金の瞳をちょっと細めて。


「ナイショ」

 

 と、言われちゃいました。

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