表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

‐後編‐ 想い

「私のせいじゃない?何で?」

『あの時絢を助けたのは僕の意思でやったんだ。…そうだろう?』

「………」

『だから良いんだ。絢は何も悪くない、だから時間を戻す何て、しなくて良いよ』

由詠は絢の頭を撫でて、微笑んだ。

それを見て絢は、泣きそうになった。

「ごめんね、由詠…ごめんね…」

『だから良いって』

由詠は再度、絢に触れようとした…が。

『…っ』

絢に触れようとしても、通り抜けてしまう。

「あ…」

絢も目を見開いた。

『もう、お別れだ』

「…うん」

由詠が霊なのは分かっている。

だからずっと此処に居れる訳ではない事も分かる。

「バイバイ、ありがと」

『うん。もう、大丈夫?』

「大丈夫、時間を戻そうなんてもう、思わないよ」

「…ちゃんと、前を向いて歩いてく」

『―うん。』


由詠の体が薄れていく。

そして、殆ど見えなくなった時。


「さようなら、…大好き」


絢はそう、呟いた。



『…時間は…もう良いの?』

後ろから時使いの声がする。

「うん、色々ありがとうね、時使いさん」

『―いいえ。…本当に良かったの?』

「…うん」

「ちゃんと会えたし、それに…」

『それに?』

絢は泣きそうなのを抑えて笑った。


「由詠は、何時いつだって傍に居るって、分かったから」


『そう。…泣いても良いのよ?』

絢は時使いの方を向いた。

「良いの?」

『良いわよ。』

絢は時使いに抱き付いた。そして、


「うわぁぁぁんっ」


あの時の様に、大声で泣いた。



―そうね。そうなのかも知れない。


時間を戻す事によって全てが変わる。

でも―…きっと。


きっと、時間を戻さなくても、変わることは出来る。



前を向いて歩いていけば…


そこには、きっと。

何かが在るはず。


だから人は、歩いていかなければならないのだろう。


たとえ苦しくても。辛くても。



時間に支配された、この世界を。



そしてこの国は、耐えられなくなった人の為に存在する。


―時間を巻き戻す為に、存在する。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ