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テスト2日前。出来る奴は余裕の表情、出来ない奴は絶望顔

放課後の廊下と言うのは閑散としていそうで意外と人は多い。

学年の教室棟では無く、図書館につながる特殊教室が多い廊下だからだろうか。

学年・学科関係無く人があふれていた。


「ねぇ、かりんはテスト勉強順調?」

「うーん、私はは御伽話論が微妙かな~。ありさは?」

「御伽話論が危ういの辛くない?私は歴史の暗記が足りないかも~。」

「テストまだ二日あるじゃん。詰め込めば何とかなるでしょ。」

「まぁね。ここまで来たら後は最後の追い込みって言う感じはある。」


テスト前の会話としてはありきたりな物だが、話をしている同じ顔を持つ双子はとても目立つ。

ついつい目先を向けてしまうのは仕方が無い気がした。


「でもなんかこう、やる気・・・?が欲しい所ではある。」

「あっ、じゃぁ今回は葛西君に勝負挑んでみるって言うのはどうかな。」

「えっ、主席キープしてる葛西君にギリTOP5の私たちが勝てると思ってるの?」

「まぁ全体成績じゃ無理でも得意科目なら一教科での勝負なら挑む価値ありそう。」

「うーん。順位で競うにはちょっと宣戦布告が遅すぎるもんね。準備期間が足りないし、今から勝算あるのはそれしかないか~。」


きゃっきゃと弾む会話に零れる笑顔はとても癒されるものがある。

だがしかし、段々と不穏な方向に会話が進んでいる事に嫌な予感を感じざるを得なかった。

主席に挑む?得意教科だけとは言え勝つ前提で話している?これはもう異次元でしかない。

テスト前の平穏な後輩の会話とはとてもじゃないが思えなかった。


「葛西君って私たちの事”結城さん”呼びじゃない。これを機に勝ったら名前で呼んで貰うって言うのはどうかな。」

「おお!逆に私たちも”家光君”とか?”みつ君”とか?気軽に呼ぶ仲になれるチャンスじゃない!」

「まぁ葛西君なら頼めば呼んでくれそうだけどね。」

「分かってるけどテストへのやる気の問題なの!」

「じゃあ明日頼んでみよっか~。テスト前日だけど・・・。」


ちょっと待って欲しい。本当にこれはテスト直前の会話とは到底思えない。

テストって言うものはもうちょっと切羽詰まって焦っていたり、勉強が辛いと燃え尽きてる感じではないのだろうか。

嗚呼、なんて無常なり。これが格差社会か・・・なんて馬鹿な事を考えていたら。

窓から入り込む西日が眩しくて目が潤んできてしまった気がした。



「・・・騎士」

どの位双子の話に集中していたのだろうか。

急に待ち合わせていた瑛に後ろから声を掛けられる。

ハッと振り返ると呆れたような瞳とぶつかった。


「騎士」

「アンタいつから・・・居た?」

「・・・双子が家光に勝負を挑むって辺りから。」

つまりは殆ど最初から居て、盗み聞きしていたのを止めずに居たという事か。

と、言う事はこの呆れた瞳は後輩の話を盗み聞きしていたのを咎めている訳ではなく・・・


「騎士。彼女たちはとても高度な会話をしていた。お前はどうなの。分かってる?」

「ぐぅ・・・」

自身の成績を十分理解している為、苦しいうめき声しか上げられない情けないオレであった。





テスト2日前のお話

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