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テスト3日前。今更泣き言言っても遅い・・・遅いか?

「ねぇねぇ、ささ君」

「なんだ、のの」


テスト期間で誰も寄り付かない裏庭に緊迫した男女の声が響いた。

一人は小柄でふわふわした印象をした少女、そして見上げる先には強面で漫画だったらすでに何人か殺してそうな悪人風の男。

知らない人から見れば完全に狼に睨まれた兎の図ではあるが、知っている人から見ればむしろ見た目と中身は逆である。


「私は気付いちゃったの。」

「なっ、なんなんだよ!もったいぶらずにサッサと言え。」

至極真面目です。と言った顔をした苺の手には一枚の紙が。

いつもヘラヘラした表情しか見せない少女の迫力に真は焦りを覚えた。

顔には一切出てきてはいないが、内心は盛大にパニック状態である。

とてつもなく見たくは無いが、真は恐る恐る震える手を隠し仰々しく紙を受け取った。


「これは・・・英語のまとめプリント・・・!って、えっ?」

「そうです。気付いた?ささ君。」

そこには空欄とペケが大量にある英語のプリントがあった。

これは英語のダニエラ先生が好意でテスト範囲の初歩まとめをテスト勉強用に作ってくれたプリントではないのか。

それもテスト期間ではなくもっとずっと前々に・・・


真はこのプリントを良く覚えていた。

何故ならば自身も滅茶苦茶英語に弱いのを自覚しており、何度も挑戦したし不安なリスニングは帰国子女である藤也に教えを請うたし、ダニエラ先生にも態々追加で苦手な所の課題プリントを作ってもらったからだ。

受け取った時とは違った意味で手が震えた。


「いや、お前馬っ鹿じゃねーの!!!!!」

「他の教科は自画自賛じゃないけど、かなりいい感じに仕上がったのよ。テスト上位目指せる自信があるの。」

「どうみてもこの英語で台無しだろ!!どうしてこうなったんだよ!!!」

どう考えてもこの状態でテストを受けたら赤点の二文字以前に絶望の二文字しか見えない。

そもそもテスト三日前なのにこの状態で放置出来ている辺り大物である。

苺は馬鹿では無い事は重々承知している。

分かっていた上放置して後回しにしても問題ないと判断したのだろうが、肝が据わり過ぎている。


「一応間に合う計算でテスト勉強の予定組んだんだけどね、英語が嫌い過ぎて現実逃避しちゃった☆」

「・・・うわぁ、・・・うわぁ。」

色々と言いたい事は沢山あったが、真はその全て飲み込んだ。

腐っても付き合いが長いこの二人。結論を出すならこの一言で済まされる。何を言っても無駄。

ここで文句を言っているよりは行動に移した方が確実に早い。


「とりあえずダニエラ先生呼んでくっからちょっと待ってろ!!!」

「はぁ~い。」



やたら嬉しそうに手を振る苺は可愛いし、頼られるのは嬉しい。

しかしヤバいのは苺の方なのに何で自分の方が盛大に焦って動いているんだ?

と冷静な頭では分かっているものの、どうあがいても真はあの笑顔には勝てっこ無いのだ。



テスト3日前のお話


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