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テスト4日前。ヤマなんて張るな、外すから。


それは日の当たらない図書館の隅っこ

テスト前期間で人の多い場所から溢れてしまった奥の奥


「もうすぐテストだね。」

「うん、もうすぐテストだね。」

顔を見合わせ大真面目にボソボソと小声で話す二人の影


「「一体どうしたら良いのーーー!!!!!」」

悲壮感に漂う二人にとっての初めての試練。

それは二人には重く、苦しく圧し掛かるのだった。

入学してから初めての学力テストと言う物が。


「ひなちゃん!」

「未来くん!」

ガシリと両手を合わせる二人。

似た様な背の高さ、人懐っこい性格

男女と言う違いはあるものの、似たもの同士の二人が仲良くなるには然程時間は掛からなかった。

初めての席替えで運よく席が近かったと言うのも大きい。


「テスト勉強って、いつもの予習復習と同じじゃ駄目だよね?」

「たっ、多分?だって周りのみんなすっごく勉強してるよ。これは絶対いつも通りの勉強じゃないです。」

いつもは本を読んだり調べ物をする人でまばらに座られている席が今や満員の状態

これは皆が皆テスト勉強に本腰を入れていると言う訳で


「誰かに聞こうにも、先輩とかの勉強の邪魔はしちゃいけないし。」

「そうだよね、皆さん真剣に勉強してるし・・・」

他の場所も例に漏れず空き教室、自習室、職員室と妙な熱気を放っていた。

誰も彼もが“テスト”と言う魔物に取り付かれているように二人には見えた。


「あっ、そう言えばこの前白駒先輩がヤマに賭けるって言ってた!」

「ヤマって一点集中するって事?」

「うん。当たればきっと高得点取れるよ。」

「そうだね。それに一つに集中すれば何処を勉強すれば良いか迷わなくて済むね。」

未来の言葉にそれは名案だと、陽葵が頷く。

無い知恵を絞るよりも先輩の言葉。

これならばきっと大丈夫だと、何の確信も無い自信が二人にはあった。




「おい、小動物ども」

「「あっ、櫻樹先生!」」

二人が揃って振り返る先には呆れ顔の教師が一人。

先生の中でも一番に頼りになると言う生徒一押しのお兄さん。

小さな二人のやり取りに見ていられなかったのか、絶妙なタイミングでの声掛け。

思わぬ救世主の登場に二人は瞳を輝かせた。


「ヤマなんて張るな、外すから。お前ら絶対外すから。」

「でもでもっ、範囲の何処を勉強したら良いか分からないんです!」

「それに、どうやって勉強すれば良いか分からないんだよ!」

そろって上目使いで訴えてくる二人に櫻樹は溜息を一つ。

この二人はテストと言う物をあまりよく理解していないらしい。


「テストって言うのはだな、今までの授業がちゃんと頭に入っているのかの確認だ。

だから授業で分からなかった所や、よく間違えた苦手な所を復習すれば良い。」

「なるほど。」

「そうなんですね。あっ、陽葵はこの前妖精の種族を間違えたんでした。」

「僕は四葉の妖伝説で分からない妖怪が・・・」

しっかりと真面目に予習復習をしている二人だからこそ直ぐに問題点が挙がるのだろう。

いつも使っている勉強ノートを思い出しながら二人は似たような事を考えていた。


「ったく、じゃあこの優しい先生が教えてやるから勉強道具持って来い。」

「「はい!」」

パタパタと元気良く準備しだす可愛らしい一年生二人にこれだから教師は辞められないと櫻樹は思った。




テスト4日前のお話




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