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テスト7日前。寝てる場合か。

タイトルにお題をお借りしてます。

テスト直前カウントダウン七題 jachin様

http://phantasien.lomo.jp/jachin/

ついにこの時がやって来た

それは学生には逃れることの出来ない苦行、“テスト”

成績に自信が無いものは嘆きながら勉強し、頭の良い者も主席を狙う為に勉強する。

テスト期間と言うものは、テストその物よりも苦しい時間だろう。

テストまでの期間は残すところ一週間

この星屑学園も普段とは違い、独特の空気感が流れていた。


気の抜けた放課後のクラスメイトの雑音はもっぱらテストに関する一つだけ。

今日から本腰上げて勉強しなきゃだの、友人に教えてくれと涙ながらに頼む者だの、いつも以上にクラスの雰囲気は浮ついている。



煩わしい

と、パラパラと席を立つクラスメイトを横目に梁樹は一人ごちる。

救いな事といえば彼は一般的に見て可も不可も無い成績だと言うことだろうか。

普通と言えばそれまでだが、普段通りにに勉強をすれば赤点を取るわけでもなくかと言って高得点を出すことも無い。

何せこの星屑学園と言う場所は特殊学科な為に学園以外の者に教えを請うことが出来ない。

必然的にテスト期間は教師や頭の良い生徒は捕まり、子守をさせられるのが常だ。

浅く深くの交友関係を築き上げている彼にはオブラートに包めない程の出来の悪い頭を持つ知り合いも多数居る。

例え、そこそこの成績だろうとも“後輩”ともなれば知識量としては下になるのだろう。

淡白と言われても良い、そんなに巻き込まれるのは真っ平ごめんだった。


「あっ、梁樹さんお疲れ様!また明日ね。」

「ああ、さようなら」


帰路に着く友人に返事を返しこっそりと溜息を一つ。

クラスメイトはそれぞれ家で、そして図書館で勉強をする為であろうもう殆ど居なかった。

まだ居るクラスメイトも各々帰り支度をしている。

そう、後ろの方の席で惰眠を貪っている奴以外は。



「お前は寝てる場合か・・・」

「やなぎー痛い、暴力はんたーい!!」

むしゃくしゃした気分を八つ当たり気味に乗せて眠る友人の頭を拳で殴る。

漫画の様な良い音は出なかったが、梁樹の気持ちは少しだけ晴れた。


「もうテスト一週間前だぞ?分かっているのかお前は・・・」

「大丈夫だよ。やなぎーだって知ってるでしょ?オレ五番だもん。」


そう、千歳はこんなにも授業態度が悪いと言うのに学年五席。

世の中って理不尽だと何処かの馬鹿は嘆いていたけれど、この男は昼夜が逆転しているだけで夜な夜な活動をしている事を梁樹は知っていた。

能ある鷹は爪を隠すとも言うが、こいつは隠しすぎだ。


「せめてテスト期間だけでも勉強するポーズを見せておけ。無駄に敵を作るぞ。」

「んー。まぁ大丈夫じゃない。それに勉強だって睡眠学習してるってみんな分かってくれるよ。

それに寝る子は育つって言うし、ちぃの脳みそも成長してるんだよ。」

「そんな事があるわけ無いだろう。この馬鹿が。」

「わぁぁ、そんなに叩かなくたってもう起きてるよ。」

ぶつくさと文句を言いながら頭を抑えて涙目になる千歳。

彼はいつもそうだ。マイペースといえば聞こえが良いが、排他的で他人をどうとも思っていない。

それが彼の強さであり、個性でもある。


「全く、俺はお前を一応心配してるんだぞ?」

「ちぃってば愛されてるー。それにいざとなった時はやなぎーが助けてくれるって信じてるし。」

「はぁ・・・勝手に言ってろ。」

そんな千歳の内側に入っていける事に少しだけ優越感があった。

ある意味で似通っている二人のこの距離感は心地よい。


「俺はさっさと勉強しに帰るぞ。」

「んー教えてあげよっか?」

「いらん。ほら、お前も帰るぞ。」

「いてて、うん。」

本日三度目の暴力を奮ってから踵を返す。

後ろで立ち上がりながら暢気に眠そうに欠伸をする千歳に溜息が出そうになった。

腹いせに猛勉強して負かしてやろうかとも思ったが、そうしたらそれを察知してそれ以上に勉強するであろう千歳を思って流石に無理だと思った。



テスト7日前のお話


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