不良が改心するまで。
この小説は犯罪を助長するために書いているものではありません。
楽しんでもらえたらなと、思ってます。
霧ヶ峰 翔太は生粋の不良である。
年齢は18歳でありながら既に半ニート生活。
親の金を使い日々を遊び倒している。
彼がグレ始めたのは小学校5年生の時である。
初めは夫婦喧嘩が激しくなり、両親が自分に関心を示さなくなったころ
親に自分を見てもらいたくて万引きをした。
警察に呼ばれた両親は泣いていた。
涙ぐみながら自分を見てくる両親。
それを見てひどく歪んだ喜びをその時に覚えた。
それからも軽犯罪を繰り返した。
万引きに器物破損、さまざまなことをした。
そうして両親の泣き顔を見るたびに自分の存在を両親が忘れていないと感じ喜んだ。
中学生になったころ警察に呼ばれ、学校に呼ばれ、両親は翔太を見放した。
中学二年生の頃、翔太への教育が失敗したのはお前のせいだ!
その内容に二人の喧嘩のベクトルが変わった。
「俺は二人に見てもらいたかっただけなのに。」
二人に見放された翔太はようやく自分の間違いに気が付いた。
しかし、犯罪を沢山犯してしまい多数の人に迷惑をかけてしまった。
大好きなはずの両親にも。
時はすでに遅く信用を取り戻すことは不可能であった。
既に二人の仲は戻ることはなく
中学2年生になるころに両親は離婚してしまった。
父について行こうと思ったが父に拒否されてしまい、母のもとへと付いて行った。
翔太は以前より荒れた。
学校へ行くことも少なくなり、不良仲間と朝夜問わずに遊び続けた。
髪は色を抜き、ピアス穴も開けた。
飲酒に喫煙もした。
カッコいいと思いやったことではない。
もう戻れなかったのだ。
そして、中学を卒業した彼は通える高校もあるはずがなく、
母の稼ぎを使い毎日を遊びつくした。
以前よりお金をよく使うようになった。
母の泣く回数が増えた。父からの連絡は減った。
そういう生活を三年続けた。
そんな毎日の日々に変化が起きる。
不良仲間と深夜に遊びに出かけていた。
もちろん母の稼ぎを使ってである。
カラオケ店に向かっていた時のことである。
ふと眼の端に夜間工事をしているところが目に入った。
深夜遊びを中学からしていた翔太にとってそれは特に珍しいものでは無かった。
しかし、そのことが無性に気にかかって仕方がなかった。
その気がかりは母にあった。
その工事現場で母が働いていたのである。
何かがカチりとハマった気がした。抜け落ちた何かを見つけたように。
母にお金をたかる時の口癖は汗水流して稼いだお金だから大切に使ってね。
その言葉のまんまだ。
翔太は家に帰ったら母に今までのことを詫び、その埋め合わせをしていこうと心に決めた。
今すぐに伝えたい、でも人前で親に話しかけるのが無性に恥ずかしかった。
いや、他人に自分のことを知られるのがたまらなく恥ずかしかった。
その場にいるのが我慢できず逃げるかのようにカラオケ店へ向かった。
カラオケは楽しかった。使っているお金が母のお金でなければ。
どうしても歌を呑気に歌っていられる心境ではなかった。
「わりぃ、俺調子悪いから先に帰るわ。」
「大丈夫か?ま、気を付けて帰れや♪」
脱兎のごとくその場から立ち去った。
早く帰りたい。一分一秒でも早く母さんに謝りたい。
「母さん、ごめん」
そう呟いたとき一人の女性が倒れた。
よく見るとそれは母であった。
当たり前である。朝はパートで遅くまで働き夜は力仕事。
過労で倒れるのは自然のことであった。
しかし、場所が悪い。今母が倒れたのは道路の真ん中だ。
向うから大型トラックがやってくる。
あたりは街頭もない。家から覗く少しの光と月明かりしかない。
きっと運転手は母に気付かないで轢いてしまうだろう。
「そんなの嫌だ!お母さん!」
そう感じた時には体は動きだしていた。
母を抱き上げると歩道へ投げた。
ゴンッ!と嫌な音がしたけれどこれで死ぬことはないだろう。
「ははは、ごめんねお母さん。」
その刹那トラックの衝突により
霧ヶ峰翔太は肉塊へと変わった。
別作品も書いてはいますがそちらは思い付きと、見直しと推敲なしですので更新頻度はかなり早いですが、
こちらは案を練りに練りまくって書いてますので更新頻度はそこまで早くありませんが、ある程度のところまでは考えてますので頻度を落とさないように書いていけたらと思います。