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純白と灰色  作者: 桜庭ミナ
3/3

ドリー.

昔…。まだ、僕の羽が白かった頃と同じように街を歩く。

なんだか、周りからの視線が痛いなぁ。


「ねえ、あれってフォールじゃない?」

「やだ本当!あの子、悪魔になったんじゃ?」


僕に対しての声が聞こえる。

僕は地獄耳ってこと、みんな知ってたハズだけどな。

もう忘れちゃったのか。


「ま、どうだっていいケド。」


ポツリと呟いた言葉は誰にも聞こえていない。

さて、これからどうしようか。

結局、悪魔にはなれなくて中途半端にかえってきてしまった。

頼れる肉親もいない。

かといって、キララも無理そうだし…。


「お前、フォールか…?」

「そうだけど?」


僕の目の前に、やっぱり僕とは違う白い羽の男があらわれた。

背が高くて、少しむかつく。

誰だ?


「やっぱり!久しぶりだな!」

「久しぶり、って言われても…。悪いけど、キミのこと覚えてないなぁ。」

「あっれ?忘れちゃったのか?俺だよ!ドリー!」

「ドリー…?」


どこかで聞いたことのある名前だな。

少し考えてみたけど、思い出せない。


「ゴメン。思い出せないや。」

「そっかぁ…。ま、最後にあったのもだいぶ前だしな!」

「僕とドリーは、どこで会ったことが?」

「学校だよ!俺、お前の後ろの席だったろ?」

「学校…。…あ。思いだしたかも。」

「ホントか!?」


そうだ。思いだした。

ドリーは、クラスメートだったなぁ。

昔は仲が良かったと僕は思っているけど、今はあまり関わらないほうがお互いの為かな。


「キミのことは思い出したけど、キミは僕みたいな奴と関わらないほうがいいんじゃない?」

「なんでだよ?」

「僕は堕天使といわれる存在だよ?こんなのと一緒にいたら損しかないんじゃない?」

「お前、自分のことマイナスに考えるの変わってねえな!」


ハハハ、と大きな声で笑うドリーに、少しムッとする。


「フォール!お前どうせ行く宛てないんだろ?俺の家に来いよ!」

「は?」

「心配すんな!家には俺しか住んでないんだからよ!」


とても、ありがたい話だ。

でも、ドリーには両親と妹がいたはず。

それに、まだ一人暮らしをする歳でもないだろう。


「それは嬉しいけど、ドリーの家には家族がいるだろ?」

「いないよ。」

「嫌だなぁ。嘘なんかつくなよ。」

「いないんだ。死んだんだよ、みんな。」

「え?死んだって…」

「あーあー!この話は、また今度な!!とりあえず、来い!」

「え、ちょ、ちょっと!おい!ドリー!」


そしてそのまま、僕はドリーに腕を引かれて家まで走らされたのだった。


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