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異界の門  作者: ていてい
第一章 プロローグ
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第二話 異変



蓮は授業中も上の空だった。それを見て恭介も呆れる。


「いくら、門の事が気になるからって移動教室に気付かないのはねぇーだろ」

「いや、ちょっと考え事をな」

「ふーん。けど、あんまボーッとしてっと葵ちゃんが心配すっぞ?」

「分かってるよ。気を付ける」

「そうか?ならいいけどよ」


昼になり、生徒は皆、弁当を広げたり購買に走ったりする。蓮、恭介、葵の三人は屋上へ上がり、ご飯を食べていた。いつも通り、蓮は購買のパンにかぶりつく。それを見て、葵が声を上げる。


「あっ、また蓮君パンだ。ダメだよ、栄養とか偏るよ?たまには弁当とか持って来たら?」

「仕方ないだろ?弁当とか作る暇なんて無いし」

「その前に、蓮は料理出来るのか?」


からかう様な恭介の口調。しかし、実際に料理が出来ない蓮は反論出来ない。葵は黙ってる蓮を見て、手を上げた。


「はい!じゃぁ、明日から蓮君の分の弁当も作ってきてあげる!」

「本当に!?あっ……けど悪いよ。そこまで迷惑かけられないって」


葵の提案に一瞬喜ぶ蓮。しかし、すぐに申し訳ないという気持ちが蓮から出てくる。


「そんなの気にしないで。弁当なんて一つ作るのも二つ作るのも変わらないんだから」

「そうか?なら……お願いします」

「任せといて!」


ドンっと胸を叩く葵。豊かな胸が少しだけ弾む。


「「うっ……」」


それを目の前で見た蓮と恭介の二人は思わず顔を背けてしまった。


「お、おい。見たかよ今の」

「う、うん」

「流石学校のマドンナ葵ちゃんだよなー。それがこんな奴の彼女なんて……」

「おい」


恭介の言葉に不機嫌そうにする蓮。だけど、恭介は謝ろうとしない。そもそも何でスポーツ万能、頭脳明晰、容姿端麗な学校のマドンナ葵と、そこら辺に何処でも居そうな男子高校生の蓮が付き合っているのか。更に何でこんなにもラブラブなのか恭介には理解出来ない。

勿論、蓮は性格も良く、人当たりも良い。些細な事でも気遣えて、冷静。それでいてノリが良くて、一緒にいて恭介も楽しい。伊達に小学校から友達をやっている訳では無い。それでも美少女を彼女に出来るなんて、恭介にとっては羨まけしからん事だった。


「あー、俺も彼女欲しいなー」


そう恭介が一人呟いた時だった。



ドオオォォーーーン!!!



と、激しく校舎が揺れる。


「うお!?」

「きゃっ!」

「危ない!」


立っていられない程の激しい揺れに足を崩す。蓮は咄嗟に葵を抱きとめた。


「あ、ありがとう」

「どう致しまして」


お礼を言う葵。よく見ると頬が少し赤くなっている。それを見て、こういう所を葵ちゃんは好きなのかな、と恭介は思った。

揺れはすぐに収まる。


「な、何だったんだよさっきの……」

「さぁ……恭介が彼女を作りたいなんて言ったから神様が怒ったんじゃないか?」

「それだけで!?俺、彼女を作るどころが作りたいと思ってもダメなのかよ!?」

「もう、蓮君ったら。けど……もしかしたらそうかもね」

「あ、葵ちゃんまで……」


恭介は急に泣きたくなり、肩を落とす。ちょっと弄り過ぎたと感じた蓮はそれ以上言うのを止めた。


「取り敢えず、教室まで降りないか?もしかしたら避難とかあるかも知れないし」

「そうだね。ほら、恭介君も行くよ」

「おう……」


まだ少しいじけた恭介を連れて教室に戻る。さっきの揺れで廊下は騒がしかった。混乱と迄は行かないが、皆何が起きたのか戸惑っている様だ。中には転倒したせいなのか少し怪我をしている生徒も見れた。


「急ごう」


これはもしかしたらただ事じゃないのかも知れないと、ようやく気付いた三人は教室へ急いだ。教室に到着したのは担任が教室に入って来るのとほぼ同時だった。


「皆落ち着いてよく聞けよ。少し大きな地震が起きたみたいだから、一応体育館に避難する。並んで決して走らずに体育館に全員行きなさい」


生徒は担任の言う事に従い、廊下に整列する。蓮達も同様だ。


「地震か……まぁ、大きいって言っても一瞬だったし大丈夫だろ」

「そうだね」


恭介と葵はさっきの揺れが地震と聞いて少しホッとする。確かに大きな揺れだったが、一瞬であったし、屋上から見たとき、外は火事などそれ程変わった様子は見られなかった。


「…………どうしたの蓮君?」


しかし、蓮は顔を俯かせ黙っていた。そんな蓮を見て、心配そうに葵は声をかける。それに気付いた蓮は慌てて取り繕うかの様に手を振る。


「いや……何でもないよ。それより体育館に行こう」

「うん」


葵はまだ何か言いたそうだったが、列が動きだし避難が開始されたので、何も言わずに歩き出した。




体育館に着くとガヤガヤと、中は想像以上に騒がしかった。


「地震だってよ」

「何か楽しいよな」

「やだよ、怖いよ〜」

「お父さんとお母さん大丈夫かな……」


生徒の様子は軽い興奮状態であったり、恐怖したり、家族や友達を心配したりと様々だった。いつもとは違う出来事が起こった今では、どれもが当たり前で、仕方の無い事だ。

体育館に入り、指定された場所にクラスごとで整列する。蓮達は三年生なので体育館後方に整列した。


「いつまでも騒いでないで静かにしろ!!」


教師の怒号が響き渡り、体育館内はしんと静まる。そして校長が壇上に上がった時、



「キャーーッ!!」

「うわぁーーー!!」



前方のほうから叫び声が聞こえた。




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