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Calling  作者: 式部雪花々
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第42話 大人な彼女 -2-

それから和泉沢先輩は少し間、考え込んでいた――。




私はその先輩の横顔に不安を覚えた。




「鈴はやっぱり毎週会えないと嫌?」


すると、思い切ったように先輩が言った。




そりゃあ、会えるなら毎日だって会いたい。




だけど、それは無理な話で。


それがわかっているから、今まで受験勉強の合い間に先輩が


「会いたい」と言ってもなるべく会わないように我慢してきた。


先輩が本命の大学に受かって一人暮らしするようになった時の為に。


我慢出来るように……。




「大丈夫です」


だから、そう答えるのが精一杯だった。




「……先輩、は?」


でも、先輩はどうなんだろうか?




「俺は……」


すぐに返って来ない返事。




面倒臭くなるのが目に見えてるから別れよう……とか言われちゃうのかな?




「毎週は会えないかもしれないけど、鈴とは別れたくない」


だけど、和泉沢先輩は私の目を真っ直ぐに見つめて言った。




(っ!?)




「メールだって電話だってするし、鈴に会いになるべく帰って来る」




(先輩……)




「……ダメ、かな?」




私は首を横に振って答えた。




「私も会いに行きます」


全然ダメなんかじゃない。




「だから、先輩の新しいお家、ちゃんと教えてくださいね?」


そして私がそう言うと、先輩は「うん」と笑ってくれた。




「私……先輩からもう付き合えないって言われたら、どうしようかと思ってました」




「えぇー、俺がそんな事言う訳ないじゃんっ。


 てか、逆に俺は鈴の方が嫌だって言うかと思ってた」




「そ、そんな事言いませんよー。そりゃ、会えないのは寂しいし、


 辛いですけど……三時間電車に乗ってれば会えるんですし、


 思い切ってお互い一時間半くらいの中間地点で会うのも有りだと思うんですよ」




「ちゅ、中間地点……?」


先輩は何だか変な顔をした。




「あ、あれ? 駄目ですか?」




「駄目じゃないけど、それはー……どうなんだろう?」




「だって、三時間後じゃなくて半分の時間の一時間半後に会えちゃうんですよ?」




「まぁ、そういう意味では有りっちゃ、有りなのか。


 んー……そうだよなー、例えばお互いあんまり時間が作れない時とかは


 そういうのも視野に入れた方が会う回数が増えるもんな?


 じゃあ、中間地点でなるべくゆっくりデート出来そうな所、今度調べとくかな」


先輩はそう言うとにっこり笑った――。

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