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Calling  作者: 式部雪花々
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第41話 クエストと報酬 その2 -2-

だけど五日前、鈴から『五秒だけ会って貰えませんか?』と電話があった。




そして待ち合わせ場所のすぐ近くの公園に行くと、鈴は


「邪魔じゃなかったら持って行って下さい」と小さな白い封筒を俺に渡して、


本当に五秒だけで帰ってしまった。


俺はしばし唖然とし、渡された封筒に目をやった。


すると、それは湯島天神のお守りだった。




俺の為にわざわざ湯島天神まで行って来てくれたのだ。




鈴がこんなに応援してくれているのに本気を出さない訳にはいかない。


しかも、美夏さんからのあのクエスト。


報酬は剛史さん経由で手に入れた鈴の超レア画像とか言っていたけれど……、


一体、どんな画像なんだろうか?






     ◆  ◆  ◆






大学まではホテルから歩いて十分程だった。


試験会場に入ると、かなり早く着いたはずなのに既に何人かの受験生が席に座っていた。




カバンから受験票と筆記用具を出して、そして鈴から貰った湯島天神のお守りを


制服の内ポケットに入れた。






     ◆  ◆  ◆






――数日後。




今日は先日、受験した本命の大学の合格発表の日だ。




「先輩、行きますよっ」


そう言って俺の手を引きパソコンルームに向かってズンズンと足を進める鈴。


大学のwebサイトでも閲覧出来る合格発表を昼休憩に一緒に見ようと


俺の教室に迎えに来たのだ。




「落ちてたらちゃんと慰めてね?」




「大丈夫ですよー。きっと受かってます」




「いや、でもなー……美夏さんにギリギリだって言われたし……」


問題自体は自分でも結構出来た方だと思う。


しかし、ここで余裕をぶっこいて落ちていたら立ち直れない。






「先輩、到着しましたよ」


鈴はそう言うとパソコンルームのドアをガチャリと勢いよく開け、


一番奥のパソコンの前に俺を座らせた。




「……鈴、俺が大学のサイトまでアクセスするから合格してるかどうか、


 見てくれる?」




「はい」




鈴は俺の隣に腰掛けると祈るようにパソコンのモニターを見つめた。






「せ、先輩……っ」


鈴はしばらくパソコンのモニターを見つめた後、少し焦ったように口を開いた。




(鈴のこのリアクション……もしかして、落ちた?)




「あ、あのっ」


「鈴、遠慮しないでハッキリ言ってくれ」


「は、はい、えーと……」


「……」


俺はごくりと息を呑んだ。

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