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Calling  作者: 式部雪花々
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第39話 Happy Birthday -1-

――翌日、十二月二十五日。




今日はクリスマス……と、私の誕生日。




(先輩と会いたいなぁー……)


でも、和泉沢先輩とは昨日も会ったばかりだ。


予期せぬ偶然だったけど。




受験勉強の邪魔になるってわかっているけれど、やっぱり誕生日くらいは会いたいって思う。


それにクリスマスだし。




(これってやっぱり我が侭かなぁー)


……と思いつつ、携帯に手を伸ばす。




電話をしてみようか、どうしようか。


だけど先輩はきっと勉強してるだろうし、昨日も何も言ってなかったし。




(でも、クリスマスプレゼントを渡すだけなら……)






そして携帯の画面を見つめたまま悶々としていると突然、着メロが鳴った。




「あっ」




“和泉沢先輩”




画面に映った着信表示に思わず目を疑った。




気持ちを落ち着かせる為に大きく深呼吸をして通話ボタンを押すと


和泉沢先輩の優しい声が聞こえてきた。


『俺』




「は、はいっ、こんにちは」


でも、全然落ち着けてなかった。




『……? なんか、今忙しい?』


和泉沢先輩も私の声がどこか不自然に聞こえたらしい。




「あ、いえ」




『ちょっと、時間ある?』




「はい」




『じゃあ、今から会わない? 夕方までだけど』




「……は、はいっ」


(やったーーーーーっ!!)


和泉沢先輩からのお誘い。


私は嬉しくて声が裏返りそうだった。






     ◆  ◆  ◆






――電話を切った後、急いで仕度をする。




夕方までの数時間とは言え、ちゃんと待ち合わせをして会うのは初めてだ。




服はこれで大丈夫かな?


髪は変じゃないかな?


クリスマスプレゼントはちゃんと持ったっけ?




玄関の姿見で全身を映して確認した後、髪を手櫛で整える。




そして、私は自転車のペダルを勢い良く漕ぎ始めた――。






いつもと同じ駅までの道のり。


なのに、すごく長く感じる。


でも、不思議と寒さはまったく感じていなかった。




“一秒でも早く先輩と会いたい……っ!”




そう思って自転車のスピードを上げるけれど、なかなか進まない。


気持ちばかりが焦って空回りしている感じだ。




こんな時、空が飛べたらいいのにな――。

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