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Calling  作者: 式部雪花々
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第38話 偶然と勘違い -4-

「先輩、剛史君と美夏さん、喧嘩中みたいなんですけど大丈夫ですかね?」


時間はちょうど十二時。


一緒にお昼ご飯を食べる事になった私達四人は前列を剛史君と美夏さん、


その後ろを私と和泉沢先輩が歩いていた。




「知ってる。でも、彼氏が一緒にいるのに俺と美夏さんで歩くのもなー」




「そうですけどー」


目の前の二人に視線を向けるとビミョーな距離を保ちつつ会話もないまま歩いている。




「そういえば、鈴と剛史さんは買い物?」




「はい。と言っても剛史君のお買い物に付き合わされてたんです」




「?」




「剛史君、美夏さんと仲直りしようと思って明日プレゼントを渡すつもりで


 選んでたんですよ。でも、一人じゃ選べないからって私が付き合わされてて……」




「なんだ、じゃあ、俺と一緒なんじゃん。俺も美夏さんに頼まれて


 一緒に剛史さんのプレゼント選んでたんだよ」




「あはは、そうだったんですかー」




「そうとも知らずあの二人は……」


和泉沢先輩はそう言うと、私達とは違って手も繋がないで歩いている剛史君と美夏さんに


視線を移してククッと笑った。




「あの二人って、付き合ってどれくらいなんだろうな?」




「私が聞いた話ですと、大学一年の夏かららしいですよ? だから二年半くらいですかね」




「どうりで喧嘩して仲直りするのも同じ方法を考え付く訳だ♪」




「ふふ、そうですね」


(喧嘩はしても仲直りしたい気持ちやプレゼント選びに一生懸命になれるなんて、


 素敵なカップルだな……)


付き合ってまだ三ヶ月ちょっとの私と和泉沢先輩。


剛史君と美夏さんみたいに素敵なカップルになれるといいな……――。




そういえば、和泉沢先輩と付き合い始めてこんな風に一緒に街を歩くのは初めてかも。


今まではお互いの試合があったし、先輩がサッカー部を引退してからは


受験勉強に専念して欲しくて、日曜日も会わないようにしていた。


改めて考えると“デートらしいデート”なんてした事がなかった気がする。




私がそんな事を考えていると、


「鈴、腕」


先輩が繋いでいた手を放して、私の手を自分の腕に絡ませた。




さっきまでよりも私と先輩の距離が近づく。




「この方があったかい♪」


先輩はが柔らかく微笑む。




「はい」


だから私もその笑顔に応えるように笑みを返した――。

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