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Calling  作者: 式部雪花々
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第38話 偶然と勘違い -3-

「なぁ、女の子ってやっぱプレゼントは、こーゆーブランド物の方が


 嬉しいのかな?」


そう言って今、私の隣でちょっと高そうな指輪を見つめているのは、


先日、うっかりクリスマス直前に彼女と喧嘩をしてしまったという義兄の


佐竹剛史君だ。


でも、喧嘩した後にちょっと言い過ぎたなと反省したらしく、


明日は謝りに行って一緒にクリスマスを過ごそうと、こうして一生懸命


プレゼントを選んでいるのだ。




「どうかなー? 別にブランド物じゃなくても心がこもってれば


 なんでも嬉しいと思うけど」




「えー、そんな事言われたら余計何をあげたらいいのか、わかんなくなるじゃん」




だから電話で「私じゃ役に立たないかも」って言ったのに。


それなのに半ば強引に一人で選ぶよりはマシだからと呼び出したのは剛史君の方だ。






「鈴」


そして私も和泉沢先輩のクリスマスプレゼントは何にしようかと考えていると、


後ろからまさにその和泉沢先輩の声が聞こえた。




「あ、先輩」


「……ん? 美夏っ!?」


先輩の声に振り向いた剛史君は和泉沢先輩の後ろから付いて来ていた女の子を見て驚いた。




「剛史君、お知り合い?」




「うん、えっと……彼女」




(という事は、この人が先日喧嘩した彼女さん? でも、なんで和泉沢先輩と


 一緒にいるんだろう?)




「大地君、この女の子と知り合いだったの?」


「うん、彼女」


「大地君の?」


「そそ」


「もぅ~、なーんだ、そういう事?」


目の前で話している和泉沢先輩と剛史君の彼女さんはなんだかとても親しそうだった。




「……て、なんで大地君の彼女が剛史と一緒にいるの?」




「鈴ちゃんは俺のアニキの嫁さんの妹、つまり俺の義理の妹だよ」




「「へっ?」」


剛史君が私とどういう関係なのかを答えると、和泉沢先輩と剛史君の彼女さんは同時に声をあげた。




「そういう美夏の方こそ、鈴ちゃんの彼氏とどういう関係?」


すると今度は剛史君がちょっと“何か”を疑っているみたいに彼女さんに質問した。




「大地君は私の教え子よ」




「あー、カテキョの?」




「うん、十一月から教えてる子」




なるほど。


そういえば、和泉沢先輩が十一月から週に三日、家庭教師が来ているんだと言っていた。




「てか、なんでこんな時間に教え子と一緒にいるんだ? カテキョのバイトは夕方からだろ?」


しかし、剛史君はまだ“何か”を疑っていた。




「そ、それはー……」


彼女さんもどうにも歯切れが悪い。


そんな反応をされると“先生と教え子”という関係以外なにかあるのかと疑ってしまう。




「あのー、とりあえず立ち話もなんなので場所移りませんか?」


そして気まずい雰囲気の中、そう口を開いたのは和泉沢先輩だった。

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