表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Calling  作者: 式部雪花々
77/94

第38話 偶然と勘違い -2-

(何故? どうして? なんで鈴が?)




「いくら喧嘩したからって当て付けみたいにあんな中学生みたいな子と


 遊ぶことないのにぃー」


美香さんは怪訝な顔で彼氏と鈴を見つめて……いや、睨んでいた。




(中学生じゃなくて高校生なんだけどな……て、そんなコトはどうでもいいか)




「もしかして、もう新しい女を見つけたとか?」




「いやいや、それはないでしょ」


だって相手の女の子は俺の“彼女”なんだし。


それにだいたい喧嘩したと言ってもまだ別れた訳じゃないのに。




「そんなに心配なら確かめてみればいいんじゃないっすか?」




「えー、どうやって?」




「フツーに声を掛ける」


美夏さんの彼氏と鈴がどうして一緒にいるのか気になるし、


美夏さんの誤解を解く為にも俺は二人がいるブランド店に向かって歩き始めた。




「ちょ、ちょっと……大地君っ!?」


「まぁまぁ、黙って付いて来て♪」


「声掛けるって、一体なんて?」


「いや、だからフツーに」


「“フツー”て何よぉ~?」


「そりゃ、まぁ『よぉ』とか、『やぁ』とか」


「はぁ~っ?」


「じゃ、このまま遠くから眺めて悶々してる?」


ピタリと足を止めて振り向く。




「も、悶々て……」


すると美夏さんも立ち止まって彼氏と鈴がいる方にちらりと目をやった。




「だって、悶々としてたよー?」




「う……で、でも、ちょっとだけ心の準備をさせて。


 だって、声を掛けて本当に新恋人とかだったりしたら……立ち直れないから」




「大丈夫だと思うよー?」




「もぉっ、他人事だと思ってー」




いや、俺にとっても全然他人事なんかじゃないんだけどな。


だって、ねぇ?




ここであっさり『一緒にいる可愛い子は俺の彼女だよ』とバラしてもよかったのだが、


プレゼント選びに付き合わせている“罰”として、もう少し黙っている事にした。






「……よ、よしっ、行こうっ」


しばらくして美夏さんは両手に握り拳を作りながら顔を上げた。




(だから、そんなに気合いを入れなくても大丈夫だって)


俺は思わず笑ってしまいそうになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ