表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Calling  作者: 式部雪花々
76/94

第38話 偶然と勘違い -1-

――十二月、冬休みに入ってから数日後。


彼方此方でクリスマスソングが流れる中、俺は隣にいる人物と歩調を合わせるように


少しゆっくり歩いていた。




気分は非常に憂鬱だ。




なぜって……




隣にいるのが鈴じゃないから。




鈴と会えないから。




学校がある平日なら昼休憩に鈴と会える。


しかし、冬休みに入ってしまって鈴は毎日部活があるし、


相変わらず日曜日も会ってくれないからだ。


しかも今日はクリスマスイブ。


今日と明日は部活も休みだと言っていたのにまだ会う約束すら出来ていない。




「ねぇ、大地君、プレゼント何がいいかなぁー?」


そして今、俺の隣を歩いているのは十一月から俺の家庭教師をやってくれている


女子大生の加藤美夏さん。


クリスマス前だというのに三日前、彼氏と喧嘩をしたらしい。


それで仲直りも兼ねて明日クリスマスプレゼントを渡しに行こうと考え、


そのプレゼント選びに俺は付き合わされているのだ。




「てか、俺、美夏さんの彼氏がどんな人なのか全然知らないしなぁー」


とか言って、実はこの時、俺は鈴のプレゼントの事で頭がいっぱいだった。


だって、明日は鈴の誕生日。


本来なら他人の彼氏のプレゼントを選んでいる場合なんかじゃないのだ。




「どんな彼氏かと言われればー、そうねー……」


しかし、美夏さんはそんな俺の心中をまったくわかっていない。


俺がどんな人かわからないと言ったもんだから、周りを見回して


彼氏と同じ様な感じの人を捜し始めた。




(捜さなくていいっつーの)




「あ、あの人。ホラ、今ちょうどあそこのブランド店の前にいる


 カップルの男の人みたいな感じ」


そして数メートル先のブランド店の中に入っていくカップルを指差し、


「……て、剛史っ!?」美夏さんはその男が知り合いだったのか、


驚いた顔をしながら二度見した。




「知り合い?」




「し、知り合いとゆーか……まさに彼氏。てか、知らない女の子と一緒だ」


美香さんは眉間に皺を寄せた。


知らない女の子と一緒とは、これはまた穏やかじゃない感じ?




しかし、次の瞬間、俺の心も穏やかじゃなくなった。




(鈴っ)


美夏さんの彼氏と一緒にいた女の子は鈴だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ