表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Calling  作者: 式部雪花々
74/94

第37話 まさか……S? -3-

「?」


中には俺がいつも学食で飲んでいるコーヒー牛乳と意外な物が入っていた。


淡いピンクの花柄の可愛いペーパーカップの中にクッキーが詰めてあって


透明なギフトバッグとピンクのリボンでラッピングがしてある。


これは間違いなく手作りだ。




「これ、鈴が作ってくれたの?」




「はい、先輩、牛乳嫌いだって言ってたからチーズクッキーならどうかなー?


 と、思ったんですけどー……チーズ嫌いでした?」


少し上目遣いに俺の顔を見上げた鈴。




「ううん、チーズは好きだよ」


(……鈴、俺の事、そこまで考えてくれたんだ?)




「よかったー、チーズならカルシウムがいっぱい入ってると思って」


鈴はそう言うとホッとしたように小さく笑った。


さっきまでの“Sな鈴”とはえらいギャップだ。




もしかしたら、さっきのSっぽいあの言動は照れ隠しで、態なのかもしれない。


いや、多分きっとそうだろう。


そうに決まってる……そういう事にしておこう。




俺は自分の中で自己解決した。




「ありがとう。てか、俺も鈴にプレゼントがあるんだ」




「えっ」




「昨日は鈴に悪い事しちゃったからそのお詫びに。はい」


それは昨日、鈴と病院の前で別れた後、一人でこっそりと寄り道して買った物だった。




「そ、そんなのいいですよー」


鈴は俺が差し出した小さな袋を拒むように両手と首をブンブン振っていた。




「いや、全然たいしたモンじゃないから」


俺のプレゼントは本当にたいした物じゃない。


値段だって全然“プレゼント”にしてはお粗末だ。


だけど“気持ち”を伝えたかった。




俺がもっと大人だったら……、もっと……もっと豪華な何かをプレゼント出来ただろう。




「で、でもー……」


それでも遠慮している鈴。




「まぁまぁ、いいから、いいから」


そう言ってちょっと強引に気兼ねしている鈴の手に渡した。


すると、鈴はやっと「あ、ありがとうございます」と言って受け取ってくれた。




掌に乗っている小さな小袋をじっと見つめる鈴。




そして、鈴は丁寧にラッピングを解いていった――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ