表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Calling  作者: 式部雪花々
72/94

第37話 まさか……S? -1-

「鈴」


HRが終わって教室を出ると和泉沢先輩が待っていた。




「……先輩っ!?」


昼休憩、和泉沢先輩は昨日私が岩井君と二人でいた事を怒っていたみたいだから、


まさか教室の前で待っているなんて思っても見なかった。




「ど、どうしたんですか……?」


私はすごく嫌な予感がしていた。




“別れよう”




そんな言葉が和泉沢先輩の口から出てきたらどうしよう……。


私と岩井君の事を何か誤解して、それで私の事を嫌いになったのかも?


大きな不安が頭を掠める。


私はギュッと目を閉じて俯いた。




「……え、と……さっきは……ごめん」


だけど、先輩は予想外の言葉を発した。




ハッと顔を上げる。


「あ、いえ……」


屋上にいた時とはまるで違うその表情にとりあえず、そう答えたけれど……




「なんか、ちょっと、イライラしてて……」




「?」


何か嫌なことでもあったのだろうか?


普通にそう思った。


だけど、先輩のイライラの原因は予想外な事だった。




「ずっと受験勉強ばっかで鈴とゆっくり会えないしさ……でも、


 あいつはよく鈴と一緒に帰ってるって言うし、昨日も二人で歩いてたし……、


 鈴の彼氏は俺なのにって思って……で、つい……」


和泉沢先輩はそう言うとばつが悪そうな顔をした。




(あ、そっか。だから先輩……)


私と先輩は付き合っていると言っても、休みの日に会う事はしていなかった。


それは先輩が受験生だから。


今までずっと部活を一生懸命やってきた人だから、これからは第一志望の大学に


受かる為に勉強を頑張って欲しくて会わないと決めていた。


どんなに会いたくても、我慢しようと思った。


先輩の為に。


それが今回、裏目に出てしまったようだ。




「鈴、怒ってる……?」




「いえ、全然怒ってなんかないです」


寧ろ、先輩の方が怒ってて、もう私の話なんて聞いてくれないんじゃないかって


思っていたくらいだ。


だから、こうしてわざわざ私の教室まで来てくれた事がすごく嬉しかった。




「ホント?」




「はい」


私が即答すると先輩は安心したように笑った。


そしてすぐに「んでさ、なんで昨日はあいつと二人だったの?」と訊いてきた。




そこはやはり気になっていたみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ