表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Calling  作者: 式部雪花々
43/94

第28話 ファーストキス -1-

鈴は俺にからかわれて、ちょっとだけ怒ったように上目遣いで見上げていたけれど、


シゲの事を話すと何かを思い出している様だった。


それがいつの事なのかわからないけれど、そんな鈴の表情を見ていると思わず抱きしめたくなった。




「鈴……」


(シゲとの事、思い出すなよ……)


なんとなくシゲと付き合っている時の事を思い出しているんじゃないかって思った。


頭を優しく撫でると初めて触れた彼女の髪は俺が思っていたよりも柔らかかった。




以前の俺なら、こんな風に髪に触れる事も出来なかった。


けれど、お互いの気持ちを確かめ合って付き合うようになった今、抱きしめてキスをする事だって……




「せ、先輩……?」


頭を撫でていた右手を肩に回して抱くと鈴は驚いた顔で視線を絡ませた。


そして、キスをしようと俺が顔を近づけると彼女がちょっとだけ顔を背けた。




(え……? 嫌がってる?)




「あ……ご、ごめんなさいっ、つい……」


「……つい?」


「じょ、条件反射で……」


「……」


(そういえば、鈴って結構反射神経良かったんだっけ?)




「……ごめんなさい」




「嫌?」




「そんな事ないですっ、ただ、ちょっとびっくりしちゃってそれで思わず……」




「じゃ、目瞑って?」




「?」




「瞑ってたら、条件反射しないだろ?」




「はい」


鈴はそう返事をするとゆっくりと目を閉じた――。




鈴と二度目のキス。


でも、今回は前回のような事故的なものじゃない。






「……」


唇を離すと鈴が恥ずかしそうに目を伏せた。




「あのさ……鈴」




「はい」




「ファーストキスっていつ?」




「えっ?」




「いや……なんか気になったから」




「三ヶ月前、です」




「それって、今年の六月って事?」




「はい」




「……もしかして、シゲ?」


俺が知らないだけで実はシゲとはとっくにキスをしていたのかと思った。


しかし、鈴は首を横に振った。




「え……じゃ、誰?」




「え、と……先輩、です」


恥ずかしそうに一瞬だけ横目で俺に視線を移す。




「へ?」


(俺っ!?)




「まさか、体育祭の前の日、テントが風で煽られて倒れた時の?」




「……はい」




「てか、あれを“初めて”にしちゃダメだろ」




「え」




「ちなみにー……なんだけどさ……」




「はい?」




「シゲとはキス、した?」




「いえ、してませんっ」




「そか。て事はさっきのキスが“初めて”か。まぁ、それなら、どっちにしろ相手が俺だからいいけど。


 いや、よくねぇな。やっぱ、さっきのが“初めて”」


俺がそう言うと鈴は嬉しそうに頷いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ