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Calling  作者: 式部雪花々
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第23話 監禁事件? -1-

――八月が終わり、あっという間に九月。




新学期が始まったこの日は普通なら始業式の後、午前中で帰れるところだけど


今日は午後もがっつりHRがある。


一ヵ月後にある学園祭の概要説明とクラスで何をやるかを決める為だ。




体育祭の時と同じ様に男女一名ずつの実行委員を選出した後、


みんなから出された意見を纏め、いくつか候補が絞られた。




ソフトクリーム、かき氷、シャーベットの冷たい食べ物系。


うどん、そば、ラーメンの温かい食べ物系。


フライドポテト、から揚げ、チキンナゲットなど揚げ物系。


フランクフルト、焼きとうもろこしの焼き物系。


焼きそば、お好み焼き、たこ焼きのソース物系。


肉まん、シュウマイとか蒸し物系。


後はポップコーン、綿菓子……など。




こうして考えてみれば結構意外と出来そうな物があるものだ。






そして多数決の結果、私達のクラスは簡単そうな肉まんをやる事になった。




しかし……




問題は“普通の肉まん屋さん”じゃないという事。


ただいろんな味を揃えてやるだけだとおもしろくないという事で、チャイナ服を着る事になった。


もちろん女子はチャイナドレスだ。




一体、何故……






     ◆  ◆  ◆






そしてHRが終わり、新学期早々日直だった私が日誌を書いていると、


同じくこの日の日直だった和田君が他の男子達と一緒に帰って行くのが見えた。




(まだ日直の仕事、全部終わってないのにー)




黒板はついさっきまでHRで決まった内容を学園祭実行委員の二人が書き写していたから


まだ残ったままだし、黒板を消した後はクリーナーで黒板消しをきれいにしておかなくてはならない。


だけど、その後は日誌を職員室に持っていくだけでたいした仕事も残っていない。


だから私は彼を呼び止めなかった。






日誌を書き終わり、黒板も消し終わった後、クリーナーをかけ終わった黒板消しを置いて気がついた。




(あれ? チョークがない)


白いチョークも赤いチョークもその他のカラーチョークもまともなチョークが一本もない。


全部短いチョークばかり。




チョーク入れの中を見ても教卓の中を探しても予備のチョークがなかった。


きっとみんな面倒臭がって、予備が無くなってるのに気が付いても先生の所へ


取りに行っていないのだろう。






「先生、教室のチョークがもう無くなっちゃったんですけど」


私は日直日誌を担任の先生の所に持って行き、ついでにチョークが無くなった事を伝えた。




「あー、そうか、そういえば忘れてた。夏休み前にも言われてたんだけど、


 つい物品倉庫に取りに行くのが面倒臭くてな」


先生は既に誰かから聞いていたらしい。




(なんだ、面倒臭がってたのは先生の方だったんだ)




「もう全然なかった?」




「はい、予備も切れちゃいましたし」




「そっか……あー、でも、どうしようかなぁー? 今から学年会議があるしー……」


先生はそう言うと私の顔をちらっと見た。


とてもわかりやすい“無言の訴え”。




「……取りに行きましょうか?」




「そうしてくれる? 悪いねぇー。あ、物品倉庫の鍵はあそこにあるから」


先生はまるで期待していたかのようにニッと笑い、職員室の奥にある鍵がたくさん掛かっている


ボードを指差した。




(全然、悪いと思ってない……)




だって、学年会議があったって別に取りに行くのは後でもいいわけだから。

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