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Calling  作者: 式部雪花々
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第21話 玉子焼き -1-

――八月の半ば、サッカー部の合宿が終わった日の朝。


午前十一時半に貸し切りバスで俺達が学校に戻ると一階の調理室で


織田ちゃんが何かしているのが見えた。




「織田ちゃん、何やってんの?」


俺とシゲは窓から中を覗いて織田ちゃんに話しかけた。




「男子テニス部と共同でお昼ご飯作ってるの」


そう言って振り向いた織田ちゃんは、にぎにぎとおむすびを握っていた。




「なんでまた?」




「いつもの『お疲れ様会』」




「あー、アレか」


“アレ”というのは男子テニス部と女子テニス部は毎年、


合宿とその後にある試合が終わると一緒に打ち上げをやっている。


そういえば去年もやっていたっけ。




「今年のメニューは何?」


調理室からは炊き立てのご飯と、後は玉子焼きと出汁系のいい匂いがしていた。




「んーとね、おむすびと玉子焼きと、後メインディッシュは流し素麺」




「ほぼ炭水化物……」


一体誰がこんなメニューを考えたのやら。




「でも、ちゃんと素麺の薬味にネギとか刻み海苔とか他にもいろいろあるんだよー?」


織田ちゃんが言ったとおり、別の調理台では他の部員達がネギや海苔を刻んでいたり、


手軽に摘めるようにキュウリやセロリ、ニンジンで野菜スティックを作っていた。




「あー、岩井君、摘み食いしちゃダメだよー」


そして、小峯の姿をそれとなく捜していると織田ちゃんの後ろから声が聞こえた。


ちょうど織田ちゃんの体に隠れていて見えなかったみたいだ。




「摘み食いじゃないよ、これは“味見”」


小峯の隣にはまたあの岩井って奴がいた。




(そうだった……あいつ、テニス部だったっけ)


なんであいつがいるんだ? と思い、そういえばあいつが男子テニス部だった事を思い出した。




小峯はどうやら玉子焼き担当らしい。


ひたすら玉子焼きを焼いて、それをまな板に移したところで岩井が包丁で切って皿に盛っている。


で、さっき岩井が玉子焼きを一切れ摘み食いしたのだ。




なんか……“仲良くお昼ご飯を一緒に作っている新婚カップルの図”みたいだな。




(俺も小峯の玉子焼き食いてぇーっ!)


「……シゲ、行こうぜ」




「あ? うん」




「じゃーな、織田ちゃん」




「うん、またねー」




俺は織田ちゃんに手を振り、部室棟に向かった。




「大地、なんでそんなスタスタ歩いてんだ?」




「いや、別に」


これ以上あそこにいたら、小峯と岩井がもっと仲良くしているところを見てしまいそうな気がした。


だから自然と早足になったのかもしれない。

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