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Calling  作者: 式部雪花々
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第19話 個人授業 -2-

「スパムメールだぞ」




「え?」




「早い話が迷惑メール」




「えーっ」




「メールアドレスの設定はした?」




「いえ……それもよくわかんなくて、まだしてないです」




「じゃあ、先にメアドの設定からするか。メアドはもう決めてあるのか?」




「いえ、全然決めてないです。どんなのがいいんですかねー?」




「んー、俺は名前と生年月日の組み合わせだけど、女の子はわりと好きな俳優とか


 アイドルの名前を使ってる子が多いみたいだな」




(やっぱり先輩、女の子の知り合い多いみたいだから詳しいな……)


ちょっと胸がズキンとした。




「小峯の好きな奴って誰?」




「えっ!? あ、えーと……」


本人が目の前にいるのに言える訳がない。




「好きなアイドルとか俳優とか」




(あ、そっちね……)


「特にいないです」




「そっか。んじゃ、メアドは後でも変えられるし、


 とりあえず名前と生年月日の組み合わせにしとくか」




「はい」




「小峯の誕生日いつ?」




「12月25日です」




「へー、クリスマスかー……て、もしかしてさ、小峯の名前ってー……、


 “ジングルベル”の“ベル”から取ってる?」




「わかっちゃいました?」




「うん、わかっちゃった♪」


和泉沢先輩はクスッと笑った。




「やっぱり笑っちゃいますよねー?」


私の名前の由来を聞いた人はだいたいは「安易だね」と笑う。




「でも、俺は可愛い名前だと思うけど?」




(……え)




だけど、先輩は「可愛い」って言ってくれた。




「名前の由来が立派でも、俺みたいに名前負けすることもあるんだし」




「先輩の名前の由来って何ですか?」




「『大地の如く、大きな人間になれ』だってさ」




「全然名前負けなんかしてないじゃないですか?」




「んー、体だけは大きくなったけどな」




「そんな事ないです。心も大きいですよっ」


私がそう言うと先輩は顔を赤くして照れたように笑った。


(先輩ってこういう顔もするんだ?)


今まで見たことない和泉沢先輩の顔にまたキュンとなった――。






「メアドも設定したし、これでスパムもまず来なくなると思うから。


 じゃ、実際にメール打って送ってみるか」


和泉沢先輩はそう言うと今度は自分の携帯を出した。




「今から赤外線通信で俺のメアド送るから」


そう言って何やらポチポチと携帯をいじった後、今度は私の携帯で


一つ一つ説明をしながら赤外線通信のやり方も教えてくれた。






「赤外線通信をすれば、一々自分の携帯番号とかメアドを口で言わなくても


 正確に相手の携帯に情報を送る事が出来るんだ」




「ほぇぇ~っ、すごーい、なんかハイテクですねー」




「ははは、聞いただけだとなんか小難しい感じもするけど、実際には簡単だろ?」




「はい」




「ところで、小峯の携帯番号とメアド、このまま俺の携帯に保存していい?」




「は、はい」


今日はただのレクチャーだから終わったらすぐに消しちゃうんだと思っていた。


でも、私の番号とメアドをメモリーに入れてくれたのはすごく嬉しかった。




「あ、俺の番号とかも保存しといてね」




「はいっ」


先輩の番号もてっきり後で消してくれって言われるかと思っていたのに。




私の携帯のメモリー番号“000”に和泉沢先輩の携帯番号が登録された――。

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