表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Calling  作者: 式部雪花々
23/94

第15話 救出 -1-

――七月に入り、夏休みも近づいてきた頃。




今日から一週間、期末考査があって午後からは授業も部活もない。


久しぶりに“帰宅部”と同じ時間帯の下校だ。






そして駅前に辿り着くと、前方から軽そうな女子大生が近づいてきた。


「ねぇねぇっ、ちょっといい?」




「?」




「今、カットモデルを探してるんだけど、あなたやってくれないかな?」




「あー、いや、そーゆーのいいです」




「絶対、悪いようにしないし、今よりももっと格好良くなるよ?」




「急いでるんで」




「今日、時間ないなら明日でも」




「明日も時間ないっす」




「じゃ、いつならあるの?」




「ずっとない」


俺がそう言って再び歩き始めても女子大生はまだついて来ていた。




「一日くらいは時間あるでしょ?」




(しつこいなー)


ふと周りを見てみると俺以外にも何人かが同じ様に捕まっていた。


男子は女子大生に、女子もやはり大学生と思われる男に捕まっている。


どうも新手のキャッチセールスみたいだ。


“カットモデル”だとかなんとか言って店に連れ込んで適当にカットした後、


「お手入れにはコレがいいですよ」とか言ってやたら高いシャンプーとか売りつけるんだろうな。




そして駅の構内に入ろうとした時、小峯の姿が見えた――。






小峯は男二人に挟まれ、困った顔をしていた。




(あっちゃー……もしかして逃げられないのか?)


俺は後ろからついて来ながらまだ何か言っている女子大生を無視して小峯に近づいた。






「カットモデルくらいいいじゃん」


「絶対、今よりすんげぇ可愛くしてあげるからっ」


男二人は小峯を壁際にして逃がさないようにその前に立っている。


ゆるゆると断っているうちにジリジリと追い詰められたのか?




(つーか、さっき俺に絡んできた女子大生と同じ事言ってるし)




俺はどうにも逃げ場のなさそうな小峯を救出する為、男共の間を割って入った。


「お待たせーっ」




「……せ、先輩っ!?」




「ごめんな、待たせて。行こうか」




「えっ? えっ?」


小峯は唖然としていた。




「あれー? 何? 彼氏?」


「彼氏もカッコいいじゃん。 ねぇ、彼氏もカットモデルどぉ?」


俺が小峯の手を引いて立ち去ろうとしていると男共は俺の前を塞いだ。




「いえ、結構です」




「なんで? いいじゃん」




「そうそう、悪いようにはしないから」




(だから、バカの一つ覚えかって)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ