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二十二話 一緒にお昼を食べよう

「うぅ……もう月曜日なのじゃ……」


 楽しい休みほど早く過ぎる。ルリがしょんぼりしながら布団を巻き付け階段を降りていく。


「ルリ、学校に行くの楽しみにしてなかったか?」


 先に起きていたグレンがテーブルの上で、ルリのしょぼくれた顔めがけ言葉をかける。


「そうじゃが、やっぱりグレンと同じ教室じゃないとつまらんからのう」


 横目で見ていたルーフェンが体をこちらに向ける。


「休み時間とかで会えたりしないのか?ほら、昼とか比較的長い休憩があるだろ」


 ルリがその言葉を聞いた刹那、目を輝かせた。


「おぉ、その手があったか。わし、その時間はずっと寝てたのじゃ」


「そういえば、昼ごはん一緒に食べたことなかったな。そっちの教室行きたいけど、なんか雰囲気が行きづらくてな……」


 グレンはため息をつく。物理的な距離もあれば、圧倒的な階級の差のようなものも感じるのだ。ゆえに、影星の生徒で始星がある棟へ行く人は少ない。


「むむ……じゃあ昼ごはん一緒に食べるのじゃ、学園の中央に広い中庭があるはずなのじゃ――」



 グレンは、朝に交わしたそんな会話を思い返していた。


 朝の約束通り、昼休みになってルリは中庭に現れた。


 午前の授業は、いつもよりずっと短く感じた。

 あるいは、考え事をしている間に終わってしまったのかもしれない。


「待たせたのじゃ、グレン!」


 常駐する第七隊の兵士を横切り、ルリはちょこちょこと走ってくる。彼らはフルフェイスの兜を纏っているため表情は見えず、生徒たちも畏縮する存在になってしまっている。


「お疲れ様なのじゃ!」


 そんな周りの反応とは関係なしに、ルリはくるりと振り返ると騎士隊員に挨拶する。隊員ですら少し動揺しているのか、「あっ、ああ……」と返答するに留まった。


「お前のそういう所、たまに凄く羨ましく思うよ……で、何を買ってきたんだ?」


「超王道、焼きそばパンじゃ!!」


 昼の購買、先に買っていたグレンはベンチで待ち、ルリは渋々一人で買いに出かけていた。


「ごめんな、あそこ人が多くて苦手でさ」


「じゃあわしが作るか?味気ないパン1個より、わしが作る料理のほうがきっとおいしかろう」


「興味あるな……明日とか作ってよ。俺食べたい」


「よかろう。わしの料理センス、とくと見せてくれるわ」


「ルーフェンの家で皿割ってた奴が料理作れるとは思えんがな」


「ぬっ?見ておれ、わしの圧倒的センスを」


 楽しい。そんな感情が自然に生み出される。考えずとも言葉は紡がれ、会話は弾む――


「お弁当……かぁ」


 そんな中、遠目で2人の影を見つめる者がいた。


「カッ……カイナちゃんっ。盗み聞きはよくないよ……」


 リノアが服を引く。しかし、カイナは頑なに木の陰から動こうとしない。


「明日、わたしも……」


 目を光らせてカイナは唸る。それはまるで獲物を狙う猛獣のよう……


「でもカイナちゃんお弁当とか作ったことあるの?」


 リノアはそんななか恐る恐る質問する


「ない……」 


 カイナはへこたれる。しかし、目の奥に光る衝動は消えていない。


「でも、やらなきゃ始まらないっしょ」


 拳を握りしめ、腕を少し突き上げる。


「じゃ……じゃあ私でよければアドバイスとか出来るけど……」


「本当か!?よっしゃ、じゃあ今日の放課後は買い物決定ね」


「う、うん」


 グレンらを見つめる影はいつの間にか鳴りを潜め行動に走っていた。次の日グレンは地獄をみることになる――

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