昼のジタバタ
(きーんこーんかーんこーん。と校舎のチャイムが鳴る。)
美納葉「昼休みだぁぁぁっっ!!!!!」
教師「うん。まだ起立と礼がまだだね。あとちょっとだけだから待ってね?」
(授業が終わると、ざわざわという賑やかさが教室に戻ってきて、生徒達は食事のために席を移動させる。)
(千隼:野洲国の近くへ椅子を持って行き、弁当の蓋を開ける。)
野洲国「ふはぁ••••腹減った••••」
千隼「朝からずっと言ってんな」
野洲国「俺達運動部は朝練があるんだよ」
千隼「バドミントン部だっけ?」
野洲国「ひょうほう(そうそう)」
千隼「口の中の食べ物を飲み込んでから話しなさい」
野洲国「(ごくり)。それにしてもあれだな。天野宮さんってやっぱりぶっ飛んでんだな」
千隼「何を今更」
野洲国「最近知ったんだけどさ、この学校の七不思議のうちの何個か、天野宮さん案件って噂が立ってんだよ。おかしな話だよな」
千隼「妥当だな」
野洲国「いやその反応はおかしいだろ。幼馴染が七不思議扱いされてんだぞ?もっとなんか他にあるだろ。••••まぁいいや、その七不思議のことなんだけどさ」
千隼「おう」
野洲国「個人的に一番天野宮さんっぽいのあるんだよね」
(野洲国:千隼に顔を寄せ、ひそひそと小声で話しかける。)
野洲国「••••それが何て呼ばれてるか知ってる?」
千隼「知らん」
野洲国「黒髪乙女のターボババアだよ!」
千隼「いや知らんわ」
野洲国「えっ!?あの有名な黒髪乙女のターボババア知らないの!?」
千隼「いやそんな知る人ぞ知る名店みたいに言われても••••」
野洲国「いや普通に学校中で知れ渡ってるぞ」
(千隼:驚いた表情で野洲国を見やる。)
野洲国「あっ!初めて知ったって顔だ!?」
千隼「••••美納葉って学校中で痴態晒してんの?」
野洲国「いや?広まってるのは黒髪乙女のターボババアの噂だけ。天野宮さん=黒髪乙女のターボババアって噂は、まだそこまで広まってないみたいだ」
千隼「へぇ〜」
野洲国「だからさ俺たちでその噂が偽物だって解明しようぜ!」
千隼「何が『だからさ』なのか全く分からんのだけど」
野洲国「お前だって天野宮さんがそんな噂にされてたら嫌だろ?」
千隼「いや全然どうでもいい••••そもそも七不思議とか、ソースはどこだよ••••」
(野洲国:腰を曲げて鞄に手を入れて、その中をごそごそと漁り始めて、何やらボトルを取り出す)
野洲国「••••マイソースなら鞄の奥の方に」
千隼「いやそっちのソースじゃないよ!?てか何でソース持ってんだよ!?」
野洲国「関西圏の俺らにとっちゃ命みてぇなもんだろうが!」
千隼「いや違うけど!?なんなら関西圏の中でもトップクラスに方言が薄いのがうちの県だろ!?」
野洲国「じゃかあしい!千隼!ならばお前カレーに何を入れる!?」
千隼「チーズ」
野洲国「そっちかぁ••••!」
千隼「そっちかぁってなんだよ!カレーに何入れようが俺の勝手••••ってそうじゃない!聞きたいのは情報のソースだよ!」
野洲国「あー••••そっち?」
千隼「逆にこの文脈でそうならないほうが心配だぞ」
◆◇◆◇◆
(食事を終えた千隼は野洲国に連れられて廊下へ出る。)
千隼「で?廊下に来たのはどういう訳だ?」
野洲国「お前の言ってた情報のソースをいちいち言うのも面倒だし、ターボババアの実物を見せてやろうと思ってな」
千隼「はぁ••••」
野洲国「あれを見れば流石に天野宮さん説は消えるだろ!黒髪乙女のターボババアの噂その一!昼休みの廊下に発生する!」
(野洲国が高らかに叫んだ少し後に、二人の前を黒い影が目の前を過ぎる。)
(野洲国:勢いよく千隼の方へ振り向く。)
野洲国「なっ!?今目の前に通ってたろ?」
千隼「ただの美納葉だな」
野洲国「あっれぇ〜!?」
千隼「え?見えなかったのか?」
(野洲国:ブンブンと首を縦に振って頷く。)
千隼「美納葉にとっちゃこの程度の速度造作もないぞ?よかったな。謎が解明できたぞ」
野洲国「違う、そうじゃない!」
千隼「なんだよ」
野洲国「俺はただ、天野宮さん=黒髪乙女のターボババア説を無くそうとして••••」
(刹那。再び二人の前を再度黒い残像が走り抜け、それは少し離れた場所で停止する。停止した影は千隼と野洲国に対して声をかけた。)
美納葉「どしたの二人とも?」
野洲国「確かな物的証拠!?」
(野洲国:膝から崩れ落ちる。)
◆◇◆◇◆
(教室に戻り、野洲国は項垂れた様子で呟く。)
野洲国「••••あそこまで天野宮さんが人間離れしていたとは••••」
千隼「お前はまだ若かったってことだ。そもそも七不思議なんてものは存在しないのさ。あるのは美納葉だけ。••••というかそもそも今回みたいな事例は別に初めてじゃないしな」
野洲国「嘘だッ!?」
千隼「マジだよ。••••たしか、幼稚園だっけ?美納葉が自身の圧倒的な身体能力を試したくて夜な夜な走り回ってたんだよ」
野洲国「ほう」
千隼「そんでその場にたまたま通りかかった車があってだな?美納葉がそれに競争を仕掛けたんだよ」
野洲国「••••ほう?」
千隼「結果は美納葉の圧勝。背後から走ってくる年端もいかない子供に追い抜かれる恐怖は凄まじかったんだろうな、その日から『100キロロリ』って噂が流れたよ」
野洲国「何そのかけっこレベル100怖すぎるだろ••••」
(野洲国:ドン引きした様子で遠い目をする。)
千隼「ま、なんだ。美納葉の評価をあと十段階ぐらい下げた方がいいな」
野洲国「••••そうするよ」
千隼「そういえば。美納葉ってこの学校でどんな扱いなの?」
野洲国「幼馴染のくせに無関心なのかよ••••」
千隼「まぁな。俺に迷惑がかかってるならいざ知らずだけど」
野洲国「お前の天野宮さんの扱い酷いよな」
千隼「お前は天変地異に悪感情以外を持つのか?」
野洲国「お前の考えはまぁなんとなくわかったよ••••んで、天野宮さんの扱いだっけ?」
千隼「そうそう。実際のとこどうなんよ?」
野洲国「うーん。••••ちょいと天然だけど基本的にお淑やかの美少女?かな」
(千隼:ベルサイ○のばらレベルの白目を剥く。)
千隼「なん••••だと••••!?」
野洲国「そこまで驚くか」
千隼「あいつがあそこまで擬態できたなんて。今までで一番長いぞ」
野洲国「まぁ、さっきのターボババア=天野宮さんって噂も、完璧美少女の彼女に嫉妬した奴が言ったのが始まりだと思うしな」
千隼「完璧••••美少女••••?」
野洲国「マジでピンとこないって顔しないでくれない?」
(野洲国:崩れ落ちる千隼を横目にため息を溢す。)
野洲国「••••俺としちゃあ、お前も大概なんだがなぁ?」
最後まで読んでいただき、感謝です!
本編『幼馴染Vtuber、暴走するってよ』の方もどうぞよしなにお願いします!
因みに略称は未だ募集中なので、そちらもよろしくお願いします!




