↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/80

#13 幼女と犬の骨

 達海と春明、そしてカフェ陰陽の幽霊たちは、幼女の幽霊から話を聞いていた。


「君、名前は?」


 アクタからの優しい問いかけに、幼女が懸命に答える。


「百香《ももか》はね、百香っていうの」


「百香ちゃん。可愛い名前だね。それじゃあ百香ちゃん、助けてほしいワンちゃんはどこにいるのかな?」


 続けてフォトも優しく百香に問いかけた。


「あのね、あっちにいるの」


 百香はぴょんぴょんと軽く飛び跳ねながら窓の外を指差した。きっと指さした方向にその犬がいるのだろう。百香は話を続けた。


「箱の中にね、ワンちゃんがいたの。百香ね、毎日そのワンちゃん見に行ってたんだけど、バンって急に体が痛くなって。百香、何してたかわからなくなって」


 皆が、うんうんと百香の話を静かに聞く。


「百香、ワンちゃんのところに行かなくちゃって思い出したの。でもね、ワンちゃんホネホネになってて。百香ね、お墓を作ってあげようと思ったの、でも上手くできなくて、ホネホネが持てないの。パパもママも百香を無視するし……。でもね、泣いてたらね、おじいさんがここに連れてきてくれたの」


「そっか、百香ちゃんはワンちゃんのお墓を作ってあげたいんだね」


 フォトが涙ぐむ百香を宥めるように、彼女の頭を撫でながら言った。


「そうか、犬の墓を作ってやるだけなら、俺が行くまでもない。天池、行ってやれ」


「俺が? 今から!?」


 春明が窓の外を親指でさしながら言うと、達海は少し面倒くさそうに反応した。


「頼むよ天池。まず、犬の骨を土に埋めるのは俺たち生者しかできない」


 春明が言うと、この話を飲み込めていない様子の達海にお嬢が補足する。


「私たち幽霊は現世に存在する物を動(・)か(・)す(・)ことは苦手なのですわ」


 するとマッチョが部屋にある椅子に近づき、実演しながらさらに説明を続けた。


「ワタクシたち幽霊はこの椅子に触れたり、すり抜けたり、座ったりすることができる! しかし、動かそうとすると……」


 マッチョは椅子の背もたれを持ち、力いっぱい引っ張る動きを見せる。しかし、椅子が数センチほど動いたのち、マッチョの手は椅子をすり抜けてしまった。


「このように、すぐにすり抜けて少ししか動かすことができない!」


「説明ありがとう、お嬢、マッチョ。こんなふうに普通の幽霊はこの程度しか物を動かせない。霊魂のエネルギーが強ければ、強いほど物を動かす力も強くなるようだがね。ポ(・)ル(・)タ(・)ー(・)ガ(・)イ(・)ス(・)ト(・)って知ってるかい? ありゃ、相当にヤバい悪霊の仕業だよ」


 ポルターガイスト。心霊番組なんかでよく見る、物が勝手に動き出すというやつだ。

 説明を終えた春明は続けて達海に話す。


「とゆーわけで、この子の依頼を遂行することができるのは俺ら生者だけだ。この子の未練が犬の墓を作ってやることかどうかはわからんが、やってくれるよな、天池」


「春明さんは行かないんですか」


「俺は祖父《じい》さんと交代して、この店を見てないといけないから。それに、こんなことで面倒がっていたら、レイの成仏なんて見届けられないぞ」


 春明はニヤリとして言った。


「わかったよ、行ってきますよ」


 達海があからさまに面倒くさそうな雰囲気で言うと、レイが立ち上がった。


「私も行く!」


 春明はやっぱりかという表情でレイに視線を向ける。


「今日は……まあ、大丈夫か。行ってこい」


「やったあ」


 春明が渋々了承すると、レイは満面の笑みで喜んでみせる。

 懐中電灯を持った達海とレイは百香と共にカフェ陰陽を出た。



 達海たちは百香に連れられて、コンクリートで造られた建物へとやって来た。ショピングモールだったのだろうか。廃屋となり、相当な年月が経っているようだった。 

 百香は達海の腕を引っ張りながら、立体駐車場だったところへと足を急がせる。

 駐車場の一階。月明かりも届かないこの場所で、達海たちは懐中電灯の灯りを頼りに進んでいく。

 すると、太い柱のすぐ脇に小さなダンボールが置かれていた。達海たちが近づき、中を覗いてみると、綺麗に白骨化した子犬の死骸が入っていた。死んでしまってから、もう相当な年月が経っているのだろう。


「じゃあこのワンちゃん、春明さんの知り合いが居る、近くの寺の土に埋めてやるから、そこにお墓を作ろう」


 達海はダンボールに近づくと、手を合わせる仕草をしてからそれを持ち上げた。


「よかったね、百香ちゃん」


 レイは百香に笑顔を向ける。


「うん。ありがとう! お兄ちゃん! お姉ちゃん!」


 そう笑顔で言った百香の上半身は、瞬く間に彼女の背後から薙ぎ払われた太い棒状の物体により、消し飛んだ。


「は?」

ぜひ作品の評価、感想、ご指摘等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
xで興味を持ったので、ここまで読ませていただきました。 率直な感想を申しますと、光るところが見える小説ですね。 文章がわかりにくかったり、キャラクターの感情の起伏が、セリフから読み取れない感じました…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。