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「基本的に戦争は力で決まる」(CV:杉田和智)②


 なんだ、この奇声、なんなのだ、この暴力的な剣圧は――!?


 剣で思いっきり薙ぎ払われた、と気がついたのは、衝撃を受けきれずに吹き飛び、三回ほど錐揉み回転して地面を転がったときだった。最初の一撃の時点でもはやどこが上でどこが下かもわからなくなり――ヴィエルは派手に十メートルも吹き飛んだ。


「ヴィエル様――!」


 アリスの悲鳴が聞こえたが、どうしようもなかった。最後の着地は頭から。しばらく視界に乱舞する星を眺めながら、ヴィエルはようようのことで身体を起こした。


「んな、なななな……!?」

「ほう……曲がりなりにも初太刀を受けてみせるとは、流石だな」


 ロイドが関心半分、失望半分という声で剣を構え直す。


「このバルドゥール家秘伝の豪剣術、『オイィィィイイイ流剣術』に本来二撃目はない。すべて初太刀でカタがつくはずなんだが――公爵家の人間相手にはやはりそうもいかんか。30%に加減した今の力ではやはり失礼だったな。今度は60%の俺を見せてやるとしよう」


 今ので30%の力!? っていうか、オイィィィイイイ流剣術って――!?


 ヴィエルが目をひん剥くと、オオオオオ、と音がしそうな勢いで、ロイドの厳つい身体から闘気が立ち上った。


「さぁ――そう何度も受けきれると思うなよ! 行くぞヴィエル・アンソロジューン! ……おいイィィィイイイイッ!!」


 瞬間、考えもなくその場を飛び退ったヴィエルの横に、ズンゴ、という圧の強い衝撃が発した。


 もはや受け身も取れずに地面に転がり、咳き込みながら一瞬前に自分がいた場所を見ると――ロイドが握った剣の切っ先が、地面に深々とクレーターを作ってめり込んでいた。


「うぉのれぇ、ちょこまかとすばしっこい奴め――! そのまま棒立ちになっていてくれれば頭蓋骨が粉砕される程度で済ませられるものを――!」

「ず……頭蓋骨を粉砕する程度って何だよ! その時点で既に死んでんじゃね―か!! 俺を殺すどころか魂まで粉砕するつもりか、この脳筋!!」

「決闘を受けた時点で命のやりとりは覚悟の上だろう! それに俺はどんな相手にも手加減はしない! 子兎一匹狩るのにも十万の軍勢を興す、それがバルドゥール家の流儀だ!」

「お前は曹操かよ! どこの三国志だ! ……くそっ、流石は脳筋の杉田キャラ、想像を絶する圧の強さだぜ……!」


 ヴィエルは一発で埃まみれになった金髪をわしわしと手で掻き毟り、剣を構え直した。既に最初の一発を受けた時点で手には消えない痺れが残り、触覚が消えかけている。


 とにかく――あんなもの、こんな棒切れで受け続けられるわけがない。木剣を真っ二つに引き裂かれた瞬間、そのまま額をカチ割られてお陀仏だ。しかもあの見た目に関わらず、ロイドは相当に素早い。あの豪剣を避け続け、隙を見て一撃を喰らわせるのも、とても現実的とは思えない。


 ならば――やることはひとつしかない。隙を作るのだ。

 ヴィエルは糸目を更に細め、ロイドを真正面に見つめた。


「オイオイ……そんなに俺がアリスとイチャイチャしてたのが気に入らねぇのか? 随分肩に力入ってんじゃねぇかよ。イカリ肩が更にイカってんな」


 その挑発に、ピキ、とロイドの顔面が痙攣した。





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