68.お酒は程々に
クーイの【料理神】によりワイン、それとブランデーの開発に成功した。
ワインやブランデーを寝かせるための酒造用の保管庫について、ファリーたちドワーフがすぐに建設する。
ウィルアムの【鑑定】で地下保管庫の温度を14度に調整してからスティクォンの【現状維持】で温度を維持した。
これで部屋の扉を開閉しても常に室温14度が保たれる。
「ふぅ、あとはここにワインとブランデーを入れて寝かせるだけですね」
「そうですな。 ただ、ワインとブランデーを一目で解るように目印を付けるべきでしょう」
「目印か・・・樽に刻印でもすれば区別がつくかな?」
「なるほど、それならワインとブランデーを混同することはないでしょう。 ついでにいつ製造したのかも一緒に刻印しておきましょう」
スティクォンはファリーのところに行くと事情を説明してワイン、ブランデー、製造年月日の焼き印を作ってもらい、それぞれの樽に刻んでいった。
目印を付けていざ樽を保管庫に収納しようとしたときにスティクォンが思いつく。
「せっかく造ったんですからみんなで酒盛りしませんか?」
「酒盛りでございましょうか?」
「ええ、自分たちが造ったものがどれほどのものかみんなも気になる筈です」
「たしかにそうですな。 酒盛り用にワイン9樽とブランデー2樽、あとはここに寝かすというのはどうでしょう?」
「そうですね。 それだけあれば十分でしょう」
ワイン9樽とブランデー2樽を別にして、残ったワインやブランデーの樽を地下保管庫に入れて熟成するまで寝かせることにした。
太陽が西の地平線に触れる頃。
南東の人工海では死の砂漠の開拓地に住むすべての者が集まっていた。
いつものメンバーに加え、ホビット族やドワーフ族、それに魚鱗人族、人魚、セイレーンなどの海人たち総勢200人以上だ。
砂浜には多くの魚貝や野菜のほかに造りたてのワイン9樽とブランデー2樽が置かれている。
「ホビットとドワーフのみんな、今日はワインとブランデー造りに協力してくれてありがとう。 ささやかながら酒盛りをしたいと思います」
『さあ、ガンガン飲むぞ!!』
スティクォンの音頭にシディアが大興奮だ。
早速ワインを開けてみんなに配っていく。
シディアの前にはワイン3樽とブランデー1樽を置いた。
みんなに配り終わると再びスティクォンが音頭をとる。
「みんな、行き渡ったかな? それでは乾杯!!」
「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」
できたてのワインを口にする。
「美味しいです!」
「このワインって飲み物葡萄の味がすごく濃縮されてます」
「飲むとポカポカします」
リル、ファリー、クレアは飲み干すと気に入ったのかワインをお替わりする。
ワインだけでなくウィルアムが用意した野菜や魚貝の塩焼きも皆の胃袋に収まっていく。
そんな中、スティクォンは酒が飲みたいといった海人たちのところに行くと向こうから声をかけてきた。
「スティクォンさん! この酒美味しいですよ!!」
「まさかここでこんな美味しい酒が飲めるとは思っていなかったですよ!!」
「俺たちの我儘を聞いてくれてありがとうございます!!」
「別にいいですよ。 あと、樽を1つ置いていきますので皆さんで仲良く飲んでください」
スティクォンは未開封のワイン1樽を海人たちに渡してその場を後にする。
それからシディアのところに向かう。
『ゴクゴクゴク・・・ぷはぁ! 美味い!!』
ワインを飲んですっかり上機嫌なシディア。
「シディア、楽しんでいるか?」
『おお、スティクォン、見ての通りだ』
すでに1樽目を飲み終えたのか2樽目に突入している。
「シディア、済まない。 本当はもっと用意したかったんだけど・・・」
『気にするな。 感謝こそすれ批判などありはしない』
「そう言ってくれて助かるよ。 あと、こちらの樽だけどワインを蒸留という技法で造ったブランデーという酒だ。 よかったら飲んでくれ」
するとシディアの目の色が変わった。
『先ほど少し飲んだが今までとは違う酒に驚いたぞ。 あれは最後にゆっくりと味わって飲む予定だ』
「ブランデーは造った数が少ないからな。 シディアの口に合ったのならよかったよ」
『うむ、楽しみがまた1つ増えたことに感謝するぞ』
それだけいうとシディアは再びワインを飲み始めた。
一通り見て回って戻ってきたスティクォン。
そこにリル、ファリー、クレアが足元をふらつかせながらやってくる。
「あれ~スティクォンさんだ~」
「本当だ~」
「けどなんでたくさんいるんですか~」
リルたちはワインを飲みすぎたのかすっかり酔っていた。
スティクォンにしがみつくとそのまま砂浜に押し倒して覆いかぶさる。
「リル、ファリー、クレア?」
「なんだか身体が熱くなってきました~」
「服が邪魔~」
「脱いじゃいましょう~」
リルたちは上着に手をかけると躊躇なく脱いだ。
「3人とも待って! ここで脱ぐのはダメだ!!」
「ふにゃ~、スティクォンさ~ん~」
「風が気持ちいいです~」
「このまま一緒に~」
スティクォンに倒れこむとリルたちはそのまま眠ってしまった。
「くぅくぅ」
「すーすー」
「すやすや」
「あー、これどうしよう」
悩んでいるうちにスティクォンも酒が回ったのかそのまま眠ってしまった。
翌日───
砂浜には酒に潰れた多くの者たちがいた。
「うーん、もう朝か・・・」
スティクォンが目を覚ますと同時にリルたちも目を覚ました。
「ぅぅん、ここは・・・」
「頭が・・・」
「痛いです・・・」
「3人とも大丈夫か?」
リルたちは目の前のスティクォンと自分たちの姿を見て悲鳴を上げた。
「きゃあああああぁーーーーーっ!!」
「スティクォンさんのエッチっ!!」
「スティクォンさんはこんなことする人じゃないって信じてたのにっ!!」
「ちょ、ちょっと待ってっ! 僕は何もしてないよっ!!」
そこに近くにいたシディアが声をかける。
『リル、ファリー、クレア、落ち着け。 スティクォンは何もしていない。 むしろ押し倒されて困っていたぞ』
シディアがリルたちに昨日この場で何があったのかを伝えるとその場はすぐに収まった。




