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53.海水浴

死の砂漠にある開拓地に人工海ができたことで定期的に塩が手に入るようになった。

それと同時に魚や貝、海藻や海草も食卓に並んだ。

これにより食が前よりも向上したといえるだろう。


スティクォンたちがそれぞれの作業を終えて戻ってくるとウィルアムが大量の魚や野菜を料理していた。

「メルーアお嬢様、皆様、今日もお疲れさまでした。 食事を用意しましたのでお召し上がりください」

「ありがとう、爺」

スティクォンたちはそれぞれ礼を言うとウィルアムの用意した料理を食べる。

「美味しいですわ♪」

「塩を振りかけた焼き魚も美味しい」

「こちらの魚の香草焼きも美味しいです」

「魚のトマト煮も美味しいですよ、ウィルアムさん」

「お口に合って何よりでございます」

スティクォンたちの賛辞を受けウィルアムは一礼する。

それから1時間ほどでウィルアムが用意した料理は全部なくなった。

「うーん、食べた。 食材や調味料が増えることで料理のレパートリーが増したのは大きいよな」

「本当ですわ」

「ほっほっほ、褒めてもこれ以上は何も出ませんよ」

スティクォンたちは食べ終えた食器を片づけていた。

「そうですわ! せっかく近くに海(人工海)があるのですから遊びましょう!!」

メルーアが皆に対して突然の提案をする。

「メルーアさん、(人工海)でどうやって遊ぶんですか?」

「海に入って泳ぐ! そして、砂浜でスイカ割りをするのですわ!!」

「泳ぐ?」

「スイカ割り?」

メルーアの言葉にリル、ファリー、クレアを始めとした多くの者たちが理解できないのか頭の中に『?』が浮かんでいた。

スティクォンはすぐにフォローする。

「泳ぐっていうのは海の中にいる魚のように水の中を移動するってことだよ。 ティエスとソレーユも泳いで海の中を移動しているんだ」

「え? 海の中って入れるんですか?」

「ちょっと怖いです」

「まぁ、こればかりは慣れが必要だからね」

スティクォンにしても湖で泳いだことはあっても海で泳いだことはない。

「それでスイカ割りというのはどういうことをするのですか?」

「スイカ割りは砂浜にスイカを置いて木の棒で叩いて割るゲームみたいなものだよ」

「せっかく育てたスイカをそんなことに使うのですか?」

これにはリルやホビットたちから苦情がでる。

「最後は割ったスイカをみんなで食べるから問題ないですわ」

「でも・・・」

「1度だけやってみないか?」

リルはホビットたちと話し合う。

出した結論は・・・

「それなら1度だけ」

「リル、ありがとうですわ」

メルーアはリルの手を握って礼を言う。

「準備をしないとな」

「アーネル、シャンティ、水着と日傘の作成をお願いしますわ」

「わかったわ」

「メルーア、ウィルアムさん、アドバイスをちょうだい」

「お任せくださいな」

「畏まりました」

「それじゃぁ、準備が整ったらみんなで海水浴をしよう」

こうしてスティクォンたちは海水浴の準備をすることになった。


それから3日が経ち、準備を整えたスティクォンたちが人工海にやってきた。

「これが海か・・・」

「広~い♪」

「なんだか壮大さを感じます」

海を見たことがないホビットやドワーフたちが感嘆する。

「それじゃぁ、みんな水着に着替えよう。 男性は僕についてきて」

「女性の皆さんはわたくしについてきてください」

男性はスティクォンに、女性はメルーアについていくとそれぞれの更衣室に到着する。

男子更衣室の前ではウィルアムが1人1人にトランクス型の水着を配っていく。

男性たちはその水着に着替え終わると先ほどの場所まで戻る。

「メルーアたち遅いな」

「女性は時間がかかりますからな」

それから10分後、水着に着替えたメルーアたちがやってくる。

「「「「「「「「「「おお~♪」」」」」」」」」」

男性たちは思わず声が出てしまった。

それもそのはず、女性たちは皆魅力的な水着を着ているのだ。

メルーア、ハーニ、ビューウィ、ドレラ、マムモ、アーネル、シャンティ、アリアーサ、それに一部のホビットやドワーフたちはビキニ型の水着を、リル、ファリー、クレア、それと大半のホビットやドワーフたちはワンピース型の水着を着ていた。

「お待たせしましたわ」

「こ、こんな恰好恥ずかしいです・・・」

「み、みんなこっち見てる・・・」

「こ、怖いよぉ・・・」

ビューウィ、アーネル、シャンティは水着姿とはいえその豊満な身体を見られても気にした様子はないが、リル、ファリー、クレアを始めとした女性たちは異性に見られて身体を隠すような仕草をしている。

その仕草がかえって男性たちの心を擽る動作とも知らずに。

「準備運動をしたら早速海に入ろう」

準備運動を始めるとすぐに男性たちは豊乳な一部の女性を見てしまう。

それと同時に男性たちは大多数の女性たちから殺気を籠めた視線を浴びることとなった。

(まぁ、同じ男としてその気持ちはわかるけどな)

スティクォンは言葉にしないで黙って準備運動を続ける。

入念に準備運動してからスティクォンたちは人工海に入った。

この人工海だがメルーアの考案で天然の海や湖と同じような作りにしてある。

陸地から10メートルまでは深いところで1メートル、100メートルまでは5メートル、1キロまでは10メートル、1キロより先は深さの制限を解除している。

海に慣れていない者たちは恐る恐る海水に入っていく。

そこにティエスとソレーユが声をかける。

「泳げない人はこちらに来てください」

「私たちが泳ぎを教えます」

すると大半の男性たちがティエスとソレーユに集まった。

スティクォンはその光景を苦笑しながら見ているとビューウィが話しかけてくる。

「あら、スティクォンはあちらに行かないの?」

「僕は泳げるから問題ないよ」

「なら、私に泳ぎを教えてくれないかしら」

「あぁ・・・それは遠慮しておくよ」

先ほどからメルーアとハーニの視線が痛い。

「残念だわ」

ビューウィはそれだけいうとあっさりとスティクォンから離れた。

それから1時間後、最初はみんなおっかなびっくりだったが、開放感により次第に大胆になる。

ティエスやソレーユに泳ぎを教えてもらったり、海水をかけあったり、潮干狩りをしたり、中にはこっそり抜け出す男女(カップル)もいた。


スティクォンたちは海を満喫するのであった。


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