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48.海に行って塩を手に入れよう

ドワーフの森から戻ってきた翌日、死の砂漠の開拓地中心部である巨木前にスティクォン、メルーア、ウィルアム、リル、ファリー、クレア、ハーニ、ビューウィ、ドレラ、マムモ、アーネル、シャンティの12人が集まっていた。

「みんな、聞いてほしい。 これから海に行って塩を手に入れてこようと思う」

「塩?!」

最初に反応したのはメルーアだ。

「それで誰を連れていくかを決めたいので集まってもらった」

「はい! わたくし、海に行きたいですわ!!」

真っ先に手を挙げたのはやはりメルーアだ。

「メルーア、ごめん。 まずはウィルアムさんに質問したいことがあるんだ」

スティクォンは塩についてウィルアムに質問する。

「ウィルアムさん、塩って海水から簡単に手に入れられるんですか?」

「はい。 簡単に説明しますと海水をろ過してそれを煮詰めることで塩になります」

「なるほど・・・」

ウィルアムの回答を基にスティクォンは誰を連れていくか考える。

まず塩作りのための道具を作成できる者、それと衛生管理ができる者、塩を確認できる者、あとは持ち帰りができる者。

必要な人材を導き出すとスティクォンはその場でついてきてほしい人を口にする。

「ウィルアムさん、ファリー、クレア、それにドレラ、悪いけど一緒に来てくれないか?」

以外にも名を呼ばれたクレアが驚いた。

「わ、私ですか?」

「ちゃんと連れていく理由がある。 クレアは塩を作る際の器を【鉱石創造】で生成してもらう。 ドレラは海水の不純物を【悪食神】で取り除いてもらう。 ウィルアムさんは【鑑定】を使って海水から塩がちゃんとできているか確認してもらう。 ファリーはできた塩を運送するのを手伝ってもらう」

「畏まりました」

「力仕事なら任せてください」

「が、頑張ります」

「・・・(コクコク)」

スティクォンがそれぞれの役割を口にするとウィルアムたちは快諾した。

しかし、納得していない人物が1人いる。

メルーアだ。

「爺だけ狡い! わたくしも海に行きたいですわ!」

「わかったわかった、メルーアも一緒に行こう」

「やりましたわ」

メルーアは海に行けることを喜んだ。

「私はやめておきます。 (子供)たちを残していけません」

「私もここに残るわ」

ハーニ、ビューウィが辞退した。

「そうね。 幼虫(子供)たちを置いて行くのはちょっと・・・」

「せっかくのお誘いだけどここでのんびりしているわ」

「私もアーネルと同じ考えよ」

マムモ、アーネル、シャンティも海に行くのを辞退する。

「私はどうしよう・・・」

リルだけ行くかどうか迷っている。

「リルちゃん、一緒に行こうよ」

「リルちゃんだけいないのは寂しいよ」

ファリーとクレアはリルの手を取ると一緒に海に行こうと誘う。

「ファリーちゃん、クレアちゃん・・・あの私も行きます」

「これで行くメンバーが決まったな。 ビューウィ、僕たちの留守中のことは任せてもいいか?」

「ええ、ここは任せて行ってきなさい」

それからスティクォンたちは準備するとシディアに乗って海を目指して飛び立った。

行先は東南東、帝国の東だ。

シディアの話では人が寄り付かない島があるといわれている。

飛行すること丸2日、シディアが目指す島が見えてきた。

海上は時化ており、船で行こうものなら強風と波が行く手を阻むだろう。

上空からだとまるで島を守っているように見えた。

シディアはスティクォンたちのことを考えて高高度から島に上陸する。

幸いシディアが下りられそうな浜辺がすぐに見つかったので、そこに降り立つとメルーア、リル、ファリー、クレアが目を輝かせて海を見た。

「海ですわ~♪」

「広~い♪」

「綺麗♪」

「風が気持ちいい~♪」

「食べ物があんまりない・・・」

メルーア、リル、ファリー、クレアは島から見える景色に上機嫌だが、ドレラは周りに食料らしいものがあまり見当たらなくて落胆している。

「みんな、来て早々悪いけど早速塩を作成するよ」

「「「「は~い♪」」」」

「・・・(コクコク)」

スティクォンたちはまず何をするべきかを話し合う。

「さて、まずは海水を汲みあげる道具が必要だな」

「それと海水を煮詰める鍋とできた塩を収納する箱が必要でしょう」

スティクォンとウィルアムがクレアを見る。

「えっと・・・どういうのを作ればいいんでしょうか?」

「銅や鉄だと錆びますからできれば錆び難い金属が望ましいでしょう」

『それならやはりオリハルコン(神金石)だな。 あれなら錆びることは決してない』

シディアの言葉にウィルアムが頷く。

「そうですな。 クレア様には水を汲む桶と海水を煮詰める鍋とできあがった塩を入れる箱の3つを作ってもらいます」

「わかりました。 【鉱石創造】」

クレアは【鉱石創造】を発動するとオリハルコンでできた桶と鍋と箱を生成する。

「これでいいでしょうか?」

「問題ありません」

「あとは火だけど」

『それは我に任せるがよい。 枯れ木を集めてくるがいい』

シディアの指示に従ってスティクォンたちは枯れ木を集めることになった。

数分後、集めた枯れ木をシディアが加減したブレスを吐いて火をつける。

鍋を火にかけて塩作りの準備が整った。

「それじゃ始めようか」

スティクォンたちは即席の塩作りを始めた。

まずはスティクォンが桶を持って海から海水を汲み上げる。

次にドレラが桶に手を入れて【悪食神】を発動し、海水の中に含まれる不純物を取り除く。

海水を鍋に移し替えると鍋の中の海水を煮て余分な水分を蒸発させていく。

クレアは火が消えないように見守りつつ枯れ木を投入し、リルは枯れ木がなくならないように近場から常に補充する。

塩だけになった鍋を火から外してメルーアの【水魔法】で鍋を外側から冷やす。

ウィルアムが鍋底にある塩を【鑑定】する。

問題ないことを確認したらファリーが鍋底の塩を箱に移し替える。

スティクォンたちは一連の作業を繰り返し行った。

1回10リットルの海水を煮詰めて250グラムの塩を作って貯めていく。

それから1時間後、箱の中には塩1.5キロが入っていた。


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