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45.誘惑と誤解

アーネルとシャンティから掛け布団、敷布団、枕を作るために綿(わた)が必要と言われたので、スティクォンたちは早速綿を栽培する。

作業者はリルを筆頭にホビットたち、スティクォン、メルーア、ウィルアム、ドレラだ。

農作物と混同しないように離れた場所に綿畑を作ることになった。

「それじゃ始めるか。 リル、お願いするよ」

「任せてください! 【農業神】!!」

リルは【農業神】を発動するといつものように調べる。

「えっと・・・収穫のことを考えて30~50センチ間隔に種を3~5個埋めて水はあまり与えないようにすれば問題ないです」

「早速始めよう」

「「「「「「「「「「おおーっ!!」」」」」」」」」」

ホビットたちは種まき部隊と収穫部隊に分かれる。

リルの指揮で種まき部隊のホビットたちが一斉に綿の種を植えていく。

植え終えてからメルーアが【水魔法】で水を与え、そのあと【木魔法】で綿を成長させる。

種から芽が出てすくすくと成長し、やがて花が咲く。

もう少し成長させると花に白い綿・・・綿毛ができあがる。

「まぁ、これが綿ですのね」

「あ! メルーアさん、その綿毛の中に種があるので、収穫するときは綿毛と種を分けてください」

「そ、そうなんですの?」

「メルーアさん、収穫は私たちが行いますので綿の育成をお願いします」

「わかりましたわ」

メルーアが綿を成長させ、収穫部隊のホビットたちが人海戦術で綿毛を収穫する。

ウィルアムは収穫された綿毛を種と分別し、綿だけをファリー特製の背負い籠に入れていく。

回収された種は種まき部隊のホビットたちが持っていき、再び地面に植えた。

ドレラは【悪食神】を発動して籠の中にある綿の汚れだけを綺麗に取り除く。

そうすることで臭いやカビを防げるはずだ。

籠がいっぱいになると蓋をして、スティクォンが背負ってアーネルとシャンティのところに持って行く。

なぜスティクォンが運搬をしているかというと体力作りの一環である。

以前農具や工具を買いに出かけた際、リルやファリーよりも体力がなかった。

種族は違えど女の子に体力で負けるのはさすがに精神的にくるものだ。

故にスティクォンは率先して力仕事をするようになった。

スティクォンがアーネルとシャンティの家に入っていく。

「アーネル、シャンティ、綿を持ってき・・・」

そこでスティクォンの言葉が止まる。

「あら、スティクォン、綿をもってきたのね」

「これで掛け布団、敷布団、枕が作れるわね」

スティクォンは慌てて背を向けた。

「ふ、2人ともなんて恰好をしているんですか?!」

「依頼されてね。 綿がくるまでこちらを作成していたの」

「できたものを2人で試着していたの」

アーネルとシャンティはメルーアとハーニの要望で女性用の下着を作成していた。

床には2人が作ったブラジャーやショーツが至る所に散乱している。

今は試作品が完成したので2人で試着をしている最中だ。

アーネルは布が透けて見える下着を、シャンティは大事な部分が布で隠れていない下着を身に着けている。

それぞれの煽情的な姿にスティクォンはどぎまぎした。

「ねぇ、スティクォンの意見も聞いてみたらどうかしら?」

「それはいいわね。 スティクォン、今私たちが身に着けている下着はどうかしら?」

アーネルとシャンティがスティクォンに意見を求める。

「め、目のやり場に困るので服を着てください!」

「それじゃ意味ないじゃない」

「感想を基に改良するのだから」

2人がスティクォンを捕まえて振り向かせようとするとそこに新たな来訪者が現れた。

「アーネル、シャンティ、糸を持ってき・・・」

そこに現れたマムモは動きを止める。

「マ、マムモさん! 助け・・・」

「お、お邪魔しました!!」

マムモは慌ててその場から出て行った。

「マムモったら慌てて帰らなくてもいいのに」

「せめて糸だけでもその場に置いてから帰ってくれればね」

「2人とも何冗談を言い合っているんだよ! 早く誤解を解かないと・・・」

スティクォンは拘束を解いて追いかけようと力を入れようとするが、それよりも早くアーネルとシャンティが拘束を解いた。

「わっとっと・・・」

「仕方ないわね・・・マムモのところに行ってくるわ」

「勘違いしているのも面白いけど、スティクォンが可哀想だからね」

アーネルとシャンティは自分たちが普段着ている服を身に着ける。

「それじゃ、僕も一緒に・・・」

「スティクォンは行かないほうがいいわよ」

「こういうのは異性がいると揉めるから」

それだけいうと2人は何事もなかったようにマムモのところへと向かった。


結果からいうとアーネルとシャンティはマムモの誤解をちゃんと解いてくれた。

しかし、人の口には戸を立てられない訳で・・・

「ねぇ、スティクォン・・・アーネルとシャンティと随分楽しんでいたそうですわね」

「私たちが頑張っている間に遊んでいるなんてね」

メルーアとハーニが笑顔でスティクォンに対して辛辣な言葉をかけてくる。

「メ、メルーア、ハ、ハーニ、な、何のことだ?」

「アーネルとシャンティに言い寄られたのよね」

「それもとても魅惑的な恰好で」

それを聞いてスティクォンの心臓がドキリとする。

(なんで2人とも知ってるの?!)

スティクォンが周りを見るとビューウィが楽しそうに手を振っていた。

(ごめんね、スティクォン。 なんだか面白そうな展開になりそうだからメルーアとハーニに話してしまったわ)

(ビューウィ!!!!!!!)

スティクォンが心の中で叫んでいるとメルーアとハーニが詰め寄ってきた。

「ちょっと! 聞いてますの!!」

「まだ話は終わっていません!!」

それからメルーアとハーニにこってりと絞られるスティクォンであった。


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