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35.ほんの少しの発展

リル、ファリー、クレアのように各地で細々と暮らしているホビット族とドワーフ族をスカウトするため、スティクォンたちは東のドワーフの国に赴いた。

彼ら彼女らと出会った当初はそのほとんどが満足いく食事をとれていないせいかやつれている。

リルとファリーが勧誘すると全員移住を希望した。

そのあとはシディアが森の中で狩ってきたフォレスト・ベアをウィルアムが調理して振る舞い、スティクォンが彼ら彼女らの現状を維持してから死の砂漠へと連れていく。

これによりホビット族50人、ドワーフ族50人、計100人を新しい住人として迎え入れることになる。

ちなみに男女比率はどちらの種族も4:6とやや女性のほうが多い。


人員を増やす決定から1ヵ月が経ち、死の砂漠にある開拓地には多くのホビット族とドワーフ族が働いていた。

南西の畑ではリルが同族であるホビットたちに的確な指示を出していく。

「リル師匠、今度はどこを耕しますか?」

「えっと・・・あっちの土地をお願い。 20人ほどでやれば早く終わるはずだから」

「「「「「「「「「「任せてください」」」」」」」」」」

20人のホビットたちは早速土地を耕しに向かう。

彼ら彼女らは1ヵ月前のやつれていたとは思えないほど健康的な身体へと変貌していた。

それとは別のホビットが今耕し終えた土地についてリルに質問する。

「リル師匠、ここの土地は何を育てますか?」

「そうですね・・・ここはさつまいもにしましょう」

「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」

最初の試験的に作成した畑と違い、今は1筆(いっぴつ)1平方キロメートルを一区画とし、一区画ごとに植える野菜や果物の種類を育てている。

もちろん事前に育つことを確認し、良質の種になったものを植えて育てていく。

「10センチほどの穴を掘ったらそこに種を植えて土を被せてください。 植える間隔は30センチくらいでお願いします」

「「「「「「「「「「わかりました」」」」」」」」」」

「植え終えたらメルーアさんに【水魔法】と【木魔法】をお願いしてください。 花が咲いたらハーニさんにお願いして受粉してください。 地上に実ったものは切り取ってドレラさんにあげてください」

「「「「「「「「「「了解しました」」」」」」」」」」

リルの指示を受けたホビットたちはさつまいもの種を植え始める。

彼ら彼女らホビットたちは【農業師】、【農業士】など農業に関わるスキルを持っているが、リルの【農業神】のような天性の才能は持ち合わせていなかった。

リルのあまりにも効率の良い作業を見て、自分たちも身に着けようと努力しているのだ。

そして、努力した分は作物の恵みとなって自分たちに戻ってくる。

今では育てた野菜や果物を食べるのが楽しみで仕方がない。

「みんな! 頑張って野菜や果物を育てよう!!」

「「「「「「「「「「おおー!!」」」」」」」」」」

リルの号令でホビットたちは畑を育てていくのであった。


北西の住宅地ではファリーが同族であるドワーフたちに的確な指示を出していく。

彼ら彼女らドワーフたちは【製造師】、【製造士】など製造に関わるスキルを持っているが、重要なところは【製造神】のスキルを持つファリーの指示を求める。

「そこに柱を立てて。 そこの足場に気を付けて」

「ファリー親方、木材の加工はこれでいいですか?」

「どれどれ・・・うん、問題ないよ。 これと同じのをいくつかお願いするね」

「わかりました」

そこにはファリー1人で建てた仮家とは比較にならないほど立派な建物が建築中である。

隣には現在建築しているのと同じ建物が1棟建てられていた。

この建物だが2階建てで1階は生活スペースになっており、玄関ホール、居間、遊戯場、調理場、食堂、風呂場、2階は個人用に個室が10部屋、それに各階にトイレを設置している。

王都にある平民の家と比べると豪華だ。

これもドワーフたちの見事な連携の賜物である。

彼ら彼女らの努力により1棟建てるのにだいたい1週間で完成した。

因みにファリー1人でも建てられるが、1棟建てるのに数ヵ月かかるだろう。

そう考えると数は力といえる。

とはいえ、最初の1棟目を建てる時はドワーフたちもファリーの指示でたどたどしく動いていたが、2棟目ともなると慣れてきたのか自らてきぱきと動いて作業を行うほどだ。

「さぁ! この調子でどんどん建物を建てるわよ!!」

「「「「「「「「「「おおー!!」」」」」」」」」」

ファリーが鼓舞するとドワーフたちもそれに応えるように声を上げた。


それからしばらくしたある日の夕方、全員が中央の巨木に集まった。

代表してスティクォンがホビットたちとドワーフたちに声をかける。

「みんな、お疲れ。 ここの生活には慣れたかな?」

「はい! 仕事は大変だけどとてもやりがいがあります!」

「そうですね。 みんなと協力して取り組むのは楽しいです」

「食べ物に困らないし、温度も湿度も最適で過ごし易いです」

ホビットたちやドワーフたちの意見を聞くと不満はまったくないようだ。

その証拠に彼ら彼女らは皆ここ(死の砂漠)に来る前のほっそりからちゃんと肉付きした体型へと変わっている。

「それは良かった。 これからもここを発展させるのに協力してほしい」

「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」

こうしてスティクォンたちがいる死の砂漠の開拓地はまた1つ発展したのであった。


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