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34.最低限の環境は整った

死の砂漠にある開拓地を発展させようとして3ヵ月ほど経つ。

スティクォンたちは順調に事を進めている。

まずはクレアを中心にウィルアム、シディアにより外壁が完成した。

オリハルコンでできた外壁は完璧で、試しにシディアの物理的な力やブレス、メルーアの魔法を全力でぶつけてみたがビクともしなかった。

クレアはやりきったことに心底安堵する。

次にファリーだが皆の仮家と今後の増員を考えて同じ仮家20棟を建て終えた後、人員が増えた際の工具、農具作りをしていた。

それぞれ30セットほど作り終えて準備万端だ。

続いてリルだけど南西の区画を少しずつ耕して農地を拡大していった。

それと同時に育てる野菜の種類を徐々に増やしていく。

ハーニが育てた野菜の受粉を、ドレラが害虫駆除することでそれぞれリルをサポートしている。

ハーニはそれとは別に蜂たちに花から蜜を集めさせていた。

これにより蜂蜜が手に入りメルーアが大喜びしている。

メルーアとビューウィは土地の緑化計画を独自に進めていた。

今は開拓予定でない場所をそのままにしておくのがもったいないということだ。

メルーアは南西の未開拓地に等間隔に木を植えて森林に、ビューウィは北東の未開拓地に花や草を植えて草原にしていく。

最後にスティクォンだが主にリルをサポートして野菜を育てるのを手伝っていた。

また、外壁が完成したことにより開拓地内の温度調整を変更する。

今まで昼は砂漠の気温そのままに夜は一定の温度を保っていたが、範囲を外壁の中限定にして気温を20度に維持した。

さらにメルーアの【水魔法】で湿度を60パーセントに維持することで砂漠とは思えないほどの快適な環境を手に入れた。

これで地獄のような温度差ともおさらばだ。

そして、スティクォンたちは新たなステージへと進む。


一通り環境が整ったところでスティクォンたちは中心にある巨木の前に全員集合していた。

「さて、一応最低限の環境は整ったけどこれからどうするのか決めていこう。 以前ファリーが提案した人員を増やす以外に何か意見があれば遠慮せずに言ってくれ」

それを聞いてメルーアが真っ先に手を挙げる。

「それなら衣類が欲しいですわ。 同じ服をいつまでも着ているのにも限界がありますわ」

「綿か蚕を育てて生産する必要がありますな」

「衣類か・・・作れる者がいればいいけど、いないからな・・・最悪クレアに宝石を生成してそれを売って購入するしかないか・・・」

元は貴族であるスティクォンもこれには同意である。

洗えばいいとはいえ、同じ服をずっと着るのは衛生的にもあまりよろしくない。

「それと料理を発展させたいですわ」

「たしかに・・・今は野菜を生で齧ったりしていますからね」

「ただ火で炙ったり煮たり茹でたり蒸したりしたのも美味しいのですけど」

「元々の素材が良いから味に問題はないのですけど単調というか」

「できれば本格的に調理してもっと美味しく食べたいですわ」

「たしかにそれはそうだな。 同じ食事ではいつか飽きがくるだろう」

現状はハーニのおかげで十分に美味しくいただいているので問題はないけど、食事のバリエーションが増えることは結果として生活の向上に繋がる。

「調味料も欲しいですな。 味の変化にはかかせません」

「最低でも塩は欲しいよな・・・できれば胡椒や香辛料も」

「はい。 胡椒や香辛料はここで育てればなんとかなりますが、塩だけは購入しないと手に入りませんからな」

ここは砂漠のど真ん中だ。

海水もなければ岩塩もない。

もしかすると地下深く掘れば岩塩層が見つかるかもしれないが、過度な期待はしないほうがいいだろう。

ウィルアムの言う通り今のところは外部から購入するしか塩を手に入れる方法はない。

「ほかに何かあるか?」

スティクォンの問いかけに全員口を閉ざす。

「ないようだな。 では、まとめると1つめは人員を増やす。 2つめは衣類を作成または入手する。 3つめは食事を向上する。 以上だな」

「優先順位を決めましょう」

メルーアの発言に皆頷いた。

「まずは人員を増やすのに賛同する人は?」

賛同したのはスティクォン、シディア、リル、ファリー、クレアだ。

この時点で半数は獲得しているが、念のためほかの提案のも聞いてみる。

「次に衣類を入手したい人は?」

手を挙げたのはメルーア、ウィルアムだ。

「ハーニ、ビューウィ、ドレラは食事の向上と・・・多数決の結果人員を増やすということで問題ないかな?」

スティクォンが確認するとメルーアたちは全員頷いた。

「では、今回は人員を増やすことを優先しよう」

今回も縺れることなく無事に纏まった。

『決まりだな。 それで今度は誰をスカウトしに行くのだ?』

「ホビットとドワーフだろう。 農業と建築できる者を増やしてここ(死の砂漠)を発展させる」

スティクォンの言葉に異論がないのか皆頷く。

『うむ。 では、スティクォンとあと誰が一緒に行くのだ?』

「そうだな・・・ウィルアムさん、それと同族を探すということでリル、ファリーも一緒に来てもらいたい」

「畏まりました」

「いいですよ」

「任せてください」

『それでは人員を確保しに行こう』

スティクォンたちは東のドワーフの国に赴くのであった。


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