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29.それぞれの役割

メルーアたちがある程度の愚痴をいうとウィルアムが止めにはいる。

「メルーアお嬢様、その辺でよろしいのでは?」

「爺、しかし・・・」

「あまり責めると心が離れていきます」

「! わ、わかりましたわ!」

「リル様、ファリー様、クレア様ももう十分ではないでしょうか?」

「う、うん・・・」

「そ、そうだね・・・」

「は、はい・・・」

ウィルアムがメルーアたちを止めたことでスティクォンへの非難の声が止んだ。

(ウィルアムさん、ありがとう)

心の中で感謝しているとウィルアムが空気を読んだのかスティクォンに目礼する。

「それよりもスティクォン様、お連れ様の紹介をお願いいたします」

「はい。 こちらハーニ、ビューウィ、ドレラです」

「キラービーのハーニです」

「アルラウネのビューウィよ」

「スライムのドレラ」

ハーニたちが自己紹介するとウィルアムたちも名乗る。

「私は魔族で名前はウィルアムと申します。 こちらに御座す魔族のメルーアお嬢様の執事をしております」

「ホビットのリルです」

「ドワーフのファリーです」

「ノッカーのクレアです」

「そういえば僕たちも正式には名乗ってなかったな。 僕は人間族のスティクォン」

「メルーアですわ。 爺がいったように魔族です」

『シディアだ。 見ての通りドラゴンだ』

全員の紹介が終わるとウィルアムがハーニたちについて聞いてくる。

「ところでハーニ様、ビューウィ様、ドレラ様はどのようなスキルをお持ちで?」

「スキルというのはスティクォンが私たちに使った能力のことですか? 私はそういうのは知らないです」

「私もよ」

「同じく」

「それならば僭越ながら私が調べましょう」

ウィルアムの目が光りハーニたちを【鑑定】する。

しばらくするとウィルアムの目が元に戻った。

「・・・判明しました。 御三方ともレアなスキルをお持ちです。 ハーニ様は【甘味神】、ビューウィ様は【花神】、ドレラ様は【悪食神】をそれぞれお持ちです」

ハーニはこの世界では貴重な甘味を有から作り出すスキル。

ビューウィはあらゆる花や草を無から生み出すスキル。

ドレラはどんなものでも喰らい尽くすことができるスキル。

「3人とも有用なスキル持ってるんだな」

「特にハーニさんには期待していますわ」

メルーアはハーニの手を取る。

味の改善に期待しているのだろう。

「それでこれからのことだけど、ここをある程度発展させるか人員を増やすかだけど・・・」

『スティクォン、人員を増やしたいのはわかるがまずはここがある程度出来上がってからでもよくないか?』

「そうですわね。 スティクォンのスキルで餓死することもありませんし、まずはここで生きていくための最低限の設備を整えるのが良いと思うわ」

「たしかに人員を一気に増やしてもトラブルになりかねないか・・・」

スティクォンとしてはリルやファリーの負担を減らしたいが、シディアの言う通り基盤作りも大事である。

『そういうことだ。 ウィルアム』

「はい。 それぞれの役割分担をお伝えします。 まずはリル様には今まで通り農作物をお願いいたします」

「わかりました」

リルは両手で拳を作るとやる気を見せた。

「メルーアお嬢様、ビューウィ様は自然を増やす作業をお願いいたします」

「木ならわたくしの魔法で育てますわ」

「花が育てばハーニが受粉できるわね」

メルーアもビューウィも自分の役割を心得ていた。

「その通りでございます。 それでハーニ様には育った花から蜜を集めて受粉をお願いいたします」

「花から抽出した蜜を使って農作物に受粉すればいいのですね」

ハーニも話の流れから自分のやるべきことを理解する。

「ドレラ様には農作物や花の害虫駆除をお願いいたします」

「食べるのは得意。 任せる」

ドレラなら害虫駆除に適しているはず。

間違って農作物や花を食べないと信じることにしよう。

「ファリー様は人数分の仮家を建てましたら、工具や農具の作成をお願いいたします」

「あとからここに来る人の分の道具ですね。 わかりました」

ファリーは快く引き受ける。

「クレア様は先にファリー様の道具作成に必要な鉄か鋼の生成をお願いいたします。 それが終わりましたらオリハルコンの防壁作りを再開していただきます」

「任せてください」

クレアも自信を持って返事をする。

「スティクォン様はメルーアお嬢様たちを、シディア様はクレア様のサポートをお願いいたします」

「僕ができることならなんでもするよ」

『我に任せるがよい』

スティクォンとシディアも頷く。

「私は引き続きシディア様とクレア様のサポートを行います」

ウィルアムも自分の成すべきことを口にする。

「自分の役割に疑問がある方はおりますでしょうか?」

ウィルアムの的確な指示にスティクォンたちは特に問題ないことを伝える。

「それでは皆様それぞれの作業に取り掛かってください」

スティクォンたちはそれぞれ与えられた作業を開始する。

余談だが、ウィルアムがフォレスト・ベアを解体し、毛皮からハーニ、ビューウィ、ドレラの衣服を作り、肉は焼いてみんなの胃袋に収まった。


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