27.人材をスカウトしよう2
「だ、大丈夫ですか?!」
「・・・ぅぅ・・・た、たす・・・けて・・・」
「ちょっと待ってください」
スティクォンは女性を抱き上げると、持っているポーションを取り出して飲み口を女性の口に当てる。
「ポーションです。 ゆっくり飲んでください」
そういうとスティクォンはゆっくりと女性にポーションを飲ませていく。
コクコクコク・・・
女性の喉が動く度に液体が体内へと吸収されていく。
しばらくすると女性の身体が発光する。
「んくんくんく・・・はぁ・・・た、助かりました。 ありがとうございます」
「どういたしまして。 ところで君はここで何をしていたの?」
「私はここで日課の蜜採りをしていたんです・・・」
女性は自力で起き上がると周りをキョロキョロする。
近くにフォレスト・ベアの遺体が転がっているのを見て女性が驚いた。
「これは先ほどの・・・1人で倒したのですか?」
「ええ、まぁ・・・」
すると女性がスティクォンの手を取る。
「見かけによらずお強いのですね」
女性の仕草にスティクォンは内心ドギマギしていた。
「え、えっと、僕は人間族のスティクォン。 君は?」
「わ、私はキラービーのハーニです。 スティクォン様、助けてくれて本当にありがとうございます」
「そんなに畏まらないで、スティクォンって呼び捨てにしてくれればいいから」
「そ、それじゃぁ・・・・ス、スティクォン」
ハーニはスティクォンの名を呼ぶと顔を真っ赤にした。
「ハーニに聞きたいんだけど、ここら辺で普通の蜂っているかな?」
「蜂ですか? 私の種族以外見かけたことはありません」
「え? そうなの? 参ったなぁ・・・」
「ス、スティクォン! こ、困っているなら相談に乗ります!」
「実は・・・」
スティクォンはハーニに今作っている土地で野菜を育てている事、味が不味いので品種改良のために蜂を捕まえにここに来たことを話す。
「・・・という訳なんだ」
「そ、それでしたら私がお手伝いします!」
「え? ハーニが?」
「はい! スティクォンがいる土地に花さえあればいくらでもお手伝いできます」
「それはありがたいのだけどいいのか?」
スティクォンはハーニがこの魔湖になくてはならない昆虫ではないかと聞いてみる。
「それなら大丈夫です。 私は働き蜂で亡くなったところで誰も悲しみません。 それにほかにも同じ働き蜂が沢山いるので問題ありません」
「そう? それならお願いしようかな」
「はい!!」
ハーニは嬉しそうにスティクォンに抱き着いた。
スティクォンの胸板にハーニのふくよかな胸が当たる。
「あ、え、ちょっと・・・」
スティクォンは顔を真っ赤にしてハーニに声をかけた。
それに気付いたハーニは慌ててスティクォンから離れる。
「ご、ごめんなさい。 つい・・・」
「と、とりあえずメルーアとシディアのところに戻るか。 あとはハーニが蜜を集められる花を数種類ほど持っていけば問題ないかな」
「それなら私が手伝ってあげようかしら」
「だ、誰だ!!」
突然聞こえてきた女性の声にスティクォンとハーニが警戒する。
「ここよ、ここ」
声がしたほうの地面を見ると、そこにある綺麗な花があるところから突然全身緑色で一糸纏わぬ姿の女性が現れた。
年の頃からメルーアやハーニと同年代くらいの女性だ。
ハーニにも負けないくらい豊満な胸や下腹部を隠そうともしない。
「えええええと・・・き、君は?」
「私はアルラウネのビューウィよ。 よろしくね、スティクォン」
「よ、よろしく・・・」
スティクォンはなるべくビューウィを見ないようにして挨拶する。
「スティクォンは女性の裸を見るのは初めてかしら? 案外恥ずかしがり屋なのね」
「・・・」
「裸だったらそこにいるハーニも同じようなものよ。 彼女の身体は硬い外骨格に覆われているけど、それって人間でいうところの皮膚みたいなものよ」
「え?」
スティクォンは思わずハーニを見てしまう。
ハーニもそれに気付いたのか顔を真っ赤にする。
「あ、あの・・・あまり見ないでください」
「す、すまない・・・」
「はいはい、2人とも照れてないでスティクォンのお連れさんのところに行きましょう」
「そ、そうだな。 2人ともとりあえず一緒に来てくれ」
スティクォンは【現状維持】を発動するとフォレスト・ベアの鮮度を維持した。
そのあと遺体を転がしながら、ハーニとビューウィを連れて湖のほうへと戻る。
そこにはすでにメルーアとシディアがビューウィに似たアルラウネとともに待っていた。
「あら、どうやら戻ってきたみたいよ」
「本当ですわ」
スティクォンは質問してみる。
「もしかするとビューウィのお仲間のアルラウネなのか?」
「私もビューウィよ。 もっともそこにいる本体の分身でしかないけどね」
スティクォンたちは2人のビューウィを見比べているとメルーアたちのほうにいるビューウィが目の前から突然消えた。
「大地に繋がっていれば今みたいなこともできるわよ」
『うむ、中々に面白い能力を持っているな』
「それで蜂なんだけど・・・こちらキラービーのハーニさん」
「ハ、ハーニです。 よろしくお願いします」
「ま、まぁ、本来の蜂とは違うけど彼女がいれば味が改善されるだろう。 あと、シディア、これなんだけど・・・」
スティクォンがフォレスト・ベアの遺体を見ると、先ほどまでの肥えた身体から一変萎んでいた。
「なっ?!」
スティクォンが驚いているとメルーアが冷たい声で話しかける。
「スティクォン、その隣の裸の女性は誰ですの?」
「え?」
メルーアの指摘でスティクォンが周りを確認すると、いつの間にか透き通るほど薄い水色の身体でビューウィ同様一糸纏わぬ姿の豊乳少女がそこにいた。
「だ、誰?」
「・・・スライムのドレラ。 よろしく・・・ゲップ・・・」
ドレラと名乗ったスライムはお腹を摩りながら自己紹介する。
「よろしくって・・・」
「私もスティクォンと一緒に行く」
「えぇ・・・」
突然現れて一緒に行動するというドレラにスティクォンは驚いた。




