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21.必要な物資を購入しよう

スティクォンたちはシディアに乗って北にあるロストアーク伯爵領に向かった。

都市の近くまでくるとシディアは目立たない場所に着陸する。

『ここでよいか?』

「シディア様、十分です。 それでは私たちは町で物資を調達してきます。 それとメルーアお嬢様とクレア様はここにお残りください」

「わたくしの服装は目立ちますものね。 爺、わかったわ。 みんな、気を付けてね」

「リルちゃん、ファリーちゃん、気をつけて」

『うむ、気をつけてな』

メルーア、シディア、クレアと別れるとスティクォン、ウィルアム、リル、ファリーの4人は都市へと向かった。

都市が近づいてくるとウィルアムがスティクォンたちに話しかける。

「スティクォン様、リル様、ファリー様、もうすぐ都市に入りますのでフードを被ってください」

スティクォンは自前のを、リルとファリーは予めメルーアとウィルアムから借りたのを身に着ける。

「それじゃ、行こうか」

「「はい」」

都市に到着すると来たことがあるウィルアムを先頭にスティクォンたちは付いていく。

「まずは宝石商に行きましょう。」

周りは魔族ばかりで、魔族ではないスティクォンたちはどうしても目立つ。

「なんだか見られてる・・・」

「ぁぅ・・・」

リル、ファリーは好奇な目で見られて居心地が悪い。

「大丈夫だよ。 なにかあれば僕が囮になるから」

「スティクォン様、それはダメです。 囮は私がなります。 なにかあればリル様たちを連れて逃げてください」

なるべく人が多いところを選んで歩くと宝石商に到着した。

店内にはスーツ姿が似合うイケメン店員がウィルアムのところまでやってきて話しかける。

「いらっしゃいませ。 今日は何か御用でしょうか?」

「実はこれらを売りたいのですが」

そういうとウィルアムは店員にだけ宝石をチラッと見せる。

「どうぞこちらに」

ウィルアムはエメラルド(翠玉)サファイア(蒼玉)を店員に渡すと鑑定してもらう。

「・・・なるほど、この2つを合わせた金額ですがこのくらいでいかがでしょう?」

店員がウィルアムに提示した金額は1年は働かなくても暮らしていける額だ。

「十分です」

「ではすぐに現金を用意いたします」

店員は奥からお金の入った袋を持ってくるとウィルアムに手渡す。

ウィルアムは中身を確認すると納得して頷いた。

「たしかに。 それでは失礼します」

「ご利用ありがとうございました。 またのお越しをお待ちしております」

スティクォンたちは宝石商を出る。

「資金は手に入りましたので次は道具を買いに行きましょう」

近くにあった大きな道具屋に入った。

店内に入るとそこには多種多様な商品が置いてある。

よく見ると工具や農具も置かれていた。

カウンターにいた体格の良い店員がこちらに声をかける。

「いらっしゃい、ゆっくり見て行ってくれ」

スティクォンたちは店内を物色することにした。

リルは農具を、ファリーは工具を真剣に見ている。

「何かよさそうなものはあるかい?」

「私の中のスキル(【農業神】)がこの(くわ)(すき)(かま)が必要だと訴えています」

「私もスキル(【製造神】)が金鎚、(かんな)(のみ)(のこぎり)、斧って云ってる」

リルとファリーのスキルが必要な道具を伝えようとしているのだろう。

それから2人はスキルの赴くままに自分に合った道具を選んでいく。

ウィルアムは農業用の野菜や果物の種と肥料を探すがここにはないのか店員に聞いてみた。

「店主、ここには農業用の野菜や果物の種と肥料は売っていませんか?」

「ああ、それなら近くの花屋に行けば売ってるぜ」

「わかりました、ありがとうございます」

しばらくするとリルとファリーはそれぞれ必要な道具を選び終わる。

「ウィルアムさん、これがほしいです」

「私はこれです」

リルとファリーは必要な道具をウィルアムに見せる。

値段を見てウィルアムは頷くと店員を呼んだ。

「すみませんがこれらを購入します」

「ありがとよ。 それだけの数を手で持っていくのは大変だろ? 台車は必要かい?」

「お願いします」

店員は使い易そうな台車を選ぶ。

「これでいいか?」

「ええ、十分ですとも」

ウィルアムはリルとファリーが選んだ道具と台車の代金を支払う。

「まいどあり。 よかったらまた来てくれよな」

スティクォンたちは道具屋を出ると最後に花屋によることにした。

店を訪れると綺麗な花が飾られている。

店先にいるふくよかな体型のおばちゃん店員がこちらに声をかけてきた。

「いらっしゃい、何か探しものかい?」

「農業用の野菜や果物の種と肥料があれば売ってほしいのですが」

「お客さん、農業でも始めるのかい? それならこっちだよ」

奥のほうへと案内されるとそこには多くの種が箱単位で置かれていた。

箱には野菜や果物の名前が書かれている。

「欲しいものがあれば言っておくれ」

「それならこの店で取り扱っている野菜や果物の種を一通りお願いします」

「全部かい? 結構な金額になるよ?」

店員が金額を提示するとウィルアムが確認する。

「問題ございません。 購入します」

「ありがとね。 今用意するからね」

店員は手際よく各種野菜や果物の種と肥料を用意する。

すべて用意されたところでウィルアムが店員に代金を支払う。

「えっと・・・ええ、たしかにお代は頂いたよ」

スティクォンは台車に種の入った箱を次々と台車に乗せる。

「ありがとうね。 また来ておくれよ」

花屋を出て、かなり大荷物になった台車をスティクォンが押していく。

その隣では大量の肥料を載せた台車を軽々と押すリルとファリー。

「スティクォンさん、大丈夫ですか?」

「私たちのほうに少し移しますか?」

「い、いや、大丈夫だ。 任せてくれ」

さすがのスティクォンも女の子に手伝ってもらうのは気が引ける。

「スティクォン様、頑張ってください」

「ええ、メルーアたちのところまで頑張って押していきます」

こうして買い物を済ませたスティクォンたちは無事にメルーアたちのところまで戻った。


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