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16.宝石や鉱石を生み出そう 〔シディア視点〕

クレアは手に魔力を集中する。

掌には1つの宝石が作り出された。

それもウィルアムが言った通りスティクォンのスキル(【現状維持】)で維持された魔力で、とんでもない大きさの宝石が掌にできあがる。

そのあまりの大きさと重さに集中できずにクレアは【鉱石創造】を止めてしまった。

「重い!!」

持てなくなった宝石を地面に落としてしまったが、表面に少しだけ傷がついたくらいだ。

『ウィルアムよ。 お前の【鑑定】でクレアの作成した宝石を確認してくれ』

「畏まりました」

ウィルアムは【鑑定】でクレアが作り出した宝石を見る。

「シディア様、これは間違いなくダイアモンド(金剛石)です」

ウィルアムの結果を聞いて我は満足気に頷く。

『うむ、では次だな。 同じくダイアモンドを作ってもらいたいが1つ条件を加える。 それは板状に生成することだ』

「板状に?」

『そうだ』

「わかりました」

クレアは再び手に魔力を集中すると地面に向ける。

掌から放出された魔力が地面にあたりそこからクレアがイメージした通りの板ができた。

「こ、これでどうでしょうか?」

クレアは我に問いかける。

『素晴らしい・・・クレアよ、今度はこの鉱石の複製を頼みたい』

我が指さしたのは宝石ではなく鉱石だった。

「これは?」

オリハルコン(神金石)だ』

「「「オリハルコン?!」」」

「「「?」」」

スティクォン、メルーア、ウィルアムは驚き声をあげてしまった。

対照的にリル、ファリー、クレアは状況が呑み込めていないのか不思議そうな顔をしている。

ウィルアムはすぐにその鉱石を【鑑定】した。

「ほ、本物です。 本物のオリハルコンです」

「シ、シディアさん、このオリハルコンで何をするのですか?」

『この土地の防壁として使う。 神が作りし金属だが希少故に滅多に手に入らない。 だが、クレアの【鉱石創造】で生み出せればこれ以上ない防壁を作ることができる』

我はスティクォンたちを気に入っている。

外敵から守るためにはまず防壁が必要だ。

スティクォン、メルーア、ウィルアムだけなら木の杭で外壁を作って終わっていただろう。

しかし、リル、ファリー、クレアが加わったことで我は今の状態は危険だと感じた。

それはここに集まった者たち全員がレアスキル持ちだからだ。

魅力的な人材がここに集結していることに我は懸念する。

そこで私利私欲を求める者がここを襲ってこないように先手を打つことにした。

それが防壁だ。

ただ並の強度の防壁ではダメだと考えていた我だが、クレアのスキルを聞いてオリハルコンを使うことを思いつく。

この案が失敗したら次の策を考えればいい。

我はそう考えていた。

『まずは作れるかどうかを確認したい』

「や、やってみます」

クレアは3度手に魔力を集中する。

掌には1つの鉱石が作り出された。

クレアはすぐに魔力を止める。

『ウィルアム』

「すぐに確認します」

ウィルアムは【鑑定】でクレアが作り出した小さい鉱石を見る。

「シディア様、オリハルコンです」

『クレア、でかしたぞ! これで最強の防壁ができる!!』

ここにきてスティクォンたちも我のやりたいことがわかった。

我はクレアにどんな鉱石や宝石も作り出せるのか、どんな形にも加工できるのかを知りたかったのだ。

結果は両方ともできた。

スティクォンが我に質問してくる。

「シディア、もしオリハルコンを作れなかったらどうするつもりだったんだ?」

『それなら鉱石のランクを下げて、クレアができる鉱石にするつもりだ』

「では、自由に加工できなかったら?」

『我とスティクォン、それにファリーで加工するつもりだったさ』

ファリーは突然名前を呼ばれてびっくりしていた。

「え、わ、私ですか?」

『ファリーのスキル【製造神】は材料さえあればどんな物でも作ることができるからな。 仮に原石のままでもスティクォンのスキル【現状維持】で我の体力と魔力を維持してもらい、最大火力のブレスでオリハルコンを溶かしたあと、ファリーの手にかかれば加工など簡単にできよう』

我はそこまで見越した上で今回の防壁作りを考えていたのだ。

『結果はクレアの【鉱石創造】は宝石や鉱石ならどんな形でも作ることができるスキルとわかったからな。 これを生かしてこの土地に最硬の防壁を作るのだ』

「最硬の防壁って大袈裟な・・・」

スティクォンは呆れているが我は大真面目だ。

『大袈裟ではないぞ? お前たちのスキルはどれもレアスキルだ。 それはここまで攻めてきて手に入れてもおかしくないと我なら思うぞ』

我の意見にウィルアムが賛同する。

「たしかにそうですな。 特にスティクォン様の【現状維持】やクレア様の【鉱石創造】は狙われるでしょう」

聞いていたスティクォンとクレアは自分たちが狙われると知って嫌な顔をした。

『人が無知であればそこまでする必要はない・・・が、狡賢い生き物故に対策だけはしておくべきだと我は考えたのだ』

そこまで聞いてスティクォンたちも納得したようだ。

『そういう訳で防壁を作る。 まずは・・・』

「シディア様、お待ちを。 まずはクレア様に手頃なサイズの宝石をいくつか生成していただきたいのですが」

『宝石を? 何に使う?』

「はい、その宝石を売却して工具と農具、それに食用植物の種を購入します。 ファリー様には工具で家を、リル様には農具で畑をお願いしたいのです」

我はいつも外で蹲って寝ているので気にもしなかったが、人は衣食住がないと生きていけないのであったな。

それと我の持ってきた宝石に手を出せば逆鱗に触れると。

別に我の宝石の1つや2つくらいなら売り捌いても構わないが、ウィルアムなりの我への配慮なのだろう。

『ウィルアム、気遣いは不要だ。 小粒の宝石ならばいくつか売っても構わぬ』

「わかりました」

ウィルアムは袋の中から小指の爪ほどのダイアモンド(金剛石)ルビー(紅玉)エメラルド(翠玉)サファイア(蒼玉)を手にとる。

あの程度なら問題なかろう。

『それではまずは必要な物資を購入しに行くか。 皆、我の背中に乗るがよい』

我はスティクォンたちを背に乗せると翼を羽搏かせて町まで飛んで移動した。


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