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145.学び舎を建てよう

昇降機が完成したスティクォンたちは翌日学び舎を建設中のファリーたちのところへと向かう。

そこには一階辺りの高さは4メートルで横幅が200メートルの四階建ての学び舎があった。

「すでにできあがっているな」

「スティクォンさん!」

スティクォンたちが驚いているとファリーとシャンティが話しかけてきた。

「ファリー、シャンティ、作業はどんな感じ?」

「見ての通り建物は完成しています。 あとは指定された場所に昇降機を設置するだけです」

「昇降機のほうはどうかしら?」

シャンティの質問にティクレが笑顔で答える。

「スティクォンさんのおかげで昇降機は完成したよ」

「それは良かったわ。 どこに設置するかこれから案内するわ」

ファリーとシャンティが案内した。

学び舎の入り口を入るとエントランスがあり、その中央には受付がある。

受付を過ぎて奥へと進むとそこには壁もなく外へと繋がる3つの空室があった。

「ここです。 ティクレさんの試作型を見せてもらったのを参考に嵌め込みできるように空間を開けておきました」

「うん。 想定通りで助かるよ」

注文した通りにできあがっていてティクレは満足した。

「昇降機の設置だけど、人の出入りが多いと想定してここに3つ、それと東と西に3つずつお願いするわ」

「クレアさん、お願いできるかな?」

「任せてください!」

クレアは一旦空室から外に出て広いところで【鉱石創造】を発動した。

一階部分と同じ大きさの金属でできた骨組みの箱が現れる。

「ティクレさん、昇降機のかごの大きさはこのくらいですか?」

「えっと・・・うん、問題ないよ。 あと、昇降機の骨組み、滑車、紐もお願い」

「わかりました」

クレアは【鉱石創造】を発動して金属でできた昇降機の骨組み、滑車、紐を作り出した。

「できました!」

「どれどれ・・・うん、完璧だよ。 あとはこれを組み込んで設置しないとね。 ドワーフの皆さん!」

「「「「「任せてください!」」」」」

ティクレの作業を手伝っていたドワーフたちが昇降機を組み立てる。

一度作っているからか組み立てはスムーズに行われた。

それから組みあがった昇降機を建物の部屋の出入り口に合わせるように設置した。

その際に完全に密着させるのではなくほんの少しだけ隙間を開ける。

「さて、これからは私の技術の見せ所ね」

ティクレは持ってきた道具袋を持って建物の屋上へ移動する。

到着すると道具袋からいくつかの道具を取り出す。

予め術式を組み込んだ制御盤。

制御盤に連動するように作った押しボタン。

押しボタンが押されたことで紐を巻き上げたり緩めたりする巻上機。

そして、制御盤から押しボタンや巻上機に伝達させるための細長い金属糸だ。

ティクレは屋上に制御盤と巻上機を滑車の隣に設置する。

設置が完了したら金属糸で制御盤と巻上機を接続する。

それが終わったら今度は制御盤に金属糸を複数接続して未接続のほうを各階に垂らす。

あとは各階に赴いて垂らした金属糸と押しボタンを接続し、押しボタンを壁に固定する。

「できたわ。 次に行く前に動作確認をするよ」

ティクレは昇降機の制御盤にスティクォン特製の魔石を嵌め込むと昇降機を起動させた。

それから各階のボタンを押して移動できるか確認する。

結果は問題なく起動して各階に移動することができた。

最後にスティクォンの【現状維持】で昇降機の今の状態を維持する。

昇降機が無事稼働できたところで残りも設置することに。

すべての昇降機が設置されたのは太陽が西の空に沈む直前だった。

「ふぅ・・・やっと終わった」

「ティクレさん、お疲れ様」

「スティクォンさん、ありがとう」

スティクォンがティクレを労っているとファリーとシャンティがやってきた。

「ティクレさん! 昇降機ってすごいですね!!」

「階段を上り下りするより楽だわ。 作ってくれてありがとう」

ファリーは何度もボタンを押して上へ下へと移動して楽しんでいたのだろう。

シャンティは魔王城での階段の上り下りするのに苦労した分昇降機の移動で楽できたことに感謝している。

「頑張った甲斐があったよ」

ティクレとしても無理難題を無事に突破できてホッとしている。

「これで学び舎は完成したな」

「はい! 明日からは演習場を作る予定です!」

シャンティの設計図を見ると学び舎と隣接するように講堂、武術用の屋内練習場、魔法用の屋内練習場、そして、大人数用の屋内練習場を建設を予定している。

「まずは講堂から建てるわ。 できあがったら大人数用、武術用、魔法用の順番に屋内練習場を建てることにしたから」

「それと並行して学び舎の各部屋に机や椅子を作って設置していく予定です」

「ああ、あと黒板やチョークも作らないとなぁ」

学び舎が建て終わってもやることはまだまだあるようだ。


翌日からは建設チームと備品作成チームに分かれて、ワイン造りをしているドワーフを除いた者たち総出で作業を行うことになった。

建設チームはファリーとシャンティが中心に9割ほどのドワーフで講堂や屋内練習場を建てていく。

備品作成チームはシャンティがデザインした机・椅子・教壇をファリーがサンプルとして作り、それを基に残り1割のドワーフたちで着手することに。

階段式教室には長机と長椅子を、小教室には個人用の机と椅子を、屋外用の机と椅子というように用途に合わせて作っていった。

それとは別にティクレはマムモ、アリアーサ、アールミスと協力して黒板やチョークなど学び舎で必要な道具一式を作る。

ほかにも紙の量産に着手したり、外部から購入したガチョウや白鳥の羽からペンを作ったりしていた。


建設を始めてから10日、ついに学校が完成した。

「みんな、お疲れ様」

「頑張りました!」

「良い出来だわ」

「やっと終わった!」

ファリー、シャンティ、ティクレはそれぞれやりきった感に浸っていた。

「達成感を感じているところ悪いけどまだまだ建築があるから」

「舗装した道、大使館、それとお城ですよね?」

ファリーが指を折りながらこれからやる作業を確認する。

「うん。 あまり無理をせず建築してほしい」

「はい! みんな! 頑張ろう!!」

「「「「「「「「「「おおー!!」」」」」」」」」」

ファリーのやる気と掛け声にドワーフたちは同調するのであった。


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