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127.魔王との会談

晩餐会翌日───

スティクォンたちが目を覚ましてしばらくすると扉をノックする音が聞こえた。

『お客様、朝食の準備ができました』

「はい。 今行きます」

扉を開けるとそこにはキーラの執事がいた。

隣室にはメルーアたち女性陣がいる来客用の寝室があり、その扉の前にはメイドがいる。

扉が開く音に反応したのか、隣室の扉が開いてメルーアたちが姿を現した。

「おはよう」

「おはようですわ」

スティクォンたちは軽く挨拶すると執事に一声かける。

「お待たせしました」

「それでは食堂にご案内いたします」

執事が歩き出すとスティクォンたちもそれに続く。

食堂に着くとそこには多彩な料理が置かれていた。

肉料理、魚料理、サラダ、スープ、パン、パスタ、ドリンク、デザートと分類され、それぞれが数種類ずつ用意されている。

「うお! すげぇぜ!!」

「どれも美味そうだな!!」

バーズやスポーグたち獣人族は料理に魅入っている。

「ビュッフェスタイルか」

「随分と豪華ですわ」

スティクォンやメルーアも豪華な食事に驚いていた。

「魔王様からの言伝でございます。 『礼儀作法は気にせず自由に食すが良い』とのことでございます」

「僕たちのことを考慮してくれたんだね。 ありがたい。 それじゃ、食事にしよう」

スティクォンたちは食事を開始した。

各々が好きな料理のところに向かうと皿にとっていく。

なかでも肉料理のコーナーに獣人族が集まり、料理の奪い合いをしているほどだ。

料理を取り終え、テーブルに着いて皆食事を摂る。

取ってきた量では満足できないのか獣人族たちはおかわりし、女性陣はデザートに舌鼓していた。

そんな中、スティクォンが食後のお茶を飲んでいると隣に執事がやってきて声をかけられる。

「スティクォン様、少々よろしいでしょうか?」

「はい、なんでしょう?」

「魔王様からこのあとお会いしたいと申されておりますが、ご都合はよろしいでしょうか?」

スティクォンはメルーアとウィルアムを見る。

すると2人は頷いた。

「はい。 僕たちは問題ありません。 いつでも会えるとキーラに伝えてもらえますか?」

「畏まりました」

執事は一礼するとその場から離れた。

しばらくして食事を終えたスティクォンたちはメイドの案内で客間へと戻る。

部屋に入るなりスティクォンは話を切り出した。

「皆聞いてほしい。 これからキーラに会いに行く。 行くのは僕、メルーア、ウィルアムさんは確定。 あとはビューウィ、ティクレ、アールミス、悪いが一緒に来てくれないか?」

「ええ、いいわよ」

「私? まぁ、いいけど・・・」

「行っても役に立たないと思うぜ」

ビューウィは了承するも、ティクレとアールミスは渋々といった感じだ。


30分後───

コンコンコン・・・

スティクォンたちがいる客間の扉がノックされた。

『お客様、お迎えに参りました』

「はい」

スティクォンは短く返事をしてからファリーたちを見る。

「それじゃ、行ってくるよ」

「いってらっしゃい」

スティクォンはメルーア、ウィルアム、ビューウィ、ティクレ、アールミスを引き連れて、執事の案内によりキーラのところへと向かった。

ある部屋の前で執事が止まると扉をノックする。

「魔王様、お客様をお連れしました」

『入ってくれ』

執事が扉を開けて中に入るように促す。

スティクォンたちが入るとそこにはキーラのほかに男性魔族4名がキーラの後ろに控えていた。

「スティクォン、メルーア、ウィルアム、よく来てくれたな」

「こちらこそ、招待してくれてありがとう」

キーラはビューウたちにも声をかける。

「そちらの3人も気楽にしてくれて構わない」

「はい」

「「は、はい!」」

ビューウィは普通に対応するも緊張からかティクレとアールミスの声が上擦っていた。

「立ち話もなんだから席についてゆっくり話し合おう」

スティクォンたちはキーラに勧められるままテーブルに着いた。

お互い席に座るとキーラが先に話しかけた。

「まずは昨日の晩餐会では迷惑をかけたな」

「大したことじゃないから気にしてないよ」

「それに伝達網で不備がありスティクォンたちに迷惑をかけた。 すまない」

キーラの一言に控えていた魔族の1人が顔を蒼褪めさせていた。

多分、国防の責任者である防衛大臣なのだろう。

前に出るとスティクォンたちに頭を下げる。

「この度は私の部下たちがご迷惑をおかけしました」

「別に気にしていませんよ」

「スティクォン、当該者たちへの処分について何を望む?」

キーラの言葉に防衛大臣の顔色が青から白へと変わっていく。

「こちらとしては厳しい処罰は求めていません」

「わかった。 寛大な処分に感謝する」

「ありがとうございます!!」

防衛大臣は救世主を崇めるような目でスティクォンを見た。

「原因というか末端まで情報が行き届いていなかったのはどうしてですか?」

スティクォンの質問に防衛大臣が素直に答える。

「私から防衛庁の長官、その下の部長までは情報が行き届いていたのですが、部長が部下への伝達を疎かにしたことが今回の原因です」

「国の防衛のために皆身を()にして働いているのだ。 伝達しなかっただけで攻めるのは酷というもの」

キーラとしても国の防衛は重要度が高いことからあまり大事にはしたくないらしい。

「今後はこのようなことが起きないように徹底していきます」

「反省しているならそれ以上は言及しない。 ただ、このようなこと(情報の伝達)は国防だけの問題ではない。 それだけは忘れるな」

「「「はっ!!」」」

キーラのうしろにいる残りの3人も自分たちに飛び火してくるとは思わなかったのか、焦って返事をする。

「さて、伝達網の件はこれぐらいにして、改めて挨拶しよう。 我は魔族の国の王キーラマカ・デモンロードだ。 キーラと呼んでくれ」

「多種族共生国『マルチブルク』の王でスティクォンです」

スティクォンとキーラは立ち上がり、それぞれ手を差し出して握手した。


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