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118.贈呈品を模索する

礼服やドレスを購入したスティクォンたち。

次に考えるは同行者の絞り込みだ。

マルチブルグに戻るとスティクォンの家でメルーア、ウィルアムと話し合う。

「うーん、誰を連れていくべきかな・・・僕、メルーア、ウィルアムさん、シディアは確定として、外務大臣であるビューウィ、それと警備に防衛大臣のバーズさんとスポーグさん、獣人族の皆さんは外せないかな」

「アーネル、シャンティ、マムモを着付け担当、クーイを料理担当、ドーグを医療担当として連れて行く必要がありますわ」

「技術担当としてファリー様、ティクレ様、アールミス様をお連れするのをお勧めいたします」

立候補として挙げると結構な人数になってスティクォンは頭を悩ませる。

キーラ主催の晩餐会に招待されたとはいえ、初めての外交だ。

失敗はしたくない。

キーラは気にしないだろうが、ほかの魔族から舐められてトラブルになる(絡まれる)のだけは避けたい。

「人選はこんなところだろう。 買ってきた礼服やドレスを基にアーネルとシャンティに急いで見繕ってもらおう」

「そうですわね。 時間もあまりありませんし」

「すぐに皆様を招集いたします」

ウィルアムは一礼すると家から出て行く。

程なくしてファリーたちがスティクォンの家に集められた。

「スティクォンさん、どうしたんですか?」

「実は今度メルーアやウィルアムさんと同族であるキーラから晩餐会の招待を受けたんだ。 それでここにいる皆さんに同行してもらうことになりました」

スティクォンの言葉に敏感に反応したのはクーイ、ティクレ、アールミスのエルフ3人組だ。

クーイたちはスティクォンたちに聞こえないようにひそひそと話す。

『ねぇ、メルーアさんたちと同族で晩餐会に招待するって・・・』

『まぁ、想像通りだと思うよ』

『嘘だろ・・・魔王自ら招待したってことか』

結論に至ったのか信じられないような顔でスティクォンを見た。

そんなクーイたちをよそにビューウィが代表して質問する。

「それで私たちは何をすればいいのかしら?」

「一番肝心なのからいうけどアーネルとシャンティにはここにいる全員分の服をお願いしたい。 男性は礼服で女性はドレスだ。 もちろん自分たちが着る分も用意してくれ」

スティクォンが指さしたところには購入した礼服やドレス、ほかにも軍服や執事服、メイド服があった。

どれも服のサイズよりデザインを重視している。

さらに連れていく人数が想定以上だったのか置いてある物では数が足りていない。

「いつまでに用意すればいいかしら?」

「うーん・・・ウィルアムさんに確認したんだけど、この招待状には10日後に開催って書かれているから、移動とかも考えると7~8日までかな?」

「あら、そんなに時間をくれるの?」

「それなら余裕ね」

アーネルとシャンティは簡単な仕事だと笑みを浮かべる。

「アーネルさん、シャンティさん、いくらなんでもドレス1着を作るのに1週間は短すぎないか?」

アールミスが当然な疑問をぶつける。

「あら、簡単よ。 アールミスはここにあるドレスならどれが好みなの?」

「え? 私はこれかな?」

アールミスは肩や胸元をしっかり隠すドレスを指さした。

シャンティは近くにあった紙とペンを取ると【絵画神】を発動してアールミスに合うドレスをその場で瞬時に描き上げた。

「こんなところかしら」

好みを熟知しているのか、できあがったドレスのデザインを見てアールミスが目を輝かせる。

「こ、こんなの本当に作れるのか?」

「これくらいなら私の【織編神】なら1~2時間もあれば十分よ」

横から覗き見したアーネルができて当然と応える。

「それならこの会議が終わったあとにここにいる全員の注文を聞いて作ってくれるかな?」

「「ええ、いいわよ」」

アーネルとシャンティが礼服作りを承諾する。

「次にキーラに渡す贈呈品についてだけど、ワインとブランデー以外に何かないかな?」

「そうですわね・・・ここにある物といえば、パン、野菜、果物、魚貝、海草や海藻、香草や香辛料、薬草、乳製品、化粧品、布製品ってところかしら?」

「普通に考えますと暑さに強い野菜や果物、香辛料、布製品あたりが候補となりますな」

マルチブルグの外は灼熱の砂漠だ。

生物(なまもの)はもちろん暑さに弱い食べ物や加工食品は高温ですぐにダメになる。

人に贈るとなるとウィルアムの言う通り暑さに強い食べ物やそもそも暑さに関係ない物を選ぶのが普通だろう。

「ですが、わたくしたちにはスティクォンがいますわ。 【現状維持】で鮮度を保てば何でも持っていけますわ」

「その通りですな」

「そう考えると選択の幅が広すぎるな・・・メルーア、ウィルアムさん、キーラの好みってわかりますか?」

スティクォンの質問にメルーアとウィルアムは首を横に振る。

「わかりませんわ」

「スティクォン様、申し訳ございません。 私もま・・・んん、キーラ様の好みの品は存じ上げておりません」

「困ったな・・・」

悩むスティクォンにビューウィが意見する。

「それなら全部持ってって本人に贈ってみたらどうかしら?」

「全部って、持って行くのはシディア様だろ? いくらなんでも無理じゃないか?」

バーズの疑問にファリーが答える。

「シディアさんなら大丈夫だと思いますよ。 海でとっても大きいクラーケンっていう魔物を軽々と持ち上げたんですから」

「おいおい、クラーケンって、海にいるあのクラーケンか?」

「そうですよ」

「マジかよ・・・それが本当ならシディア様はやっぱりすげぇな」

バーズやスポーグ、獣人族たちはシディアの並外れた力を知って驚愕する。

「でも、好みがわからない以上全部持っていくのはありだな。 欲しい物は受け取るだろうし、いらないなら持って帰ればいい」

「そうですな」

「それでいきましょう」

決まりかけたその時、クーイが手を挙げる。

「待ってください! 私も行くということは贈呈品の中には料理も含まれるのですよね? それなら、料理上手なハーニさんも同行させたいのですが・・・」

「ハーニを? 別にいいけど」

「ありがとうございます」

「ほかにありますか?」

確認するも誰からも意見はなかった。

「なければ贈呈品はこれで決まりにします」

贈呈品も決まり、残す問題はあと一つとなった。


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