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107.役職を決めよう

マルチブルクの王となったスティクォン。

歓喜に沸く皆を鎮めるように手で制した。

「みんな、ありがとう。 国の大事の時は王として振舞うけど普段は今まで通り色々と手伝うから。 早速だけどこれからこの国を作っていく上で必要な役職を決めたいと思います」

「役職?」

スティクォンの言葉に皆首を傾げた。

「それじゃまずは宰相だけどウィルアムさんにお願いします」

「私でございますか?」

突然名指しされたウィルアムは珍しく驚いていた。

「理由をお聞かせしていただいてもよろしいでしょうか?」

「一言でいえば万能だからです。 メルーアに仕えているだけのことはあり、あらゆる方面の知識を有しています。 僕としてもウィルアムさんが宰相になっていただければとても助かります」

「しかし・・・」

ウィルアムはメルーアを見て返答に迷っている。

「爺、気にすることはないですわ」

「メルーアお嬢様」

メルーアは両手でウィルアムの右手を握った。

「スティクォンを支えてあげて」

「お嬢様・・・畏まりました。 謹んで拝命いたします」

ウィルアムが承諾してくれたことにスティクォンは素直に喜んだ。

「ありがとう、ウィルアムさん。 大事の時以外は今まで通りメルーアに仕えていてかまいませんから」

「ほっほっほっ、スティクォン様、お手柔らかにお願いいたしますぞ」

宰相が決まったところで次の役職だ。

「大臣職だけど財務大臣はシディアにお願いするよ」

シディアは意外な顔でスティクォンを見た。

『ん? 我が財務大臣? 正気かスティクォン?』

「まぁ、本来ならクレアにお願いしたいところだけど・・・ほら、ねぇ?」

スティクォンの言葉にピンときたのかシディアが納得する。

当の本人であるクレアはというとここに来た時のことを思い出したのか申し訳なさそうにシディアに頭を下げた。

『ああ、そういうことか。 よかろう、我が引き受けようではないか』

「シディア、助かったよ」

シディアが2つ返事で承諾したことにスティクォンは感謝していた。

なぜ、財務大臣にクレアを指名しなかったのか?

それはクレアのスキル(【鉱石創造】)に問題があるからだ。

もし、なんらかの方法でクレアのスキル(【鉱石創造】)が外部に発覚でもしたら拉致される可能性が非常に高いだろう。

故にスキル(【鉱石創造】)の秘匿と身の危険を考えた上でシディアを任命したのである。

シディアならば長年生きてきた知識を基に上手く活かしてくれる筈だ。

それにドラゴン(シディア)に喧嘩を売る(バカ)はいないという考えから財務大臣に任命した。

「防衛大臣はバーズさんにお願いします」

「お、俺か?!」

予想外の事にバーズはびっくりした声を上げる。

「無理無理! 俺には無理だぜ! スティクォンさん、よく考えてくれ。 俺はまだここに来て日が浅いんだ。 それに戦闘面ではドラゴンであらせられるシディア様はもちろんのこと、仲間である虎や鷹にも劣るんだぜ? 弱い者が上に立つなんてほかの者たちに示しがつかないぜ」

「強さだけ見ればバーズさんの言う通りです」

「だろ? だったら・・・」

バーズが断りを言おうとするもスティクォンが遮った。

「ですが、上に立つ者が強者である必要はないんです。 僕を見れば理解できると思いますが、みんなが適任だと感じたから僕をこの国の王に推したんです。 それと同じでバーズさんならこの国の防衛を任せられると感じたから推したんです。 それにバーズさんは多くの獣人族から慕われていますから」

「けどよ・・・」

任命されたくないのか必死になるバーズ。

そんなバーズの肩にスポーグが手を乗せた。

「スポーグ?」

「バーズ、諦めろ」

「スポーグ! てめぇ自分じゃないからって気楽に言いやがってぇ!!」

「まぁ、実際自分事じゃないしな」

笑うスポーグだが、そこにスティクォンが爆弾を投下した。

「バーズさんがダメならスポーグさんでも問題ないですよ」

「はぁ?!」

「お、そいつはいいな」

先ほどとは打って変わってバーズは余裕を取り戻し、スポーグは慌てふためく。

「スティクォンさん、バーズのほうが適任だぜ!」

「いや、スポーグのほうが適任だろ!」

いがみ合うバーズとスポーグ。

見かねたウィルアムが魔族の国で流通している銀貨を取り出して提案した。

「では、コイントスで決めるのはどうでしょう?」

「いいだろう」

「やってやる」

ウィルアムの提案に異存はないのか両者合意する。

「花が描かれているほうが表です。 外れた方が防衛大臣に就任となります。 コインを弾く前に表と裏を決めてください」

「表」

「裏」

バーズは表、スポーグは裏が出ると予想した。

「では、弾きます」

ウィルアムが指で真上に弾くとコインは宙を舞いそのまま地面へと落下した。

そして、現れた面はというと花が描かれていなかった。

「裏でございますな。 結果バーズ様が防衛大臣に就任となります」

「だあああああぁーーーーーっ! マジかぁ?!」

「よっしゃあああああぁーーーーーっ!!」

バーズは頭を抱え崩れ落ち、スポーグは両手を挙げて喜んだ。

「かあああああぁーーーーーっ! 仕方ねぇな! 防衛大臣やってやらぁ!!」

「バーズさん、ありがとうございます」

バーズは立ち上がると右手で頭を掻きながら承諾した。

「外務大臣はビューウィにお願いするよ」

「あら、魔物である私なの?」

ビューウィは涼しげに応える。

「どちらかというと各地にいるビューウィの同族(アルラウネ)との連絡を使って情報を得られればいいかなぁって、できれば外での公務も任せたいんだけど・・・」

「別にいいわよ。 私の分身を使えばいくらでもできることだから」

そういうとビューウィは二つ返事で同意してくれた。

「あとは内務大臣だけどアリアーサさんにお願いするよ」

「絶対嫌ですっ!!」

指名されたアリアーサは両手で大きく×(バツ)を作った。

「なんで私がそんな面倒なことをしないといけないんですかっ!!」

「なんとなく適任かなぁって・・・」

「なんとなくで決めないでくださいよっ!!」

断固として拒否するアリアーサ。

そこにバーズが悪魔のように囁く。

「まぁまぁ、落ち着け。 内政に関われば好きな事し放題だぞ」

「好きな事? ア、アイスクリームが食べ放題?!」

「いや、それは違ぅ・・・」

「やります! 私内務大臣やります!!」

こうして不純な理由でアリアーサは内務大臣に就任するのであった。


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