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10.ラストール1 〔ラストール視点〕

時はスティクォンがスキル【現状維持】を知った1ヵ月前に遡る。






そこは朝から窓は閉められ、濁った空気で部屋が淀んでいた。

そんな部屋に1人の男と複数の女がいる。

皆全裸で女たちは床や椅子やベッドで仰向けなりうつ伏せなりで横たわっていたが男だけが疲労知らずに動いていた。

「お前なかなか良かったぞ」

事が終わると女は疲労で動けない。

男は女から離れて別の女を相手する。

先ほどの女と同じく男は己が欲望を満たすためだけに動いていた。

それからどれだけ時間が経ったのだろう。

男が満足した頃、扉がノックされると気怠そうに口を開く。

「何ようだ?」

『国王陛下、そろそろお時間です』

「ちっ! もうそんな時間か・・・わかった、すぐに行く」

男は女たちをほったらかして浴槽に行くと身体を洗い流す。

さすがに汗を掻いた状態で人前に出るのは問題になるからだ。

手短に用意をすますと服も着ずに部屋を出ていく。


余の名はラストール。

フーリシュ王国の国王である。

いずれこの世界を統べる王になる存在だ。

覚えておくがよい。


さて、隣の部屋に行くとそこにはメイドたちが頭を下げて待っていた。

「「「「「「国王陛下、お待ちしておりました」」」」」」

「うむ、今日の召し物を用意しろ」

「「「「「「はい」」」」」」

メイドたちが服を見繕っていると1人のメイドが目に入る。

隙だらけのメイドに後ろから抱き着いた。

「きゃっ!!」

突然のことにメイドは短い悲鳴を上げる。

「うむ、顔もだがお前もなかなか良い身体をしているな」

余はメイドの服の上から胸を両手で触り始める。

メイドは顔を真っ赤にした。

「こ、国王陛下! お、お戯れを・・・」

「別にいいだろ?」

余は気にせずに片方の手を胸から太腿へと移動した。

「陛下、お願いします。 やめてください」

「照れた顔も可愛いぞ」

メイドはさらに耳まで真っ赤にした。

そして、いよいよその先に移動させようとしたとき、外から声が聞こえてくる。

『陛下! 国王陛下! どちらにいらっしゃいますか?! 今日は大事な日であるので早く出てきてください!!』

「ちっ! 興が削がれた。 まったく邪魔しおってからに・・・」

外で騒いでいる宰相が五月蠅い。

だが、宰相が言ってることは正しい。

今日はこの1年で12歳を迎えた貴族のガキどもがスキル授与によりスキルが判明する日だ。

それはこの国の戦力、経済力、生産力など国力に繋がる。

つまり余にとっては生命線ともいえることだ。

これを蔑ろにはできない。

余は名残惜しくもメイドから身体を放す。

メイドは解放されてホッとしている。

(今は安堵しているがよい。 あとでたっぷりと可愛がってやるからな)

心の中でマーキングしていると別のメイドたちがいくつか服を用意する。

服などどれでもよかったが適当に選択すると着始めた。

しばらくして着終わると部屋から出る。

そこに先ほどまで外で叫んでいた宰相がこちらに走ってきた。

「国王陛下! こんなところに・・・」

「着替えが遅いだけで一々文句を言うな」

「しかし、今日は・・・」

「わかっておる。 今日は貴族の子息子女がスキルが判明する大事な日だろ? スキル次第では国力に影響を与えるからな」

「おわかりであればよろしいのです」

宰相はそれ以上言葉にしなかった。

こいつも有能だからその職に就かせているが、男を傍に置くのは正直嫌悪感しかない。

まぁ、こいつ以上の有能な美女か美少女が現れれば即チェンジだけどな。

それどころかこの城に余以外の男は不要とすら思うほどだ。

女も余が認めた美女や美少女だけがいればよい。

ただ、美女や美少女に下男みたいな力仕事はさせられないだろう。

そういうむさ苦しい仕事はすべて男に任せればいいのだ。

うむ、それならば必要最低限の男はやはり必要か・・・

今はこの国を拡大するために仕方なく使っているが、この世界のすべてを手に入れた暁には余と美女、美少女、それに必要最低限の者以外の男女を皆殺しにしよう。

そんなことを考えながら謁見の間に入り壇上の玉座に腰掛ける。


しばらくすると1人の衛兵が謁見の間に入ってきて余の前に膝を突く。

「失礼します! 国王陛下にご報告があります!!」

「スキル授与のことだな?」

「はっ! その通りでございます!!」

「わかった。 貴族子女だけでよいぞ」

その言葉に衛兵がポカンとする。

「陛下、今なんと?」

「だから、貴族子女だけ報告せよ」

「か、畏まりました」

衛兵は余の注文通り貴族子女の名とスキルだけを次々と報告していく。

「以上です。 詳細は・・・」

「いらん。 紙の無駄だ。 下がれ」

「はっ! 失礼いたします!!」

衛兵はそれだけ伝えると足早に謁見の間を出て行った。

「陛下、よろしかったのですか?」

「構わんだろ? どうせ今年もそんなに変わらんからな。 それよりも余の眼鏡に適う女がいるかが重要だ」

それを聞いた宰相が呆れた顔をする。

お前にとっては戯言でも余にとってはそれがすべてなのだからな。


それからスティクォンをアバラス家から追放して1ヵ月が過ぎた頃、それは唐突にやってくる。

いつものように女を相手にしようとした。

この時、スティクォンの維持が消失したことにより余の絶大なる精力が失われたことをまだ知らない。

そして、1ヵ月前にスティクォンという名の公爵家の子息とスキル【現状維持】を聞かなかったことをのちに激しく後悔した。


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