第玖話 守るべきもの
井上祐二
身長182cm
体重73kg
年齢23歳
階級准尉
詳細
紅蓮崎たちとは防大の同期。
レンジャーの資格と危険物取り扱い免許を持っていて、爆弾処理班に所属し爆薬や銃弾、危険物においてはエキスパート。
人には、人生に一回程度衝撃な事件に巻き込まれることはある。しかしここまで衝撃的なことに巻き込まれる人たちはいないだろう。
「マジですか?」
「ああマジだ!!GPSが使えないからここら辺の地形を知りたい。航空写真を取ってきてくれ。」
藤浪小隊長が命令するが・・・たぶん紅蓮崎は聞いていない。
「!!」
「どうした・・・?」
「長州藩の砲台が、1、2、・・・17隻の蒸気船に砲撃されています。」
「わかった。しかし、介入はするな。お前の任務は終わったんだ。早く帰還しろ!!」
「そうだ、藤浪少尉の言う通りにしろ。」
しかし、藤浪少尉と亜久斗と慎の言葉に紅蓮崎は反抗した。
「俺たちは、日本を、日本人を、守るためにいるんですよね?」
「ああ、そうだがだからどうした?早く帰還しろ。」
「だめです。」
「はっ?お前の任務は終了したんだ。何でダメなんだ?」
「日本人が攻撃されています。」
「それは昔の日本人だ。俺たちが守るべき日本人はここにはいない。俺たちが所属する日本という国もない。歴史には介入してよいとは決められていない。」
「違います。俺にとっての、守る日本人は、俺と同じ血の流れた日本人なんだ!!どの時代だろうと日本人は日本人に変わりないんだよ。文化が違おうと日本人なんだ。俺が守るべき日本人に江戸だろうが、明治だろうが、大正昭和平成なんて時代は関係ないんだよ。みんな同じ日本で暮らした日本人なんだよ。」
「おいっ待て!!くそ。あの馬鹿」
下関
ドーン ドカーン
「ぐわぁ!!」
「ぐふぅ」
次々に人が吹っ飛ぶ。鎧兜など、大砲の砲弾には、役に立たない。腸が飛び散る。血のにおいがする。何が何だか分からなくなった物体まである。
17隻の蒸気船 計286門の大砲
それに対し長州藩は120門の砲と砲台
明らかに不利過ぎる。勝てるはずがない。
「くそぉっ!!欧米め!!・・・なんだあれ?ハヤブサ?にしてはでかすぎる。日の丸の旗、味方か?何だろう」
次の瞬間 パシューン パシューン
2発のミサイルが発射された。偵察機なので、ミサイルは数が少なくこれで終わりである。
ドカーン ドカーン
「なんだあれ?」
「何?」
連合軍から次々に声が聞こえてくる。
「ミサイルは切れた。30mm機関砲で潰す。」
バババババババババ
次々に弾薬庫や、機関部にあたり火を噴き沈没していく。僅か8分。全部撃沈。
「おい、紅蓮崎!!帰ってきたら覚えてろよ。」
「俺は、俺自身の任務をこなしただけです。今帰還します。」
「お前には呆れた。この阿呆が!!上にはごまかし切れるだけごまかしてやる。幸い今ちょうど長官が淡路島緊急会議でいないから。それで本来の任務は?」
「・・・・なんでしたっけか?」
「馬鹿やろー!!本来の任務を忘れて個人的なことをするな!!ごまかしてやらねえぞ!!」
「すいません・・・っで、なんでしたっけ?」
「航空写真を撮ってこいだ。」
「ラジャー」
「馬鹿な下っ端を持つと苦労するぜ。」
「頑張ってください。あいつは根はいい奴なので。だけど、暴走すると止められない奴ですから。」
「ああ、知ってるよ。それぐらい。あいつは馬鹿だけど、自分に嘘をつけねーんだよ。」
これから俺たちはどうなるのだろう と声には出さないが溜息をする藤浪少尉であった。