最終話
ついに最終話です。はっきりいってこんなまとめ方でよいのかどうか分かりませんが、どうぞ読んでください。
ソビエト連邦極東管理地区。ここはかつて日本の植民地であった場所だ。そのためか、やたらと日系人が多く、そして亡命ロシア人の移住区でもあった。そしてナチス・ドイツにより迫害を受けていたユダヤ人にとっての亡命地点でもあった。そして1970年。戦後奇跡の復興を果たし、ソ連に並ぶ超大国になった日本はかつての領土を取り戻すために一大戦争を仕掛ける。ソ連の極東地方における最大の軍港、ウラジオストック。ここさえ封じ込めればソ連の太平洋進出は防げる。そして、日本の領土であった満州。そして北中国、台湾を再奪還するために。
淡路島作戦考案本部
「今共産圏で一番暴動・テロが多いのは台湾です」
「うむ」
解説をしているのは情報管理課の岩田だ。それを聞いているのが司令長の草島であり、副司令の梶原、そして主要メンバーである。
「抗露民族台湾統一戦線と呼ばれる台湾独立、もしくは日本による再併合を望む武装組織です。かれらは、日本の影響を受け1960年に独立を宣言しましたが瞬時に鎮圧され大敗北をしました。今は沈静化していますがそれでもテロの多さは天下一品ものと言わざるをえません。私が見たところでは少なくとも30万人規模の大組織と見ます。」
「かつての自衛隊より多いな・・・」
「それで?」
「台湾周辺海域を特殊戦艦大和により封鎖し、上陸部隊を上陸させソ連軍を追い出します。その後台湾を独立させます。それと同時に次にテロが多い中国を独立させます。とはいっても南中国ですから、他民族の多い北中国は勢力がばらばら過ぎて規模がでかくありません。漢民族に統一されている南中国の方が独立させやすいでしょう。それに北中国は日本との併合を望む声の方が圧倒的に支持が高いですから」
「それと、極東地方奪還の何の関係が?」
「南中国が資本主義化したらユーラシアのほとんどが資本主義化して、共産主義の封じ込めができてきます。これは厄介なのでソ連軍は我々と対峙するため、太平洋艦隊を出撃させるはずです。これを特殊戦闘艦大和だけで立ち向かい残りの艦隊は北上しウラジオストックを壊滅させ、上陸部隊を上陸させて極東地方を奪還します。」
このような内容だ。
「つまり、南中国独立や、台湾独立は極東奪還のおとりと言うわけか・・・」
「はい。そのとおりです」
「しかし、特殊戦艦大和だけで勝てるのか?奴らも少なくとも似なような艦を持ってることだろう」
「負けることは無いわ」
そう断言したのは地佐山夙だった。
「この艦にはねえ、2070年当時ロシアが開発できなかったACCMが搭載されているの。さらに、磁場シールドや光学迷彩などのACM以外に亜空間シールドと呼ばれるものも搭載しているの。」
「それは初耳だな」
「亜空間シールドは亜空間システムの応用で、艦内部に作るのではなく、艦そのものに亜空間を作り出すことによって大和自体が攻撃を通り抜けるようになるの。しかし、これは危険性が大きく、無人兵器に向いているの。限界タイムが10秒。それ以上を超えると乗員までもが亜空間に取り込まれてしまう危険性があるの」
「そりゃ危険だな・・・」
「だけど大丈夫。ACCMだけでも十分。負けることはまずないわ」
「夙ちゃんの言葉を信用しますか・・・」
1970年8月台湾独立戦争
渡慎・相良亜久斗率いる陸上兵力3万は台湾北部の三芝郷に上陸。その後台湾の武装組織抗露民族台湾統一戦線と連携し一番多くメンバーがいる台北へ進攻。ソ連軍を1日かからず追い出した。追い出したとほぼ同時に南中国に上陸。この時の上陸兵力は20万。パワードスーツのほか超小型核融合炉を搭載している機動戦闘車。主要装備は海軍の127mm荷電粒子砲を車載搭載型に変えたもので、威力としてはあまり変わらない。そして、磁場シールドに光学迷彩。ほとんどソ連のTと変わらない性能だ。2070年になってもロシアは陸軍国としては変わらないということはTでわかることである。南中国も圧倒的なスピードで占領され資本主義国として独立した。これに危機感を感じたソ連は太平洋艦隊を派遣。そのころ日本海では・・・
――――日本海
「ソ連軍動き出しました」
「そのようだな」
「そうですね」
大和CICにいるのは紅蓮崎と藤浪大佐である。この艦の使い方のプロは誰一人としておらず、どうせならいままで大和民族解放戦線を指揮していた人に任せようということでこの二人になった。梶原は、淡路島副司令長になったのでここにはいない。
「この資料によると46cm荷電粒子砲の射程はおよそ出力しだいでは400kmにも及ぶそうです。やはり遠距離になるとミサイルが有効ですな。」
「そうだな」
このころになるとミサイルの速度は格段に上がりマッハ10は優に超え、射程は対空ミサイルですら4000kmを超えていた。巡航ミサイル以上である。
「距離は500kmで、攻撃圏外です。ACCM有効距離は350kmなのでまだまだ近付く必要があります」
「そうか。最大速度50ノットまで上げろ。さらに、ACM全作動させ、核融合を活発化にさせるんだ。急げ」
「はっ!!」
―――――1時間後
「荷電粒子砲有効射程です。」
「よし、まずどのくらいなのか実験だ」
「46cm荷電粒子砲発射!!」
“パシュウン”と大きな音と共に重力の影響を受けながらもまっすぐに進んだ。しかしながらソ連太平洋艦隊を撃滅するには至らなかった。それどころか防がれてしまった。
「奴らもACMを搭載させているな。ACCM作動!!」
その一声によりACCMが作動した。
ソ連太平洋艦隊旗艦キーロフ
「どうした?」
「それがおかしなことに、光学迷彩、磁場シールドともに作動停止なんです。それどころか核融合炉まで一部停止しました。」
「なんだって?」
その瞬間だった。“パシュウウウウン”“ドガアアアアアン”この二つの音が聞こえた。46cm荷電粒子砲が旋回して放たれたため、列を作っていた艦隊は全滅をした。
「俺達の任務はこれまでだ。」
その後極東地方に上陸部隊が上陸し、極東地方を全面的に占領。その後満州侵攻。完全に併合した。これにより太平洋に進出できなくなったソ連軍は日本による武器輸出を止めることができず、1980年代にオセアニアの国々が独立。1990年代にはブラジルが真の独立を果たし、2000年代には比較的豊かになったアラブ連盟がもっと豊かさを求めて資本主義化。この影響を受けて南アメリカ大陸諸国も独立。そして2020年北朝鮮の経済崩壊で朝鮮半島統一。しかし、北朝鮮の巨大共産主義勢力により第二次朝鮮戦争。この戦いはソ連対日本の本格的戦争になり双方の犠牲者は数百万を超えるといわれ、この戦いの陸上兵力の指揮をした渡慎・相良亜久斗は戦死。地佐山夙は北朝鮮に拉致されていた事実が発覚し、戦火に巻き込まれ死亡。紅蓮崎は長年の友を失った。2040年代にはソ連のヨーロッパや北米での完全支配が衰え始め、テロが激化。
2050年 資本主義対共産主義の20年にわたる第三次世界大戦が勃発した。それは、ソ連共産党書記長を暗殺した兵器が日本製であったことを理由に極東地方に侵攻。極東地方で戦争が勃発した以外にも、アメリカ解放のため日本を中心とした資本主義連合国軍がアラスカへと進行しアメリカ全土にわたる第二次独立戦争が行われた。そして戦火はヨーロッパにも飛び火し、トルコからギリシャへと進行しヨーロッパ全土で独立戦争が起こった。紅蓮崎は作戦途中に戦死。藤浪大将もともに死亡。梶原副司令と草島司令は年により老衰でとっくに亡くなっていた。もう淡路島のことを知る軍人は少ない。しかし、それでも淡路島の軍人たちが日本を変えようとして戦い、また日本を解放しようと、そしてアジア、中東、オセアニア、南米、北米、欧米の解放を支援したことは人類が滅亡するまで歴史に永遠に刻まれるであろう。そして淡路島にも永遠に。
2070年 淡路島
「これが爺ちゃんとその戦友が眠る墓なんだ」
そこには2世紀にわたって戦い続けてきた淡路島の戦士たちの慰霊碑が立っている。そこに刻まれている名前。紅蓮崎海、藤浪翔也、相良亜久斗、渡慎、そして一人異例の人間。永島恭平。
「ああ、そうさ。お前の爺ちゃんの名前は紅蓮崎海。婆ちゃんの名前は地佐山夙。この二人の孫と言うことに誇りを持ちなさい。そして世界を解放した国“日本”と言う国民に生まれたことも」
「うん」
現在世界には二つの大国がある。それは日本。そして資本主義になり名前を変えたロシア連邦。他の国は第三次世界大戦の独立戦争により荒廃している。歩んだ歴史は違えど到着点は一緒であった。しかし、元の世界での第三次世界大戦では世界を荒廃させた国“日本”であった。しかし、この世界では世界を救った、解放した国“日本”である。現状はほぼ一緒でも、世界に違う印象を与えたことは、淡路島の人間に感謝すべきことなのかもしれない。
はじめての小説だったのでいろいろと分からないことがありましたが、今までやってこれたのも応援してくださった読者様のお陰です。約10ヵ月間ありがとうございました。次回作は出すかはわかりませんが、その時はよろしくお願いします。