表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/60

第伍拾玖話 淡路島再び

淡路島がようやく戻ってきました。

1951年 9月21日

第二次極東軍事裁判が行われた。第一次極東軍事裁判は1946年4月29日に行われ山本長官や米内光正などの第二次大戦の時の日本政府や軍、皇族の亡命した人たちが殺された。

今回は、日本解放戦争と呼ばれる戦争の東京決戦での、大和民族解放戦線の主要メンバーと捕虜の裁判である。主要メンバーは紅蓮崎海、相良亜久斗、渡慎。捕虜は幹部を入れて230人。もちろん幹部は全員死罪。他の人間は強制労働である。




―――――瀬名


「次!!弾薬よこせ!!」


「はい」


「くらえ!!」


そう言うのは永島恭一だ。千数百名の解放戦線兵士が戦っている。瀬名の山は硫黄島の擂鉢山みたいに要塞化されており、彼らは三十万の解放戦線兵士を逃すための捨てがまりとして戦っている。残った三十万は淡路島へ向かい、最後の戦いを挑もうとしている。



――――大阪湾


「諸君!!もうすぐだ!!負け戦と分かっているなら最後は完全なるゲリラで自然界を味方につけて決戦に挑もうぞ!!」


大和民族解放戦線梶原司令長官の声である。この一文を言い終えたと同じころ目の前に迫っていた淡路島が急に光り出した。


「なっなんだ!!」


「うわあああああああ」


周りはまばゆい光に包まれた。



1951年 10月14日 死刑執行日

ソ連に逆らうとこうなるぞ!!と見せしめのように死刑はギロチンで公開処刑となった。


「どうせ死ぬならこんな死に方したくなかったわ・・・戦で散って行きたかった・・・」


「いまさら言っても遅いぜ」


「まったくだな」


いつもの3人の話し声が聞こえてる。死に行く人間とは思えない。一緒に死んでいく幹部連中とは大違いだ。


「か~ちゃ~ん!!こんな死に方したくねえよ!!」


とか、


「日本は不滅だ!!」


とか言ってるのに・・・気楽な奴らだ。


午後2時 死刑執行

「こいつらは日本人をだまし、植民地の人々をだまし、我々に戦争を吹っ掛けた重罪人である。“日本地方”にお住みの人々よ!!見るがいい。これが我々に逆らった罪人が受ける罰である。・・・・なんだ?・・・なに!!」


日本地方司令官に側近の兵士が話しかけている。


「はい。大和民族解放戦線が再び反抗を開始し、瀬名を包囲していた部隊が全滅。こちらに向かっているそうです」


「奴らは7月の東京決戦で70%が壊滅したのではないのか?」


「そんなこと・・・私に言われても・・・」


「貴様も死刑にするぞ!!」


「わけがわかりません。」


当り前である。やつあたりで死刑にされて解る奴がいるはずがない。


「くそっ!!やつらが来る前にこいつら殺しとくぞ!!」


司令官は大きく叫んだ。その時


「そんなことはさせねえぜ!!」


「だれだ?どこから声をっう!!」


司令官の心臓を光線が貫いた。それと同時に複数の着地音が聞こえた。しばらくすると透明の空間からその姿を現した。それはパワードスーツを着た部隊とその輸送をした極超音速輸送機を改良したガンシップだった。


「久しぶり!!みんな!!」


その声は懐かしみのある声だった。


「もしかして・・・?」


その人は着ていたパワードスーツのヘルメットを取った。


「そのまさかだよ。」


「な・・・・・・ぎ・・・・さ・・・ちゃ・・ん?」


「まじだ・・・・」


「幻想じゃねえな・・・・」


そのとき不意に声が聞こえた。


「幻じゃないのは俺とこいつが保証するぜ。」


そう言うと不意に声をかけてきた人と連れの人がヘルメットを取った。


「藤浪大佐に・・・岩田!!」


「こんちはっす。今鍵はずしますんで・・・」


そう言うと岩田は鍵を外した。


「いって~ようやく自由になったぜ。おっと、ソ連軍は?」


「ああ、そのことか・・・」


そう言った途端、藤浪大佐のかぶっていたヘルメットに着けられていた無線機に連絡があった。


「こちら藤浪だ。本当か!!」


「どうしたんですか?」


一同が藤浪大佐を見つめる。どうやら朗報らしい。藤浪大佐は口を開いてから言った。その朗報やらを。


「たった今ガンシップが放った荷電粒子砲が東京の要塞を貫いて要塞を破壊したらしい。ACCMのおかげだ。」


「ACCM?」


「磁場シールドや光学迷彩のことを攻撃妨害装置として扱われAttack Counter Measureと言うんだ。略してACM。対攻撃妨害手段で、ACCMだ。これを使い磁場シールドを無効化し、要塞を撃破したんだ」


「つまり・・・?」


「ああ、日本がほぼ解放されたわけだ。今瀬名に援助しに行った部隊が東北へと進行している。世界を解放する日も近い。そして、何より俺達が正式に日本が独立したといえる」


「まあ、今はそれより早く瀬名に戻りたいぜ・・・」


「お前らの行く場所は瀬名じゃねえぞ」


「はっ?」


「淡路島だ。淡路島が再び戻ってきた。しかも新しくなって」


彼らにとっては驚きの話であった。まさか再び淡路島がタイムスリップするとは思ってもいなかったことだ。こうして再び彼らは日本全土解放を目指すのであった。



9月21日 午後2時 淡路島

つかまっていた主要メンバーたちは極超音速輸送機を改造したガンシップに乗り、淡路島の上空にいた。

「すげえ、地面が割れていく・・・」


「でも出てきたのはヘリポートか?」


ガンシップの真下の地上に半径50Mの円は二つに割れて開き、ヘリポートらしきものが出てきた。


「ヘリポートじゃないよ。私たちはね2070年ぐらいから来たの。で、この時代は、戦闘機限らずすべての航空機がVTOL化しているの。VTOL化するとスペース取らなくて済むからね。」


「成程」


発着場に着陸してしばらくしたら、ガンシップはゆっくりと下へ潜っていった。


「すげえな・・・」


「すごいのはこれだけじゃないよ」


「うわあああああああああ」


紅蓮崎は発狂した・・・と言うよりも驚いた。千葉の地下の機械式駐輪場みたいにたくさんのガンシップが並んでいた。構造もほぼ同じだ。一つの発着場に一機。一つの発着場がベルトコンベアで運ばれて地上に出る。そして発着する。


「・・・・・・」


「茫然としていないで早く行きましょう」


「ああ」


こうして紅蓮崎たちは「新・淡路島要塞」を探索に行った。


歩くこと50分


「夙ちゃん・・・どこへ連れて行きたいの?」


「えっ・・・・とね・・・・(どうしよう・・・迷っちゃった・・・)」


地佐山夙は何十年もこの島にいたのにもかかわらず広すぎて迷っていて、覚えてきたなと言う時に限って改装されて完全にこの島を把握できていなかった。


「もしかして迷ったとか・・・?」


「ギクッ」


クリティカルヒットである。


「そっそんなことないよ~」


そんなことを言っていると数十年前までは見なれたおっさんが出てきた。


「あれ?君は夙君じゃないか?こんなところで何してたんだ?」


淡路島要塞司令長官が言う。これをうまい具合に利用して、


「草島司令長官を探していたんですよ・・・・ハハハハハ・・・(よっし!!)」


(逃げたな・・・)


このような成り行きで案内されたのは司令部だった。そこにはすべてが立体映像のレーダーが取り付けられていた。


「すげえ。これがあの淡路島なのか・・・」


2070年の技術が惜しみなく投入されて改築された要塞である。


「夙君。彼らに“あれ”も見せなさい」


「“あれ”ですか?」


「ああ。“あれ”だ」


あれあれ言われてもわけがわからない。クエスチョンマークが頭の上に出てきそうだと確信した地佐山は、彼らを“あれ”の場所へ連れて行った。


――――淡路島海軍基地

「これだよ」


「これは・・・」


そこにはかつての面影を残しながらもただ戦闘艦として追求した結果無駄なものを省いたほぼ完全なる戦闘艦として再び蘇った強襲揚陸イージス航空戦艦“大和”があった。今は強襲揚陸イージス航空戦艦ではない。特殊戦闘艦大和である。


「昔の面影はあるが・・・少し小さくなってない?」


「うん。たぶん200mぐらい減らしたんじゃない。しかも速力重視と光学迷彩装甲でジルコニア装甲を外したから幅も20mぐらい減ったんじゃない?」


「航空機は搭載してる?」


「一桁ぐらい。装備としては核融合炉を20基搭載して、速力は50ノット近く出る。127mm荷電粒子砲を16基と単装46cm荷電粒子砲5基。極超音速大陸弾道ミサイル垂直発射機が38セル。極超音速対艦ミサイル垂直発射機36セル。極超音速対空ミサイル96セル。対潜用127mm荷電粒子砲が16基。後は火器管制装置はFCS-8。光学迷彩装甲に磁場シールド。亜空間システムにより、ウェルドックには巨大な海軍基地が作られ、艦の修理や補給ができるの。」


「もしかしてこのハッチの奥には・・・」


「そのまさか。戦闘艦30隻、空母6隻、駆逐艦48隻、潜水艦54隻、揚陸艦36隻、の大艦隊が収納されているの。そして、この艦だけでなく、淡路島海軍基地にある総勢100隻以上の艦。これだけあればソ連の世界支配体制を打ち破れるわ」


「すごいことはわかった。しかし一番気になるのはなぜソ連が攻めてきたと解ったか。なぜなんだ?」


渡慎は鋭いところへ突っ込みを入れた。彼女は迷わず答えた。


「元々アメリカに対抗するために準備したんだけど、まさかこんな形で役立つなんて思ってもなかったわ」


「しかし、そのおかげで俺達は助かった。これだけの兵器があれば俺達は負けないだろう。いや、絶対勝つ」


「ああ」


「報復するぞ!!」


1951年 10月1日

日本本土からソ連軍撤退。日本は世界で唯一ソ連から影響を受けない資本主義国家となった。そして壊滅した東京に代わって淡路島に一番近く、戦火の被害を受けなかった大阪を首都とし、新生日本として再び歩み始めた。


1951年10月25日

日本の資本主義経済の影響を最も受け、日本の支援をもとに経済成長を続けたが突然の共産主義化で戸惑っていた大韓帝国は日本の資本主義国としての独立の影響を受け大韓帝国軍・国民一斉蜂起。

共産主義勢力はソ連満州自治区国境付近まで退却。日本はこれに積極的に支援。朝鮮戦争が勃発する。

これにより、軍事物資の生産が活発化され多数の会社が景気向上。圧倒的な未来武器同士の戦いにより均衡状態に陥り、史実通り1953年7月27日両軍停戦。


朝鮮半島北部に亡命した朝鮮半島共産主義勢力はソ連の援助のもと朝鮮民主主義人民共和国建国させる。朝鮮半島は南北に分裂した。未来兵器のおかげか、大韓帝国首都ソウルに戦火は広がらなかった。


しかし戦火による火花はインドシナ半島に飛び火し、ソ連からの影響を受けず日本のような資本主義として、真の独立国としてのベトナムを目指そうと1954年8月1日。史実では第一次インドシナ戦争が終わった日に第一次インドシナ戦争が勃発した。独立を宣言しソ連軍を中国まで追いだしたが、中国国内のソ連軍と合流しインドシナ半島にソ連軍、中国軍が進攻した戦争。一時は全面占領の可能性もあったが日本軍の介入により独立を保ち、赤軍どもを追い出した。


更に戦火は中東まで広がり、石油による石油資本主義経済の中東諸国(トルコ連合)にとって共産主義は国内発展に邪魔だった。日本、韓国、ベトナムが次々に独立しているため中東でも真の独立を目指そうと動き出した。


そして1956年スエズ戦争(第一次中東戦争)が勃発した。史実では第二次であるが、この世界では第一次である。1956年10月中旬。トルコ連合加盟国(イスラム勢力)は再び大東亜共栄圏の復活を日本に願い承諾。これにより日本軍がトルコ連合加盟国に駐屯しているソ連軍追放のため特殊戦闘艦大和が動き出した。強襲揚陸艦により70万に及ぶ大兵力によりソ連軍を追い出したがソ連により作られたアフリカ北部のアラブ連盟がスエズ運河を超えてパレスチナに侵攻。第一次中東戦争が勃発した。東西北からの同時進行により圧倒的不利に立たされたトルコ連合だが日本軍の未来兵器により難を逃れ、1957年5月両軍ともに停戦。それの伴い、再び東南アジアが大東亜共栄圏に加盟。資本主義へと戻ったのである。


1960年再びベトナムで中国軍による侵攻をうける。ベトナム戦争である。その頃、日本は復興を果たし巨大海洋国家になっていた。


ベトナム戦争は史実通りとはいかず長くは続かなかった。所詮中国。ソ連は日本軍との全面戦争を恐れ侵攻はしなかったが、中国だけ進行をし、日本人に鍛えられたベトナム兵のゲリラ作戦に侵攻を拒まれ大敗北をし、勝手に進行し、勝手に撤退をした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ