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第伍拾漆話 最終決戦後編~Japanese Rebellion~

1951年7月20日朝5時

ソ連軍日本支部を囲むように大和民族解放戦線と元ソ連軍植民地兵に包囲されていた。日本支部は東京23区丸ごと入る大きさで、植民地での行政をやっているだけでなく、その植民地に置かれる軍隊の司令部兼巨大要塞で、言い方を変えれば東京23区の大きさの要塞である。


「これが東京支部か・・・」


「茫然としている場合じゃねえぞ。俺たちは解放の手前にいるんだ。」


「ああ、解っていますよ。」


「梶原指令長。何か一言。」


「うむ。・・・われわれ日本人はこの9年間ソ連による占領により何の罪もない人たちが虐げられてきた。そして我々は今からその支配から日本を開放する手前である。そして今から全世界に向けて希望の扉を開こうと思う。独立は自分たちの手でつかみ取るのだ!!黒人、黄色人、白人関係ない。我々は今自分自身の手で独立をしようとしているのだ。・・・全軍・・・前進せよ!!ソ連軍日本支部を破壊せよ!!」


「ウオオオオォォォォォォォォォ!!!!!」


梶原指令長の掛け声により全部隊が歓喜にあふれた。大和、武蔵、信濃による大規模艦砲射撃、空母から発艦した航空機による爆撃。後方に作られた仮設飛行場から飛び立つ航空機。榴弾砲による支援射撃。ヘリによる支援攻撃。戦車などの主力戦闘車による攻撃。しかし、ほとんどが無意味だった。


「もしかして・・・」


「そのまさかだ。これは・・・」


「磁場シールド!!」


「いったん攻撃中止だ!!」


梶原中隊長の命令により攻撃が一時的に止んだ。


「さあ、どう来る?俺たちは手を休めた。お前達は攻撃をしようとすると俺達も攻撃ができるということだ。かかってこい!!赤どもめ」


その時


とても大きな爆発音が聞こえた。それは、普通の爆弾とかの音ではない爆発音。彼らは一度は聞いたことがある音。核に匹敵する唯一の放射能を出さない爆弾。


「N2か?下の方から聞こえてくるが。地下鉄か?」


この戦時に地下鉄など走っているわけがない。


「まさか・・・」


「みんな伏せろおお!!」


ドガァアアアアアアンと言う音に続いて地面がものすごい勢いで揺れた。


「N2か核による活断層の破壊か!!・・・それとも爆発の衝撃による揺れか!!」


地震には活断層が破壊されて起こる地震がある。それと、核、もしくは核並みの威力のある爆弾を地下に埋めそれの爆発力によって人工的に地震を起こす方法もある。北朝鮮の核実験によって地震があったという話もある。大規模な地震により関東大震災並みの揺れが襲った。揺れているすきに磁場シールドを解除して、要塞からたくさんの“人間”が出てきた。それに続きわずかなTが出てきた。


「ウヘッ。ケホッケホッ。・・・俺の予想通りTは大量生産できねえんだ。怯むんじゃねえぞ!!勝利の女神は俺たちにある。かかれ!!」


「ウヲオオオ!!」


ソ連軍から強奪したT-95による一斉射撃でTを攻撃する。しかし、


「やはり、磁場シールド・・・か・・・?」


攻撃はすべてはじき返された。シールドによって


「違う!!今度ばかりは違う。Tの磁場シールドなんかじゃねえ!!」


「人間・・・」


そう、そこに立っていたのは大掛かりな荷物と服を着た人間だった。Tではなかった。


「どうなっているんだ?」


「とにかく今はまだ要塞から兵が出ている。攻撃再開!!」


この声により再び攻撃が再開された。予想通り今は要塞に対して攻撃が効いている。


「よし行けえ。・・・亜久斗聞こえるか?」


「ああ。聞こえてるぜ。」


「Tの乗り方覚えたか?」


「ばっちりだぜ。」


「そうか。支部に対し荷電粒子砲を撃ってくれ。」


「リョウカイ。行くぞお前ら。」


そう言うと5両のTを連れて支部の前に立った。


「食らえ!!お前達の兵器だ!!」


“パシュウン”と音を立てて地面に沿って荷電粒子砲は要塞へと向かって言った。磁場シールドは間に合わず、要塞に直撃した。要塞の壁は溶け落ちた。しかし、溶けた壁の向こうに眠っていたのは巨大な荷電粒子砲だった。


「冗談だよな?」


パシュウンと今までにない音が放たれた。


「磁場シールド展開!!全力防御だ。」


攻撃は防げた。しかし、敵の押す力には敵わずシールドを張ったまま吹っ飛ばされてしまった。


「すまん、紅蓮崎。T部隊壊滅だ。バッテリー切れ。戦闘不能。」


「亜久斗!!・・・おいっ!!」


「プツ――――・・・」


「どうした?」


「T部隊壊滅しました。」


「俺達の切り札が!!」


「まだです。ジルコニア装甲の戦車があります。」


「荷電粒子砲にかなうものか・・・」


もちろんかなうはずはない。今のところ数で勝っているが、いずれ追い込まれるだろう。解放戦線は自衛隊と侍が戦う戦国自衛隊の侍よりも不利な戦いをしているのである。しかし、さすがに制空権は解放戦線が持っている。しかし、それもすぐさまに崩されるのである。


“パシュウン”と光が大空を飛んだ。その後“ドガアアン”という大きな音を立て海へと消えていった。


「どうした?」


「どうやら対空用の荷電粒子砲です。しかも、完全に我々をなめきっています。見てください。」


紅蓮崎はそう言うと要塞の方に指をさした。


「磁場シールドがされていない。」


「奴らの恐怖の対象はTだけだったか。」


「そのようですね。しかも、歩兵の着用している服を見てください。」


「パワードスーツだな。たしかアメリカ軍が2025年当時装備していた。」


「しかも磁場シールド付きの。」


20式戦車から130mm弾が放たれる。敵兵向けて。しかし、ソ連軍は片手を指し出し砲弾に向けた。その瞬間砲弾は爆散した。


「ねっ」


更に驚くべき光景が待っていた。敵兵を片手で持ちあげ重車両向けて投げ飛ばし、装甲を貫かせた。もちろん投げ飛ばされた兵隊はぐしゃぐしゃである。


「どうなっているんだ!!あの兵隊は?人間じゃねえ!!化け物だ!!」


「おいっ!!見ろ。あの銃。」


ソ連軍が持っていた銃は自動小銃ですらなかった。


「・・・小型の荷電粒子砲?」


小さい穴から似たような光線が出てくる。重車両に当たればその部分は溶けてドロドロになった。


「こちら第一師団壊滅。支給増援を!!」


「こちら第2軍!!壊滅状態・・・――――」


「くそっ!!」


「梶原指令長!!大変です。」


「どうかしたのかね?藤浪大佐」


「それが・・・」


「何いい?本当かね?」


「はい。事実です。」


「まずい。早く落とせねば、また占領されるぞ。」


1951年7月20日午前11時

ソ連軍北海道占領軍東北進行。すべての軍隊を南下させ東京決戦に挑んだため空白の時にソ連軍は侵攻した。更に本国からも続々と援軍が送られてきた。


「こちら解放戦線艦隊、大和、武蔵、信濃全滅。イージス艦も大破沈底、空母部隊も壊滅状態。赤城は司令部機能がかすかに残っています。」


「よくやった。艦隊は撤退しろ。命令だ。」


「何処へ行けば?」


「故郷の淡路島へ行け。そこで最後の決戦にしよう。全軍に命じる。全軍撤退。淡路島まで撤退だ。藤浪大佐。」


「なんでしょう?」


「主要メンバーを集めてくれ。」


「それが・・・紅蓮崎は行方不明。相良亜久斗はTに乗ったまま捕虜。渡慎は歩兵部隊を指揮して全滅。死亡か捕虜でしょうな。井上は拠点の瀬名にいます。」


「そうか・・・仕方がない。それでも撤退だ。瀬名まで戻るぞ。」


1951年7月20日正午

大和民族解放戦線司令部数万の軍団を率いて戦線離脱。瀬名まで撤退を始める。


1951年7月20日午後2時

東京決戦終結。大和民族解放戦線の敗北。ソ連側死傷者約400名。解放戦線側死傷者行方不明者約70万名。歴史的敗北である。こうした歴史的敗北を大和民族解放戦線は受けて歴史上最大の決戦は終わった。

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