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第伍拾壱話 対日宣戦

「今替わります。」

そういって畑俊六は受話器を米内に渡した。

「わたしだ。何の用事だね。」

「たいへんです。ソ連のスターリンからです。内容は 今すぐに共産主義化し、我々の属国となれ。ならないならドイツやイタリア、その他ヨーロッパのように領土にされたいか?だそうです。我々の方では属国になるなになんて言えないので警戒だけは怠らないようにしていますが。」

「・・・この事は極秘だ。我々の方でも対策を取る。とにかく警戒だけは怠るな。以上。」

「はい。」

「まずいことになったぞ。」



そのころ

ハワイ 海軍基地

榛名級イージス艦榛名資料室

カタカタカタ パソコンのキーボードを打つ音が聞こえる

「・・・やはり無理だ。どう考えても、無理だ。」

ここにいるのは、紅蓮崎海だ。

“ガチャン”とドアを開けた音が聞こえた。

「・・・何してるんだお前は?勝手に資料室のパソコンをいじくって・・・・」

「藤浪先輩・・・ちょっとした戦略シュミレーションをしていたんですよ。」

「いい年をしてゲームか?」

「いや、まあゲームと言えばゲームなのですが、ちょっと自分で改造して再プログラミングしなおしたゲームです。」

「ふーん、どんな内容だ?」

「1942年当時のドイツ軍とソ連の領域のままソ連だけ2025年当時の兵器で勝負させて見てたんです。どちらかと言うとゲームではなく見るだけですけどね。ソ連の戦車は全部T-95です。」

「で、どっちが勝ったんだ?」

「そりゃ、勿論ソ連ですけど・・・さすがにスターリングラードの所からたった一日で東欧の枢軸国降伏は不可能でした。まあ、ゲームなので当てになりませんが。」

「なにがいいたい?」

「つまり、今のソ連軍は我々の知っているソ連軍ではない可能性が高いのです。2025年のロシア軍という可能性も低いです。それ以降のはるか未来から来た軍隊なのです。」

「・・・そうか。・・・俺も薄々感じていたんだけどな。日本がソ連と戦争を回避する方法はあるのか?」

「ないとも言えません。ソ連のしたいことはたぶん世界全てを共産化だと思われますが、そこからするとつまり・・・」

「大東亜共栄圏の共産化か・・・」

「!!!!」

ふと現れた声に驚いて振り向くとそこには相良亜久斗と渡慎がいた。

「お前ら陸が主だろ!!」

「べつにいいだろ。特別軍には陸海空関係ないんだからさ。」

「まあそうだけど・・・」

「まあ、別に俺はこんな話をしに来たんじゃない。さっきの話だ。聞いた話じゃついにソ連は北アメリカ・・・正確には中央アメリカにまで領域を広げているらしいな。」

「ああ」

「お前はどうするつもりだ?」

「俺に聞くな。風が何とかする。アメリカとは早めに講和かその前にアラスカへと進行だ。」

「その前にアメリカが占領されているかもな。」


本当ならばこんなにふざけてしゃべるようなことではない。世界のほとんどがソ連の支配下になっているという危機的状況なのだ。しばらくして、ここの海軍基地に電話が鳴り、相手は米内閣下からだった。内容としては、第一航空艦隊を本土に戻してほしいと。(第一航空艦隊は大日本帝国海軍最強の艦隊だから)。こちら側からの要求はすぐさまに極東の資源の採掘量を増やし本土へ持ち帰ってくれと。


7月25日

アメリカ合衆国侵攻。大西洋側の海岸にはソ連海軍のバルチック艦隊と黒海艦隊、カスピ海艦隊、更には北方艦隊の大艦隊に包囲され、メキシコから侵攻した部隊によりアメリカの南部は占領され、ルーズベルトはアラスカへと避難。8月3日の午後4時ワシントン占領。

8月5日

アメリカ合衆国降伏と同時にカナダへと進行。

8月8日

ソ連軍北アメリカ太陸全土占領。


「だとよ。どうするんだ?」

「知るかって言ってんだろ。俺に聞くな。スターリンに聞け!!」

「お前ら落ち着け。」

「ウルサイ!!」

仲介に入ったのは藤浪翔也。喧嘩しているのは紅蓮崎海、相良亜久斗、渡慎のいつもの3人だ。上官に対してうるさいというまでパニックになっているのが解る。

「おほん。君たち、少し落ち着いてもらえるかな?今は会議中だ。」

「はっ!!失礼いたしました。以後気をつけます!!」

「返事は立派だ。」

「おほめに頂き光栄です。山本長官!!」

今日は8月8日

いまは、海軍、陸軍、特別軍の会議中だ。

「国民のことを考えると共産化し属国となった方がいい。しかし、我々は憲法上天皇も国民も立場は一緒となっているがそれでも立憲君主国家だ。属国とは・・・しかも戦わずして、国民は納得するだろうか?」

「徹底抗戦するべきです。今のところ特に変わった動きはありません。それに、アメリカ大陸を占領するのにある程度時間がかかったためソ連国内の軍隊は大幅に減っているはずです。今のうちにたたきモスクワを落としましょう。」

「・・・しかし、もしものことがあったらどうする。我々はアメリカをここまで追い込むのに半年以上かかっているんだ。しかし、ソ連は侵攻してたったの9日で北アメリカ大陸全土を占領したんだ。勝てるはずがない。」

「ちくしょう・・・あの軍艦があれば・・・強襲揚陸イージス航空戦艦・・・」

「そんなこと言っても無駄だ。無い物ねだりするな」

「井上・・・そんな事は解ってる。」



結局会議を開いただけ時間と労力の無駄で答えは見つからなかった。

この事と似たようなことは史実では本来3年後の1945年8月9日にあるはずだった

1942年 8月9日 午前3時

極東 ヤクーツク

「異常はあるか?」

「こちら異常なし。」

「こちらもだ。」

「こちら・・・んっ!!」

「どうした?」

「気のせいか?今何か動いた気がしたが。」

「何が動いたんだ?」

「その、空間と言うか何か透明な物が・・・」

「お前は薬中者か?・・・・・・疲れすぎだぜ。」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

彼らは絶句した。何もない空から突如として現れたB-52に匹敵する謎の飛行機。いやそれ以上の飛行機だ。形的にはB-2に似ている。これは爆撃機だ。

「ソビエトのマークだ。敵機発見。対空戦闘用意。」

「電探員はどうした?」

「いえ、今までレーダに写っていませんでした。」

「迎撃機を発進させろ!!」

「はっ!!」

一斉に滑走路から航空機が飛び立つ。それは、ソビエトがヨーロッパを占領したときに陸海軍が危機感を抱き急遽更新された最新のジェット戦闘攻撃機火龍弐式120機が離陸した。(火龍よりも燃費がいいジェットエンジンに変え、対空ミサイルを搭載させた。さすがに敵をロックするのは無理だが)

それと同時に配備されていた5式15糎高射砲や5式40ミリ高射機関砲、海軍に頼んで作らせた地対空ミサイルを28個搭載した12センチ28連装噴進砲などの対空兵器が一斉に発射された。

「くらえ!!」

火龍弐式から発射された対空ミサイルは当たったもののなにも効果はなく、次の瞬間ソビエトの巨大爆撃機が一瞬にしてまばゆい光に包まれた。それと同時に体中からミサイルが発射され離陸した火龍弐式120機すべてが撃墜された。

「くそ!!どうなっているんだ。とにかく吉本関東軍司令に連絡しろ。」

「はっ!!・・・・こちら・・・敵襲・・・あれ?」

「どうした?」

「無線が利きません。」

「なにい?」



「早く弾をよこせ」

「いったいどれだけ装甲が厚いんだ?」

ソビエトの爆撃機にどれだけの弾薬を使っただろうか。数え切れないほどの弾薬を使ったがまったく効き目がなかった。

「あれは本当に爆撃機なのか?爆撃をしてこないぞ?空中で待機しているだけだし」

その瞬間、爆撃機の真中。爆弾が投下されるところのハッチが開いた。

「おいっ!!何か光出したぞ?」

「なんだ?」

パシュン  爆撃機と思われる機体の真下へと光が放たれた。 

その光はそのまま直進し対空兵器を撃っている日本軍に直撃した。そこから半径50mは消滅しヤクーツクの日本軍は壊滅した。


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