第1話 声の漂うクラス内
第1話 声の漂うクラス内
「205円のお返しと、レシートの…」
今日もまた一日が始まってしまった。高校の入学式というのに、俺は一人でコンビニで昼ごはんを購入した。ここのコンビニは毎回毎回思うことだが、同じことしか言わない。その中でも一人だけ異彩を放っている店員がいる。異彩を放っていると言っても、ただ、返事が遅く、ラグいという表現が合っているというだけだ。所詮は働かされてる身なのだがらしょうがないが、それならいっそのこと、ロボットになってしまったらどうなのかと思うが、そういう訳でもならないのである。
学校の下駄箱には案の定、人が集まっていた。どうやらクラスが発表されているらしいが、とてもうるさい。まるで受験に合格したような叫びを上げているようだ。(自分の名前でも確認して、クラスに入り自習でもするか)クラス内は数人の内部生の声が聞こえるぐらいでこれでもかと静かだった。
「痛って!!」
クラス内で大きな声が響き渡った。声の方を振り向くと、中1と言われてもわからないぐらいの奴が、机の角に腰を打ったようだ。多分内部生だと感じた。噂では内部生はとても馬鹿だと言われている。そいつの後ろには友達だと思われる人がいた。身長などから察するに最初の奴と比べて随分と大人びている。やけに中1のように見える奴には人が集っている。
入学式が終わり教室に戻る瞬間、後ろから声がした。
「君、靴紐解けてるよ」
「わかった。」
「素っ気無いねー、感情がないのかい」
「(やはり、コイツは内部生だ)お前は制服のベルトが閉まっていないぞ。」
「え、嘘」
俺は奴を無視して、教室に戻った。その日は夏と言ってもおかしくないぐらい暑かった。
次の日、登校してみると奴の姿が見えなかった。というのも何故かずっと後ろに這いつくばっている。
「お前、いつまでそこにいる!!」
「僕は友達を作りたいのです」
「他をあたってくれ」
俺はこの時知った、コイツは男の格好をした女だと。
次回予告 嘘つきな男