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「ごめん、みんなー!マネージャーに話したら業者さんに頼んで綺麗にしてくれるって、」
話しながら部屋へ入ってきた侑也は俺たちを見ると急に黙り、そして少し照れたように笑った。
机を囲む俺たちの前には大きな皿に用意されたおにぎりの山と、もう1つの皿にはオムレツ。
そこにはケチャップの文字で、
「「「「Happybirthday!!!」」」」
「…ふふ。ありがとう。」
こんな可愛いことされたらもう怒れないね。と本当に嬉しそうに侑也は笑った。
「ごめんね、ゆっきー…。」
「もういいよ。…もしかしてお祝いしようとしてくれてああなったの?」
「…うん。」
「ケーキも用意してたんだけど駄目にしちまった…ごめん、ゆき。」
「湊と陽はまだしも、昴も不器用だなぁ」
あははと侑也は笑う。
そして、あ!と思い出したように部屋の隅に置いてあった紙袋の中から箱を取り出した。
「今日の現場で貰ったんだよー!」
箱から出てきたのは綺麗な装飾が施された苺のホールケーキだった。プレートにはHappybirthdayの文字がある。
そのケーキを見た甘党の湊は、わあと嬉しそうな声を上げた。
「じゃ、折角だし蝋燭立ててみんなには歌って貰おうかな?」
楽しそうな侑也につられて、俺たちは自然と笑顔になっていた。
「───、電気消すぞー。」
暗くなった部屋に灯るロウソクの明かり。その明かりを囲み歌う俺たちと、それを嬉しそうに見つめる侑也。
少し前の俺たちならこんなことしてなかっただろうな…。
このメンバーだったから、今の俺たちが。
こうして他愛もないことで怒り、笑える時間がある。
1人でも違っていたなら、有り得なかっただろう。
ふーっと蝋燭を吹き消し、明かりが消えた。
湊と陽がわあー!と手を叩きながら盛り上がっているなか昴が部屋の照明を付けるため立ち上がる音が聞こえた。
「…侑也、」
「ん?崚?どうしたの?」
「…ありがとう。」
「えー…、なに?急に。」
照れたような困ったような顔で侑也は俺を見た。
「…いや、なんとなく。」
「ふふ。なんだよそれー」
俺がぶっきらぼうに答えれば幸也はくしゃっと笑い、手を伸ばしたかと思うと思い切り頭をくしゃくしゃと撫でられた。
「それを言うならさ、俺の方だよ。みんな、今日も…今日だけじゃなくて、本当にいつもありがとう。みんながいるから毎日楽しいよ。」
昴、陽、湊、そして俺。
それぞれの顔を見ながら侑也は言った。
その言葉に陽は目を潤ませ侑也に飛びついた。
…こいつ涙腺緩いな。
「ゆっきーー!大好き!!」
「…ゆきくん、俺も大好きだよー」
陽に続き湊も抱きつく。
昴がチラっと俺を見るが…いや、俺はしないよ?
ガチャ。
「…あんたら、お取り込み中悪いけど…怒られる準備、出来てる?」
来訪者は突然に。
そういえば侑也がマネージャーに連絡したんだった…。